世界各国の教育のあり方を比較しながら、自国の教育を問い直す「比較教育学」の中で、イタリアの教育を研究しています。教育を取り巻く環境や教育の考え方は国や地域によって大きく異なります。例えばイタリアでは、移民の子どもと現地の子どもを共に教育する「インターカルチュラル・エデュケーション」という教育課題があります。この課題は、近い将来日本でも直面する課題になり得ます。それに備えるためにも、現在は実際にイタリアの学校へ訪問しながら、文化の問題を中心とする様々な調査研究を通じて、制度や歴史といった背景も含めたイタリアという地域の輪郭を少しづつ描き出せればと考えています。そのことが、日本の教育はもちろん、私たちが持っている「あたりまえ」を問い直すきっかけになるはずですから。
高橋先生が担当する1年生後期の「児童教育学」は、教育学の入門的位置づけ。教育とは何か、という根本的な問いを共有しつつ、多様性に向き合うための具体的な教育手法も体験。本、写真や映画などを教材に議論する。4年間を通じて現代的な教育課題はもちろん、自分なりの教育観を問い続けながら学ぶための問題提起もしている。ゼミでは地域共同体の問題や学校文化の問題を議論しながら、学生が主体となってフィールドワークなどを実施。「自由な発想による問いや発見に、私も様々な気づきをもらっています」と、高橋先生。
教育学は人や社会の変容過程に光を当てる学問です。自由な発想で問を立て、ときにはフィールドワークで実際に現場に身を置いて携わる人たちの声を聴きながら、様々な教育観、子ども観、世界観に触れてください。
専門分野:比較教育学
宮城県出身。2011年10月~2012年9月イタリア・トリノ大学、2012年10月~2013年9月イタリア・ボローニャ大学へ留学。この期間はイタリアでも東欧やアフリカからの移民・難民を受け入れるための教育が始まっており、留学中のフィールドワークを通して地域の文化間教育について博士論文をまとめる。2016年4月東北大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。2016年4月より現職。