製菓実習では古典的なケーキから、今風のアレンジをしたケーキ、あるいはデコレーションに用いられるマジパンの細工など、さまざまなバリエーションを学ぶことになります。その実習をサポートするのが製菓助手を務める私の役目。“手順が混乱していないか” “コツがつかめず困っていないか”を察知して技術面でも知識面でも学生たちの力になれるように心掛けています。さらに気をつけているのは、卒業後、現場で戸惑わないようにアドバイスすること。パティスリーでは、実習で経験する10倍、20倍という量を一度につくることになり、例えば、テンパリングしたチョコレートの冷え方、固まり具合も違ってきます。その状態を判断して、どう対応すればいいのかを含め、実習室から現場へとスムーズに歩んでいけるように支えることが私の大切な役目です。
ホールケーキにクリームをコーティングする「ナッペ」、絞り袋を使った「デコレーション」、コルネ(細い絞り袋)での「文字書き」は製菓の基礎中の基礎。学生は実習中に生じる冷却待ちなどの時間を利用して、これらの技術を修得する自主練習を繰り返す。そんな時に頼りにされているのが飛田先生。「就職後、『コルネで“お誕生日おめでとう”と書けますか?』と聞かれた時に、『できます!』と言える自信をつけてほしいのです」。そのためには練習しかなく、先生からのちょっとしたアドバイスで一気に上達することも珍しくないようだ。
好きなことを仕事にするのは簡単ではないかもしれません。私も一度は離れていた時期があります。でも、やっぱり戻ってきました。お菓子づくりには、それだけの魅力があり、一生の仕事にする価値があると思います。
専門:製菓
小学生の頃、PTAのお母さんたちがクッキーやマドレーヌを焼きバザーで販売する様子が楽しそうだったので、「私もお菓子をつくる人になりたい」と考えるようになった飛田先生。専門学校を卒業後、パティスリーに勤務していたが体調面の不安があり金融系の企業に転職。その後、「自分の人生なのだから自分が一番好きなことに携わろう」と決め、2021年からYAMANOTEの製菓助手を務めている。