専門学校を卒業後、帝国ホテルに就職しキャリアをスタートさせました。調理部に配属され「レ セゾン」で修行を積む中、フランスから招いたシェフの料理を作り上げるスピードや美的センスに魅了され、「この芸術的な感性は本場でしか磨くことができない」と思い、渡仏を決意。ブルターニュのビストロを皮切りに、厨房だけでなくホールの接客サービスなどさまざまな経験を積みました。1835年創業の歴史あるホテル「ル・ムーリス」では、ヤニック・アレノ、アラン・デュカスという名料理人のもとでシェフを務め、帰国までの13年間をフランスで過ごした後、再び帝国ホテルへ。現在は帝国ホテル 第14代東京料理長として日々料理と向き合っています。
高校生の時、帝国ホテルの料理を味わったことで私の人生は決まりました。そのおいしさ、完成度の高さに感動して「帝国ホテルのレストランで働く」ことが人生の目標になったのです。同級生の多くは大学に進学しましたが、私は「ホテルに就職するなら武蔵野」と教えられ、迷うことなく武蔵野調理師専門学校へ。「多くの学生が帝国ホテルに就職している」と聞いたことも大きな決め手になりました。また、入学してからは第一線で活躍されている料理人を講師に招いての実習が充実しており、プロの技や考え方をじかに教えていただく機会に恵まれました。武蔵野での一年は、料理人としての基礎をしっかりと身につけた一年間だったと言えます。
専門学校で特に印象に残っている授業は、お客様の前でどう振る舞うかを学ぶ「サービス論」です。レストランは料理人とサービスが一体となって、お客様に至福の時間を提供する場。作る側の人間であっても、サービスの立場を理解することはとても大切です。武蔵野は料理の技術だけでなく、レストランで働く者としての心構えまでも学べる場だと思います。フランスで長い間過ごし、今感じているのは日本料理のレベルの高さです。日本で通用する人は海外でも通用すると思いますが、まずやるべきは丁寧に基礎を磨くこと。やりたいことを見つけ、その実現に向けて力を蓄えて、国内でも海外でも活躍できる料理人を目指してほしいと思います。
株式会社帝国ホテル(帝国ホテル 東京)勤務/調理師科/2000年卒/武蔵調理師専門学校を卒業後、帝国ホテルに就職。その後フランスへ渡り、ブルゴーニュやパリなど各地のレストランに勤務。パリのレストランでは料理以外にサービスも担当し、料理とワインの組み合わせについて学ぶ。13年間ヨーロッパで料理人の経験を積み、帰国後、帝国ホテル 第14代東京料理長に就任。