看護分野研究における量的・質的方法論を用いて、公衆衛生学及び在宅看護学分野における課題に関する研究に取り組んでいます。地域看護は、地域で生活するあらゆる人々を対象として看護を展開しますが、その時に統計による検証も大切です。例えばナイチンゲールは、白衣の天使というイメージがあると思いますが、統計学者でもありました。彼女が赴いたクリミアの野戦病院では、不衛生により感染症が蔓延していましたが、衛生状態の改善により兵士の死亡率を改善させました。戦地で様々な統計をとりダイアグラムで可視化、問題をあぶり出し、病院改革に取り組んだのです。彼女の取り組みによって、どれだけの命が救われたか計り知れません。白衣の天使というだけでなく、その功績にも価値があり、現代の地域看護学にもその考え方が生きているのです。
白衣の天使というだけではありません。ナイチンゲールの現代にも通じる功績に着目してみましょう
地域看護学に関する科目は、2年次に概論、3年次に各論、4年次には各論を深め実習を行い、段階的に学びます。実習の場は、地域における看護実践の場。訪問看護ステーション、保健所、市町村保健センター、企業の健康管理部門等、多彩な実習を行います。地域を一つのまとまりと考え、1人の人を見るようにしていきます。地域踏査を行い、また統計を使いながら、地域の医療システムや介護システムをアセスメント。弱い人に手を差し伸べつつ、元気な人にはより元気になってもらう。看護師・保健師として地域全体を元気にすることを学びます。
実習やロールプレイでは、学生同士がそれぞれ患者・看護師となって、患者さんの状況や気持ちまで学びます
看護は、その対象が「人」であり暮らしです。人を理解したいと思わなければ、辛く感じてしまうこともあります。誰かに勧められたからではなく、「人」が好きな人に、自ら選んで看護を勉強してもらいたいですね。
プライベートでは犬との散歩が日課です。犬と過ごす時間が心と体の健康に役立っていると思います
聖路加看護大学看護学部看護学科卒業。保健師としてNTTで産業保健看護活動に従事。聖路加看護大学大学院看護学研究科にて博士(看護学)を取得。2010年より本学看護学科専任教員、2015年より学科長、2021年度より学部長に就任。日本産業衛生学会産業看護学部会副部会長、同産業保健看護専門制度委員会委員長を兼任。時々、高校での出前授業を行っており公衆衛生看護の視点から考えたナイチンゲールの功績等について講義している。
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