大学卒業からずいぶん経ち、学生時代の友人たちは全国に散らばってしまいましたが、今も交流が続いています。
取材を通じてたくさんの人に出会い、話を聞き、世の中に発信できるおもしろさ。それが記者職の醍醐味です。さらに私の記事を楽しみにしてくれる読者も数多くいるのですから、記者冥利に尽きますね。入社4年目には冬季五輪取材のため開催地・ロシアへ飛びました。時差があるにもかかわらず、現地では本社の出稿時間にあわせて1ヶ月間、日本時間で過ごしました。日中は各国メディアが取材合戦を繰り広げる中、担当する雪上競技を予選から取材し、まさに寝る間も惜しんでの現地取材でした。しかしその疲れもメダルラッシュに沸く日本選手の活躍で吹き飛びましたね。取材を重ねてきた選手たちの活躍は、私にも大きな喜びとなって返ってきました。
私は中学・高校が女子校だったので、國學院大學に入学当初は不慣れな共学という環境に少し戸惑いを覚えました。でも、それも最初のうちだけで、大学生活はとても充実していました。史学科の仲間と切磋琢磨した日本近世史のゼミナールをはじめ、中国・天津での1ヶ月の語学留学、長唄に挑戦したサークル活動、大学広報を担う学生団体の立ち上げへの参加など、思い出をあげればきりがありません。人々と出会い、互いの信頼や関係性を育んでいった学生時代の豊かな経験は、数多くの人と関わる「記者」という今の仕事のベースになっていると感じています。出会えてよかったと心から思える人々に恵まれた4年間が、私の誇りです。
史学科に入学当初は、まわりの学生たちのレベルの高さにびっくり。教職に就いたり、大学院へ進学したりした同級生も多かったです。
スクープを取りたいという野心を、記者としては当然ながら持っています。一方で私は取材現場で強い貪欲さを見せないタイプでもあり、同業者からは「記者らしくない」ともいわれます。しかし私はこれを褒め言葉として受け止めています。例えばサッカー選手の取材であれば、毎日練習場に通い、ピッチにいる選手一人ひとりの調子や仕上がり具合をつぶさに観察した上で、練習後にクラブハウスへ選手たちのコメントを取りにいきます。単刀直入に自分の聞きたいことだけを聞くのではなく、何気ない雑談も交えながら心の距離を縮め、少しずつホンネを引き出していく。常に人の気持ちによりそった取材姿勢を、これからも大切にしていきたいです。
現在は、プロ野球を主に担当しています。スコアのつけ方も一から勉強しました。
株式会社日刊スポーツ新聞社/文学部 史学科/2010年卒/同社に入社後、編集局スポーツ部でプロサッカー等を担当したのち、静岡支局へ配属。2018年4月からは本社編集局野球部でプロ野球をメインに担当する。國學院大學での学生時代に始めた長唄は、現在も「國學院大學 長唄研究会」のOBOG会で続けている。
※この画面の情報は、すべて取材した時点でのものになります。