【文学部・芸術学部】合格者の志望理由書を公開!NG例・プロの解説付き
この分野では、「自分が何を学び、どう生かしていきたいか」を示すうえで、オリジナリティが特に重要になる。
合格者は、それらをどのように表現していたのか、実例を見てみよう。
また、“表現”を学ぶ分野ならではのポイントとして、構成のわかりやすさや文章の読みやすさを意識することも欠かせない。
先生の解説から、志望理由書に求められる視点や工夫を、しっかりと身につけておこう。
目次
合格した先輩の志望理由書
私立大学 文学部国文学科 学校推薦型選抜(指定校)合格者
志望理由書
※下線をタップすると先生の解説に遷移します
私が貴学への入学を志望する理由は、さまざまな作品や表現と向き合うことができる貴学の学習内容や環境が、映像俳優を志す私にとって最高の学びの場となると考えるためです。貴学への入学後は、興味を抱く文学とメディアの関係と、その表現方法について深く研究していきたいと考えております。
私は高校で舞台芸術科に所属し、そこで演劇、舞踊、舞台美術等、表現に関することを学んできました。さらに、生徒主体の学科行事である、ダンス発表会や学科公演、その他の発表の機会に、自分の表現方法を追求する場面を多く経験してきました。言葉、身体、光や音を使った表現の無限の可能性に触れてきた中で、もっと新しい表現の引き出しを作りたいという思いが強くなりました。貴学の教育理念として重要視されている「国語力を鍛える」ことは今の自分に最も必要なことだと実感しています。
前述した学科行事に取り組んだ際にコミュニケーションの難しさを痛感しました。話し合いで自分の考えを明瞭に言語化して相手に伝えることの必要性に気づきました。
これら二点のことを踏まえ、貴学で学ぶ四年間は私にとって必要不可欠であるといえます。貴学に入学しましたら、まず国語力を鍛えるために、文章表現や文学入門の授業の中で知識を蓄え、かつ、言語を介した伝え方を勉強し直したいと思います。また、沢山の文学に触れることができる機会を生かし、知見を広め、感性を養いたいです。そして二年からの専攻に、映像・演劇・メディア専攻を選択し、映像演劇における表現方法について追求していきたいです。例えば文章の描写を映像に置き換える際の、世界観の表現の工夫や、映像だからこそできる表現、普段意識しない日常の切り取り方等を学ぶとともに、演者としての表現にも積極的に取り入れていきたいです。
貴学で、国語と向き合う中で、さまざまな文学と出会い、映像演劇を見つめ、自身の表現を開拓していきたいと考えています。
先生の解説
ここからは、志望理由書指導のプロ・小柴大輔先生に、上の志望理由書の「よいところ」を解説していただき、「よりよくするための視点」をアドバイスしていただこう。
◎はVery Good、○はGood、△は修正するとよりよくなるポイントだ。
※本解説はスタディサプリ進路の講師が、志望理由書のよい点とその理由を解説したものであり、合否の判断基準を示すものではありません
教えてくれるのは
小柴大輔先生
Z会東大進学教室や巣鴨にある大学受験塾ワークショップで講師を務めるほか、ロースクール(法科大学院)や司法試験受験の予備校においても一般教養小論文を指導している。
感覚ではなく論理的に答えを導く指導に定評があり、「現代文に対するイメージが変わった」と受験生から圧倒的な支持を集めている。
スタディサプリでは、現代文のほか、小論文や総合型選抜・学校推薦型選抜対策講座を担当。
○△①将来の目標について具体的に書いているのはGood!
文学部・芸術学部の場合、純粋に文学や芸術が好きで、今の興味・関心から志望するケースも多い。
それもあって、例えば、教育学部や医学部などと比べると、卒業後の具体的な目標は漠然としてしまいがちだ。
もちろん、今の興味・関心から学部・学科を選択するのもありだが、希望する職種があり、それに大学での学びを紐付けられるなら、具体的に書くと、志望理由書にしっかりとしたストーリーができる。
冒頭で映像俳優志望であることを明示しているのはいいですね。
特にこの志望理由書の場合、読み手は、「映像俳優志望なのに国文学科?」と疑問を抱くはずで、その理由を知りたいという気持ちになります。
字数に余裕があれば、その後の段落でも構いませんが、「なぜ映像俳優なのか(後段でも俳優を目指す理由は書かれていない)」「どのような映像俳優を目指すのか」といった説明を加えると、読み手は目標がより具体的にイメージできるようになります。
また、構成の点で言うと、冒頭の2つの文で、将来の目標とこの学科で学びたい理由を要約した「結論」を示しているのもいいですね。
○△②学びへの動機を深めた経緯が書かれているのはGood!
高校時代にどんな経験をしたか、どんなことを学んできたかを書くだけでなく、それを通して、「何を身につけたいと思うようになったか」までが書かれているのはGood。
この説明があることで、次の段落へとストーリーがつながっている。
全体のストーリーを意識した構成ができているところがいいですね。
アドバイスがあるとすれば、高校時代に自分自身で学びを深める過程で、読んで影響を受けた本があれば、ぜひ書名を挙げてください。
演劇や映像に興味があるということなので、その分野の具体的な作品名を挙げるのもいいでしょう。
◎③大学の教育理念と自分の目標をうまく結びつけているのはVery Good!
「なぜその学部・学科で学びたいのか」は、自分自身の興味・関心や将来の目標と結びつけて論じやすいが、同じような学部・学科がほかにもあるなかで、「なぜその大学なのか」を説明するのは意外と難しいもの。
この志望理由書は、「今の自分に最も必要なこと(新しい表現の引き出しを作る)」と大学の教育理念である「国語力を鍛える」をうまく結びつけて論じていることで、その大学を志望する気持ちに説得力をもたせることに成功している。
パンフレットなどに書いてある教育理念をしっかり読み込んで、自分の学びたいことや目標につながるポイントをピックアップできているからこそ、このような表現ができます。
ですから、大学の教育理念やアドミッションポリシーなどは、表層をなぞるだけでなく、細部までチェックして理解を深めることが重要。
細かなところにその大学ならではの個性や特徴が出ていることも多いですから。
◎④「コミュニケーション」という言葉を一歩踏み込んで使っているのはVery Good!
このあとの「NG例」で詳しく解説するが、「コミュニケーション」という言葉は、志望理由書などで安易に用いられがち。
しかし、「コミュニケーションの難しさ」としか書いていないと、どのようなコミュニケーションの何が難しいのか、読み手は具体的にイメージできない。
この志望理由書では、直後の段落で「話し合いで自分の考えを明瞭に言語化して相手に伝えること」と、一歩踏み込んで説明している点がVery Good。
文学部・芸術学部の場合、医学部や教育学部のように将来の職種に直結した学部や政治学系や環境学系のように社会課題に直結した学部と比べると、学ぶ目的をどう書くかは考えどころです。
ここがなかなか思い浮かばず、「コミュニケーション力を高めたい」というありがちでふわっとした目的を書いてしまうことも多いのですが、これだけでは具体性に欠けて、読み手に響くものがありません。
この志望理由書のように、「どのようなコミュニケーションのことを指しているのか」をしっかり説明することが大切です。
○⑤興味がある科目名だけでなく、何を学びたいかを書いている点がGood!
具体的な科目に触れることは大切だが、単なる科目名の羅列になってしまうとアピール度は弱い。
この志望理由書のように、それらの科目で何を身につけたいのか、どんなことを学びたいのかまでを書くと、科目に関する記述をうまく全体のストーリーに組み込むことができる。
◎⑥「自分ならではの学ぶ目的」が書けているのがVery Good!
「映像俳優を目指す」という目標をもっているこの人だからこその「この学科で学びたいこと」が、詳しく書かれているところは、非常に評価できるポイント。
この箇所は、この志望理由書でも特に秀逸な部分です。
志望理由書で大事なことの一つは、いかにほかの受験生とは違う「自分ならでは」といえる要素を盛り込めるかということ。
この部分の記述はそれが非常にうまくいっています。
ぜひ読者の皆さんにも参考にしてもらいたいですね。
文学部・芸術学部の志望理由書NG例
ここまでの解説でも触れてきたが、文学部・芸術学部系は、目指す職種が明確な学部や社会課題と直結する学部と比較すると、「学ぶ目的」や「将来の目標」が抽象的になりやすい。
しかし、大事なポイントが抽象的でありきたりになってしまうと、当然ながらアピール度は弱くなる。
また、文章での表現を学んだり、人の心理について学んだりするこの分野では、「コミュニケーション」「コミュニケーション力」という言葉は頻出と言えるが、安易に用いるのは考えもの。
文学部・芸術学部系は、表現について学ぶ分野ですから、誰もが使うようなありきたりな言葉や何か言っているようで何も言っていないに等しい抽象的な表現を多用することは、特にマイナスな印象を与えます。
「自分が書いたこの言葉が意味することは何か」をしっかりと考えながら書くことが大切で、それが自分で説明できないなら、もう一歩踏み込んで考える必要があるでしょう
いくつか具体的なNG例を紹介しておこう。
「コミュニケーション力」の安易な使用はNG!
<やりがちNG例>
私は、高校時代、クラスや部活での人間関係において、コミュニケーション力の不足を感じる機会が数多くありました。
そのため、貴学文学部心理学科に進学後は、コミュニケーション力を高めるために、体系的・実践的に人の心理を学びたいと考えています。
\改善ポイント/
「コミュニケーション力」という言葉は高校生にも非常によく使われています。
文学部には心理学科がある大学も多く、文学部・芸術学部系はそれ以外の学科でも、人に何かを伝えることを学ぶ分野なので、志望理由書で「コミュニケーション力」という言葉が使われることが特に多いと思います。
しかし、「コミュニケーション力」には、聴く力もあれば、話す力もあり、話す力といっても、大勢の前でプレゼンする場合と、1対1で対話する場合とでは求められる力は違います。
相手の気持ちを想像する力なども「コミュニケーション力」に含まれるでしょうし、場の空気を読む力なども含まれるでしょう。
また、例えば、企業の営業職、保育士、カウンセラーなどそれぞれの職種によって求められる「コミュニケーション力」は異なってくるはずです。
このように「コミュニケーション力」という言葉には多くの要素が含まれているため、何を指しているのか一歩踏み込んで説明しないと、読み手には伝わりません。
なお、志望理由書では「コミュ力」という略語を使うのもNGです。
大学の教育理念を安易に引用するのはNG!
<やりがちNG例>
「高い教養と異文化への理解を基礎とする豊かな感性を備え、高度な専門性を活かして国際社会に貢献できる人材の育成を目指す」という教育理念に共感し、貴学を志望しました。
\改善ポイント/
大学の教育理念などを引用して、それに対して単に「共感し」としか書いていないので、読み手に伝わるものがなく、単なる文字数稼ぎに見えてしまいます。
読み手は大学の先生ですから、相手がすでにわかっているはずのその大学の教育理念を引用することに意味はありません。
これはどの学部系統であれNGですが、表現を扱う文学部・芸術学部系の場合、相手に伝わるものを意識していない姿勢が、特にマイナスの印象を与える可能性があります。
ですから、教育理念に触れるのであれば、合格者の例のように、教育理念のどの部分が自分の目標や学びたいことのどの部分と関連するのかまでしっかり書く必要があるでしょう。
漠然とした将来像の記述はNG!
<やりがちNG例>
卒業後は、本にかかわる仕事に就き、貴学で学んだことを活かしていきたいです。
\改善ポイント/
文学部・芸術学部は、他学部と比較すると、学んだことが将来の具体的な職種と直結しにくい分野と言えるでしょう(直結する作家、アーティスト、文芸・美術研究者などは進路としては少数派なので)。
それだけに、卒業後の進路について触れる場合、「本にかかわる仕事」といった、漠然とした表現になってしまうことがよくあります。
しかし、ひとくちに「本にかかわる仕事」といっても、出版社の仕事には営業職、編集、ライター、校正・校閲、グラフィックデザイナーなど多様な職種があり、出版社以外でも、書店店員、図書館司書などの仕事もあります。
せっかく将来の仕事について触れるなら、具体的にどのような仕事があるのか調べたうえで、希望する職種を決めて書くようにしましょう。
ここで設定した目標は、大学進学後、学ぶ過程で変わってもまったく問題ありません。
今の時点で具体的な職種までしっかり考えることに意味があるのです。
文学部・芸術学部の志望理由書のポイント
では、改めて文学部・芸術学部の志望理由書を書く際のポイントをまとめておこう。
作家名や作品名は積極的に書こう
文学部・芸術学部系の志望者であれば、何かしら高校時代に影響を受けた本やアート作品があるはず。
また、大学に進学してから、研究したいと考えている作家や作品があるかもしれない。
そのような作家名・作品名は志望理由書に具体的に書くのがおすすめだ。
具体的な作家名や書名を挙げることは、読み手に自分の興味・関心や志向をわかりやすく伝えることにつながります。
「好きで読んでいただけだから…」と、志望理由書には盛り込まない人が多いのですが、ぜひ書いてください。
マイナスになることはありませんから。
「コミュニケーション」「寄り添う」などの言葉の扱いは慎重に
NG例でとり上げた「コミュニケーション力」が代表例だが、ほかにも、「絆」「寄り添う」など、「重要なことを意味しているようで、実は漠然としている」言葉は、志望理由書でも多用されがち。
文学部・芸術学部は「表現」を学ぶ学部なので、志望理由書でも言葉の扱い方には気を配りたい。
これらの漠然とした言葉は、書いている当人も、「何のことを指しているのか」をあまり深く考えずに使っていることが多いのです。
ですから、つい「コミュニケーション力」と書きたくなったら、「待てよ、自分はどんな力のことを言おうとしているんだ?」、「寄り添う」と書きたくなったら「この場合の『寄り添う』って具体的にどういうことなんだ?」と自分自身でもう一度考えてみるといいでしょう。
それによって考えの浅かった部分がクリアになり、志望理由書全体の説得力も増すはずです。
読みやすく伝わりやすい構成を意識
これは他学部でも重要なことではあるが、文学部・芸術学部系は「表現」を学ぶ分野なので、読みやすく印象的な文章、わかりやすい構成を意識することは特に大切になる。
志望理由書も一つの「表現」ですから、文章力や構成力もチェックされる可能性は十分あります。
作品を仕上げるつもりで、何度も推敲しましょう。
「頑張った結果、どんな気づきを得たか」を書こう
他学部の場合、例えば、高校時代のボランティア活動や部活動などを通して、「感謝されたことで、大きなやりがいを感じた」「チームの一体感が増して、自分自身達成感を得られた」など、自分が働きかけたことによる相手の反応が、学びたい分野を決めるきっかけになることもある。
このような場合は、「頑張った結果、何が起きて、どう感じたか」までを比較的書きやすい。
しかし、文学部・芸術学部系の場合、読書などの個人的に取り組んだことがきっかけになることも多く、そうなると「努力して取り組んだ結果どうなったか」までは書きにくく感じる人もいるだろう。
例えば、「高校時代は年間50冊の小説を読んだ」のように頑張ったことだけを書いても、読み手に伝わるものは弱いです。
その結果、自分自身の内側でどのような気づきや変化・成長があったかまでを掘り下げて考え、そこまで書くようにしましょう。
志望理由書対策に役立つ本
志望理由書を書くにあたっては、関連する本を読んで理解や考察を深めておくことも重要。
そこで、文学・芸術学に関連する分野のおすすめ本を小柴先生に紹介してもらった。
関心を広げ、志望動機を言語化する助けになるものなので、ぜひ読んでおこう。
文学部志望者におすすめ本
『ガイドブック 現代文学理論』ラマール・セルデン(大修館書店)
ロシア・フォルマリズム、構造主義、フェミニズムなど文学批評の代表的な理論の入門書。
『短編小説講義』筒井康隆(岩波新書)
これから小説を書きたい人へのメッセージ。取り上げられている作家はディケンズ、トーマス・マン、モーム、ローソン、マーク・トウェイン、ビアス、チェーホフ、ホフマン、ゴーリキー。
『文学部唯野教授』筒井康隆(岩波書店)
ストーリーのなかで、テリー・イーグルトンの『文学とは何か』を下敷きにした主要な文学理論を解説。
『街場の読書論』内田樹(太田出版)
現代日本を代表する哲学者による文学論。「世界最後の日に読んでも楽しいのが文学」とある。
『日本語が滅びるとき─英語の世紀の中で 増補版』水村美苗(ちくま文庫)
プリンストン、ミシガン、スタンフォードなどで近代日本文学を講じる著者による日本語論。
小林秀雄賞受賞。本書に関する取材文が慶應義塾大学文学部の小論文で出題された。
『問題な日本語─どこがおかしい?何がおかしい?』北原保雄(大修館書店)
『明鏡国語辞典』編集者による日本語論。
『親密な手紙』大江健三郎(岩波新書)
「心に響く本を読むと自分宛ての親密な手紙を受け取ったように感じる」という筆者によるエッセイ。
筆者のエッセイとしては最も読みやすい。
『新しい文学のために』大江健三郎(岩波新書)
現代文学への入門書だが、大江氏がこれほどの理論と熱量で他者の作品を読み、自己の作品を書いてきたのかと心を打たれる。
本書はドストエフスキー入門、フォークナー入門、トルストイ入門であるとともに大江文学へのいざないにもなっている。
『職業としての小説家』村上春樹(スイッチパブリッシング)
ノーベル文学賞に一番近い作家が自らの仕事の流儀を語る。校正においていくども自らの仕事に直しを入れる、他者の指摘を受け入れる、これらは作家の仕事を越えて仕事全般についてもあてはまる知的誠実さ。
『深読み日本文学』島田雅彦(インターナショナル新書)
古典から夏目漱石・樋口一葉らの近代文学、太宰治などの戦後作品、さらに現代のAI小説までを取り上げ、独自の切り口で分析した一冊。
『文学こそ最高の教養である』駒井稔+光文社古典新訳文庫編集部(光文社新書)
翻訳者14名との対話を通じ、国内外の名著について語る。
『日本文学史』小西甚一(講談社学術文庫)
ドナルド・キーンが感銘を受けたという『日本文学史』の改訂版。
芸術学部志望者におすすめ本
『形とデザインを考える60章─縄文の発想からCG技術まで─』三井秀樹(平凡社新書)
デザインや美術表現を考えるうえで、基本的な事項をわかりやすく説明。
1テーマ3ページで、写真や図版が多数。
『カラー版 近代絵画史(上)増補版─ロマン主義、印象派、ゴッホ』
『(下)増補版─世紀末絵画、ピカソ、シュルレアリスム』(中公新書)
『カラー版名画を見る目Ⅰ─油彩画誕生からマネまで』
『カラー版名画を見る目Ⅱ─印象派からピカソまで』高階秀爾(岩波新書)
筆者は美学美術史の日本を代表する研究者。
西洋絵画の技法の歴史、社会背景、人物像までがよくわかる。
『デザインのデザイン』原研哉(岩波書店)
筆者は「無印良品」のアートディレクションでも知られる。
デザイナーでありつつデザイン自体を言語で語れる人。
同じ筆者の『白』(中央公論新社)、『日本のデザイン─美意識がつくる未来』(岩波新書)、『百白』(中央公論新社)もおすすめ。
『現代美術史─欧米、日本、トランスナショナル』山本浩貴(中公新書)
現代アートがもつ問題提起力がわかる。
『東京藝術大学で教わる西洋美術の見方』佐藤直樹(世界文化社)
いかにもな美術史ではなく文字どおり絵の見方が変わる本で、BS11で番組化もされた。
『美術館へ行こう』草薙奈津子(岩波ジュニア新書)
美術館内部の仕事がよくわかる。
美術館への誘いというより学芸員への誘いの書。
『学芸員しか知らない美術館が楽しくなる話』小さな美術館の学芸員(産業情報センター)
いわゆる“中の人”による美術館とそこにかかわる仕事の紹介。
Note連載の書籍化。
まとめ
文学部・芸術学部系は、将来の職業に直結しないケースも多く、「学ぶ目的」や「将来の目標」が抽象的になりやすい。
しかし、それだけではほかの受験生と差をつけることが難しくなる恐れがある。
だからこそ、なぜその分野を学びたいのか、自分にとってどんな意味を持つのかを具体的に掘り下げて伝えることが重要だ。
また、文学部・芸術学部は「表現」を学ぶ学部でもあるため、志望理由書でも、伝わりやすく、読みやすい文章であることが求められることも覚えておこう。
取材・文/伊藤敬太郎 監修/小柴大輔 構成/寺崎彩乃(編集部)
学校パンフでイメージを膨らまそう
この分野では、「自分が何を学び、どう生かしていきたいか」を示すうえで、オリジナリティが特に重要になる。
合格者は、それらをどのように表現していたのか、実例を見てみよう。
また、“表現”を学ぶ分野ならではのポイントとして、・・・・・・

