「タニタ」「ガリレオ」を陰で支える学校の先生に直撃!

テレビドラマや映画で、最後に流れるクレジットに「時代考証」「監修」「撮影協力」などの文字を見たことはあるだろうか? 例えば江戸時代のドラマなら、その時代に詳しい専門家が、セリフ、舞台セット、衣裳など細かな部分までチェックして、「本物感」を演出している。いわば陰の立役者だ。

 

そんななくてはならない役割を、大学や専門学校の先生が務めていることがよくある。

 

■栄養士が主人公のあの映画で、授業風景を撮影協力

現在公開中の映画『体脂肪計タニタの社員食堂』(配給:角川映画、5月25日より全国ロードショー)の撮影に協力したのは、織田栄養専門学校。

 

この映画の主人公は、栄養士。体脂肪計メーカーとして有名なタニタという会社の社員食堂で、健康的にやせられるメニューを次々と開発した実在の人物がモデルになっている。今回、主人公が栄養士になるために専門学校に通っていた学生時代を回想するシーンで、同校が舞台となった。

 

「当日は背景のような役割をすればいいのかと思っていたら、セリフもあるし、主人公役の優香さんと一緒に映るシーンもあって、びっくりしました。でも、栄養士になるための授業の様子をリアルに伝えるために、少しは役に立てたと思うとうれしいですね」と語るのは、先生役で映画出演を果たした専任講師の山﨑恵美子先生。

 

今回の映画には同校の学生も20人ほどエキストラで参加した。みんな学校行事のように楽しんでいたそうだ。「ウチの学校ではどの肉でハンバーグを作ればおいしいか検証する味覚の実験など、テレビ番組から食に関する様々な依頼が舞い込みます。学生が協力することもよくありますよ」と語るのは、学校長の名倉千恵子先生。

 

「栄養士になるのは決して簡単な勉強ではありません。でもこうした経験を通して、専門性を生かせる仕事だと実感し、やりがいを感じる良い機会になっていると思います」。名倉先生自身、栄養の専門知識を生かして、よくテレビ番組の監修やコメンテーターを務めているそうだ。

 

■人気月9ドラマを支えるのは、電気専門の先生!

現在フジテレビ系列で放送中の連続ドラマ『ガリレオ』を科学的見地から監修しているのは、東京都市大学工学部電気電子工学科の岩尾徹准教授。第2シーズンとなる今回、謎解きの理論的根拠となる「ひらめきの式」は、ほとんどが岩尾先生が考案したものだという。

 

「簡単すぎず、難しすぎず、見る人が楽しみながらも、なるほどと思えるような数式や法則を盛り込みたいと考え、提案しています」
「『湯川先生が黒板に書いていたあの数式はどんな意味なんだろう?』とか、ドラマを通して物理や数学に興味をもってくれる人が増えてくれたらうれしいですね」という岩尾先生。

 

また、ドラマの中で湯川先生が捜査協力費として警察に提出した請求書の明細、湯川先生の研究室で行われている実験、大学の授業の講義名などについても岩尾先生がアドバイス。ドラマの細部までリアリティをもたせるために一役買っている。

 

「私の専門は電気です。この分野を選んだのは、人の役に立ちたいという使命感から。毎日の生活の中に当たり前にある人々の喜怒哀楽を、見えないところで支えるのが工学のプロだと思っています。ドラマの監修もその一環なんです」とやりがいを語ってくれた。

 

ドラマや映画のストーリーや登場人物のセリフ、細部の背景や小道具の中に、実は大学や専門学校の先生方の専門的な知識が生かされている。そんなふうに人知れず活躍する先生や学生たちがいることを、心に留めて見てみると、今まで何気なく見ていたシーンにも、また違ったおもしろさがみつかるかもしれない。