奨学金、もし返せなかったらどうなるの?

日本学生支援機構の「平成22年度学生生活調査」によると、奨学金を受給する大学生は年々増加傾向にあり、平成22年度には5割を超えている。大学院生になると、その割合はさらに大きくなる。このように広く利用されている奨学金。多くは返済が必要な貸与型だが、一般的なローンなどと比べて低い利率で借りられ、学生の経済面を支えている。

 

奨学金の受給状況

 

 

しかし、利率が低い、もしくは無利息とはいえ、奨学金も“借金”の一種。つまり、返済の義務があるということだ。そのため、長引く就職難で卒業後に安定した収入を得られないような場合、奨学金の返済に苦しむ人が増えているという。

 

奨学金の返還金は、次の世代の奨学金の資金となるものだ。同じ境遇の後輩たちのためにも、必ず返済しなくてはならない。また、返済を滞納すると延滞金額にペナルティーが上乗せされたり、長期間にわたると強制的に給与等財産を差し押さえられることもあるという。これから奨学金の利用を考えている人は、返済までしっかりイメージし、無理のない範囲で利用したい。

 

では、具体的に、奨学金はどのように返済していくことになるのだろうか。例えば、日本学生支援機構の第二種奨学金は毎月の貸与金額を3万円、5万円、8万円、10万円、12万円から選択できるが、もし3万円/月を4年間借りると、月額1万1293円を13年間で返済することになる(上限利率3%の場合)。また、10万円/月を4年間借りると、月額2万6914円を20年間での返済となる(同)。返済は卒業した半年後から始まるが、就職1年めの新入社員にとっては決して小さくない負担だろう。

 

日本学生支援機構第二種奨学金の返還例(大学):貸与月数48ヵ月

 

資金不足がどれぐらいかを明らかにし、奨学金を借りるなら適正な額にとどめたい。そのシミュレーションには、リクナビ進学の「学費シミュレーター」が便利だ。志望校の学費の卒業までにかかる合計金額がわかるだけでなく、学費の家計への影響がグラフで確認でき、ファイナンシャルプランナーによるアドバイスも得られる。志望校が決まっていない場合は、学部系等×エリアの相場でもシミュレーションできる。

 

こうして万全の準備をしていても、病気や失業など不測の事態により、返済が困難になることはありえる。そんな時、例えば日本学生支援機構奨学金では、届け出により1年を限度に返還を先送りできる制度や、収入や所得が一定額以下に陥った時に月々の返済額の半額ずつを返済する「減額返済制度」が利用できる。こうした救済策についても、事前にチェックしておくと安心だ。

 

キミたちの学びや学生生活を応援すると同時に、借りるにはリスクも伴う奨学金。安易な利用は避けたいが、だからといって利用せず、経済面の不安を抱えたままの進学や、学費を理由に進学をあきらめるのはもったいない。注意点をふまえつつ上手に活用して、将来の可能性を拡げてほしい。