学生時代からフェスやライブが好きでグッズもよく買っていたんですが、買う側からつくる側になってからは、どういうものが売れるのかという視点に変わりました。ファン層が自分よりずっと上の世代であることも多いので、手探りな部分もあります。でも、企画・制作から販売まで自分たちの手で行うので、お客さんの反応もダイレクトに見られますし、がんばってつくったものが売れていく様子を見ると本当につくってよかったなって思いますね。実際にお客さんがTシャツを着ているのを目にした瞬間もうれしいです。
『SUMMER SONIC』や『VIVA LA ROCK』など、実際のフェス現場でバックステージのお手伝いをしたり、実践に近い経験を積めたのは貴重な体験でした。大学に通っていたこともあるので余計にわかるんですが、音楽業界のより専門的なことを学生時代に学べるのはとても貴重なんです。授業でいえば、「ジャズポップス史」が思い出深いです。さまざまな音楽ジャンルを聴いて学べる授業なんですが、今ではグッズ制作に携わっているTOTOやボブ・ディランなどのアーティストはこの授業をキッカケに好きになりました。
グッズに関しては、海外アーティストからダメ出しされることって実はほとんどないんです。「日本で売れるものを一番わかってるのは君たちだから」って基本的には任せてくれるんですよ。中でも特に思い入れがあるのは、自分でデザインを出したボブ・ディランのTシャツです。KISSが最後の来日となる公演のためにつくったグッズもたくさんあるんですが、ロゴTシャツは不動の人気で印象深いですね。学生時代は雲の上の存在だったアーティストたちと、こうやって間接的にでも仕事で関われるのは感慨深いです。今後、一番つくってみたいのはガチャガチャ。フィギュアとか出てきたら楽しいですよね。入浴剤やお菓子もグッズ化してみたいです。
(株)ウドー音楽事務所 勤務/音響芸術科/2020年卒/(株)ウドー音楽事務所勤務。[KISS][Bob Dylan][NIGHT RANGER]などのグッズ制作を手がけている。KISSが“最後の来日”と銘打った11月末のラスト公演では、この伝説の1日に向け、スペシャルグッズの数々を増田さんが制作した。