実践編 自己PRの書き方

実践編自己PRの書き方

自己PRで最も重要なのは、「自分」を知り「志望校」を知ること。書くのはそれからだ。さあ、実際の作成手順を見ていこう。

01

自己PRを書く手順

1学校が求める人物像や学問の特色・魅力を知る

各学校はどのような人物を求めるかを記した「アドミッション・ポリシー」を提示しているので、まずは志望校のアドミッション・ポリシーを読み込もう。また、学びたい学問の特色や魅力を理解することも重要だ。志望校に加えて同様の学部・学科のあるほかの学校のパンフレットやホームページも参考になる。

2自分の強みや興味・関心を書き出す

自分の強みや長所、興味・関心のあることを思いつく限り書き出してみよう。あまり深く考えず、どんどん書き出すことが大事。「協調性がある」「粘り強い」「バスケ部でキャプテンを務めた」「英検2級」「友達が多い」「AIに関心がある」「読書が好き」「世の中の動きに敏感」「海外に興味がある」など、なんでもOKだ。

3求める人物像や学問の特色・魅力と照合して絞り込む

学校が求める人物像や学びたい学問の特色・魅力と、自分が書き出した強みとを照らし合わせ、関連する項目をピックアップしよう。完全に合致していなくてもOKなので、アピールポイントとして使えそうなものをチョイスしよう。

4絞り込んだ強みを掘り下げる

絞り込んだ長所をさらに掘り下げ、違う言葉で表現してみよう。例えば、「協調性がある」をより詳しく紐解くと、「多様な意見を尊重しつつ、みんなが納得するよう調整するのが得意」と言えるかもしれない。一歩踏み込んだ表現にすることで、アピール力はぐんとアップする。

5具体的なエピソードを書き出す

アピールポイントがある程度絞り込めたら、それを象徴する具体的なエピソードを書き出そう。過去の経験、本を読んで感じたこと、学びたいと考えている学問に興味をもったきっかけなど、ただの事実ではなく「自分はそこから何を学んだか、感じたか」を意識すると、より説得力のあるエピソードになる。

6文章の構成を考えて自己PRを完成させる

規定の字数に合わせ、大まかな段落分けをしてから構成を考えよう。最初に自分の強みは何かを述べ、そう考える理由や具体的なエピソードを続け、入学後にそれをどう生かしていきたいかで締めくくる、という流れがオーソドックスだ。アピールポイントをいくつにするかは字数によって異なるが、あれもこれもと盛り込みすぎると散漫になるので要注意。多くても3つくらいにしよう。

02

自己PRにはどんな設問があるの?

実際に書き始めてみると、思うように書けずに手が止まってしまう…。自分の強みや長所って何?具体的なエピソードが浮かばないんだけど?そんなお悩みにお答えするよ。

自己PRにはどんな設問があるの?
CASE 1

自分の強みや長所がよくわからない

  • 周りの人に聞いてみる
  • 小中高の成績表を見てみる
強みや長所というのはなかなか自分ではわからないもの。そんなときは、学校の先生や保護者、友達などに聞いてみよう。また、小中高の成績表を振り返り、先生の所見を読み直してみるのもオススメだ。自覚していなかった意外な長所が見えてくることもある。
CASE 2

具体的なエピソードが浮かばない

  • 高校生活で印象に残ったことを思い出す
  • 書きためたポートフォリオを見返す
  • 学問の入門書を読んでみる
具体的なエピソードが思い浮かばないときは、これまでの高校生活を振り返ってみよう。印象に残っている授業や先生の言葉、力を入れた学校行事、入学時と比べて成長した部分やそのきっかけなど、意外といろんなことがあるはずだ。最近はポートフォリオを導入する高校も増えているが、1年生からきちんと記録を残しておくと、自己PRを書く際に非常に役立つ。また、学びたい分野についての入門書(岩波ジュニア新書など)を読んでみるのもオススメ。「〜に興味があり、〜という本を読んだ。〜と感じ、入学後はより深く学んでみたいと思った」というのも、立派なエピソードになる。
CASE 3

ありきたりな文章になってしまう

  • 言葉をどんどん掘り下げる
  • 先生に添削してもらう
何だかありきたりな文章になってしまうという人は、自らに問いかけをしてみよう。例えば「感動した」という言葉に対して、「どう感動したか?」と問いかけ、時間をかけてでも自分の言葉で書いてみる。「心が揺さぶられる思いがした」「〜に胸を打たれた」など、より踏み込んだ表現ができるはずだ。また、書いたものは先生などに添削してもらい、ブラッシュアップを重ねること。客観的な視点で読んでもらい意見をもらうことはとても大事だ。
03

こんな自己PRはNG!

書いている途中でこんな風になってない?
NG例をチェックしておけば、評価される自己PRに近づくかも。

こんな自己PRはNG!
CASE 1

経歴だけが述べられている

私は野球部のレギュラーとして、2年の春には県大会ベスト8、2年の夏には県大会準優勝の成績を収めた。また、県選抜のメンバーにも選ばれ、3年次には主将を務めた。

経歴だけがダラダラと書かれている。結果を出すためにどんな努力をしたのか、この経歴を通して何をアピールしたいのかをしっかり書こう。
CASE 2

ありがちで具体性がない

私の長所は積極的なことです。どんな物事にも率先して取り組んできました。また、常に自分が主体となることも意識してきました。

性格面での長所はありふれたものになってしまいがち。特に「粘り強い」や「好奇心旺盛」、「積極的」、「思いやりがある」などの長所はみんなが書くので、そこを強みとしてアピールする場合は必ず具体的なエピソードを添えること。
CASE 3

アピールポイントが散漫で一貫性がない

コミュニケーション能力に優れているのが私の強みです。そのため友人も多く充実した高校生活を送ることができました。また、英語も得意で、2年生のときに英検2級を取得しました。部活の面では、テニス部で副主将として頑張りました。

経歴だけがダラダラと書かれている。結果を出すためにどんな努力をしたのか、この経歴を通して何をアピールしたいのかをしっかり書こう。
CASE 4

自慢話になってしまっている

私の強みはリーダーシップがあることだ。学校行事では常にクラスの中心となり、良い結果を出すことができた。地域でのボランティア活動でもリーダーを務め、自治会の方からお褒めの言葉をいただいた。

苦労したり、困難を乗り越えたりしたエピソードを盛り込むなど、どうリーダーシップを発揮したのか、そこから何を学び今後どう生かしていきたいのかを書こう。
04

自己PRを書き終わったら何をする?

実は、自己PRは書き上げてからが本番。出願の前に、しっかりチェックポイントを確認して!

最終確認

志望理由書との
整合性をチェック!

志望理由書の提出も課されている場合は、自己PRと志望理由書とを付け合わせて整合性の確認を。両方を読んで、「自分の強みは〜だ」→「〜を生かして将来は〜をしたい」→「そのためにこの学校で〜を学びたい」や、「自分は〜に興味があり、高校では〜といった活動をしてきた」→「この学校ではその分野について専門的に学びたい」→「〜を身につけ、将来は〜したい」といった相関したストーリーになっているといいだろう。

何度も読み込み、
面接対策を!

自己PRは面接の資料にもなる。「ここに書いてあること以外であなたの長所を象徴するエピソードはありますか?」といった質問もあるかもしれない。自分が書いた自己PRを読み込んでおくことに加え、それを基に振り返ったり考えを広げたりしておくことも重要だ。ただし、自己PRに書いたことを丸暗記して面接でそのまま答えるのはNG。「自己PRに書いたことに加え、〜ということもありました」などと、自分の言葉で話せるよう準備しておこう。

お話をうかがった方

  • 小柴大輔 先生 リクルート「スタディサプリ」講師
    小柴大輔 先生
    リクルート「スタディサプリ」講師

Z会東大進学教室で講師を務めるほか、ロースクール(法科大学院)や司法試験受験の予備校においても一般教養小論文を指導している。感覚ではなく論理的に答えを導く指導に定評があり、「現代文に対するイメージが変わった」と受験生から圧倒的な支持を集めている。スタディサプリでは、現代文のほか、小論文や総合型・学校推薦型選抜対策講座を担当。

小柴先生からのメッセージ

小柴先生
小柴先生

自己PRの作成は、自分という人間やこれまでの経験や学びを振り返るとても良い機会です。自信をもってアピールしてほしいと思いますが、なかには自分のことを正々堂々とアピールすることに気後れしてしまう人もいるでしょう。そういう人は、「自信をもって自分のことをアピールする役」になりきって書いてみるといいですよ。

2020年01月08日時点の情報です。