重度知的障がい者施設の職員として、利用者の皆様の生活介護を行っています。具体的には食事やウォーキングなど、日中の生活のサポートです。この仕事に就いてしばらく経った頃、所属するチームの利用者さんが私の名前を覚えて、車イスを操作して自ら話かけてくれたことがとても嬉しく、今でも心に残っています。中には自分の気持ちを伝えることが難しい方もいます。だからこそ、利用者の皆様との日々のかかわりの中で理解を深め、その人が今何をしたいのか、どのような気持ちなのかを考え、寄り添いながら接していくことが大切なのです。ご家庭での様子も把握し、疲れていないかなど体調に合わせてコミュニケーションをとるようにしています。
こども教育宝仙大学を選んだのは、4年間という長い時間をかけてより多くの学びと経験を得ながら、男性の私でも幼稚園教諭と保育士資格の両方を取得できることでした。学生時代は、受けられる講義は積極的に履修し、できるだけたくさんの知識を積むことに力を入れました。造形や工作の講義で学んだことをもとに作った教材が、実習先のこどもたちに喜ばれたことは、忘れられない思い出です。思い起こせばピアノの得意な人や教材製作の得意な人など、それぞれの学生が得意分野をお互いに教え合いながら学ぶことのできた充実した4年間でした。身についた知識はもちろん、実習で学んだ細やかな配慮の仕方や考え方は、今現在も大いに役立っています。
教師をしている両親の影響もあり、高校2年生の頃から他の人の人生に関わりを持てる仕事に憧れがありました。配属をきっかけにこの仕事に就き、障がいのある方とかかわることで、笑顔の瞬間を共有できること、その人の人生に寄り添えることが楽しく、とても魅力的に思います。福祉で働くには「誰かの役に立ちたい」という気持ちが大切です。その上で、変わりゆく状況に応じられる判断力が求められます。大学生活は勉強やサークル活動など多くの知識や経験を蓄えられる時期です。仕事と直接つながりがなさそうなことでも、実は活かせることばかりで、無駄なことは一つもありません。さまざまなことに自ら飛び込んで経験し、視野を広げてください。
特別区職員(福祉)/こども教育学部 幼児教育学科/2016年卒/特別区職員(福祉)として知的障がい者施設に勤務する佐々木さん。「施設の利用者の皆様の生活介護を行っています。大学在学中は必修科目以外の選択科目をほとんど受講し、幅広い領域を万遍なく学びました。これらの学びを通して身についたことは、現在、仕事をする中でも活かせる場面がたくさんあり、とても役立っています。今後、仕事上でチャレンジしていきたいことは、今の自分よりも、利用者の皆様の助けとなれるよう、介助技術や知識の習得に努めることです」。