私の専門は「小児の呼吸療法」です。私がこの分野を専門にしたのはこども病院への就職がきっかけでした。その病院では当時、小児医療は成人医療に比べると遅れていました。心臓病の手術ではトップレベルの病院でありながら、こどもの呼吸療法に精通した医師が一人もいない。目の前のこどもに最善の医療を提供するにはどうすればよいか。この課題に直面した私は、大人の呼吸領域での経験を活かして「小児の呼吸療法」に取り組み始めました。まずは、古い機器で既存の治療を行っている現状を変えましょうと提案。機器をどのように使えば患者さんにとって有効かを先生方にご説明していきました。その後、呼吸器関係の機器や設備の一新を任されることに。常に何が患者さんにとって1番かを考え、周りの医療従事者に提案していくことで、助かる命があります。
臨床工学技士は、時に裏方として病院を支え、時には医師や看護師とともに最前線で患者さんを支えています。
最新の医療機器が、現場と同じレイアウトで配置された「臨床工学実習室」。ここで、小笠原先生が実際の現場を想定した実習を行う。「この機器は、何を目的とし、どんな原理で動いているかを理解すれば、違う機器を操作した時にも対応ができるようになる。この基礎が重要です」と先生。授業では知識や技術はもちろん、医療機器を通じて生命に関わる臨床工学技士に必要な「生命倫理観」の教育にも力をいれる。「機器の向こうには患者さんがいて、患者さんの周りには大切な人がいます。それを忘れてはいけません」と力強く語ってくれた。
「科学は身近な存在。私の授業では、学ぶ楽しさ、新しい発見をする面白さを感じてください」
「臨床工学技士は理系の人でないと務まらない」と思っていませんか。最新の医療機器は全ての人がゼロからスタート!勉強は私たちがサポートします。命の尊さを理解し、人に寄り添いたいと思う心が何より大切ですよ。
「長年の臨床経験を活かして、みなさんのチャレンジを全力で応援したい!」と笑顔の小笠原先生。
臨床工学技士として医療の最前線で10年以上の経験を積む。在職中は未熟児・新生児の心臓手術や集中治療業務などに従事。外科内科に限らず幅広い分野に精通する。小児呼吸療法が専門であり、医師や看護師とともに治療にあたるだけでなく、病院内外で教育活動にも取り組む。常に患者さんに最善の医療を提供することを大切にしてきた。趣味は子育てとドライブ。三人のこどもの父である。
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