教員になる前は日本を代表するラグジュアリーブランドでデザイナーとして働き、パリ・コレクションで発表するピースを作成していました。私の衣装をまとったモデルがランウェイを歩き、それを見たゲストが涙している…。「ファッションが人を感動させる瞬間」に出会えた喜びがありました。コレクションのために製作する服は独特で、服飾の歴史や伝統にのっとった基礎と高い技術が必要ですし、一方で自分らしさや新しさの追求も欠かせません。そんな相反するものが求められる世界で、大切なのは「発想力」です。古典やアートといったあらゆるものからインプットし、それをつなげたり組み合わせてアイデアを出していく。そんなモノづくりの神髄や自分自身のリアルな経験を学生に伝え、世界を視野に入れて活躍するデザイナーの育成に関わっていきたいです。
独創と実践を大切にする授業を展開する中で、どうやったら思い描いた服を具現化できるのか?と悩む学生も多い。「ファッションに答えはありません。だからこそ『こんな方法もあるよ!』と提案するようにしています」と本川先生。“デザイン=絵を描くこと”だと考えがちだが、もっと多様な表現でいいと話す。「例えば紙をクシャクシャにしたり、何かを逆から見ることで、そこに新しいものが生まれている。こんな方法もあるんだよとたくさんのヒントを学生に与え、そこが切り口となってアイデアの発見につながるように促しています」。
夢に手が届いていないときは、それが難しいことのように感じたり、不安に思ったりすることもあるでしょう。でも、すべては自分のモチベーション次第。それさえあれば、思い描いている夢を一生の仕事にできるはず!
専門科目:クリエイションテクニック&デザイン
高知県出身。高校から家政科で服飾の基礎を学び、上田安子服飾専門学校に入学。2007年に日本を代表するアパレル会社に就職し、パリ・コレクションのプレタポルテに関わる。2015年より現職。