私の専門である意匠設計は、住宅に住む人や施設の利用者が快適に過ごせるよう、建物の外観や内装、間取り、窓や水回りなどの細かな部分まで考え、デザイン・設計する分野です。課題に取り組む学生の多くは建築の固定概念にとらわれ、過去の事例を参考にしようとします。そんなとき、私は現実と少し浮世離れしたところから想像してもいいのでは、とアドバイスします。たとえば、映画やアニメショーンにはいいなと思うシーン、音楽にも雰囲気があるのではないしょうか。現実で形にするのは難しいかもしれないけれど、あったら面白そうというところからイメージの世界を広げると、アイデアの引き出しも増やすことができると思っています。映画などは共有もしやすいので、私の授業ではそういったアプローチも取り入れながら、学生と一緒に考えています。
山本先生の指導は、マンツーマンではなく集まっての打ち合わせ。その狙いは「卒業設計の場合、学生はそれぞれ異なる作品作りをしています。その事例や情報、アドバイスを共有すれば多くの学びを得られるからです。集まることで、ともに頑張ろうというモチベーショにもつながると思います」と教えてくれた。打ち合わせでは技術指導はするが「学生の考えやアイデアを引き出したいので、私からのアイデアは避けています」。学生との年齢が近く先輩のような存在でもある先生。「これからも指導というよりは、一緒に考えていきたいですね」
建築に限らず、あらゆるものに対して興味を持っている人に設計の仕事は向いていると思います。本校には好奇心旺盛な学生が集まっているので、それぞれの話を聞くだけでもアイデアは広がります。
1991年岡山県生まれ。2019年関東学院大学大学院 工学研究科博士前期課程修了。2017-2018年国立台湾科技大学留学。2019年日本建築学会若手優秀発表賞。2019年より浅野工学専門学校専任講師。