【国際学部・外国語学部】合格者の志望理由書を公開!NG例・プロの解説付き
学際的でアプローチの幅が広い分野だからこそ、「自分は何に関心があり、どうアプローチしたいのか」を具体的に伝えることが重要だ。
合格者は、自分の関心をどう深め、どのように志望理由書にまとめていたのか、実例を見てみよう。
そして忘れてはならないのが、「なぜそのテーマをこの学部で学びたいのか」という理由を明確に伝えること。
先生の解説から、志望理由書に求められる視点や構成の考え方を身につけよう。
目次
合格した先輩の志望理由書①
公立大学 外国語学部 英米文学系学科 総合型選抜合格者
志望理由書
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私は○○大学○○学部○○学科を志望します。そして、大学生活を通し高い英語力と将来生きていくための様々なスキルを身につけていきたいです。
貴学科を志望した理由は、高度な英語力や将来国際的な社会で生き抜くための力を鍛えるための充実した環境が用意されている点に惹かれたからです。まず、1年次から展開される英語集中プログラムでは、聞く・話す・読む・書くの4技能を総合的に鍛えるための授業が展開されており、そこで「英語で学ぶ」ための能力を十分に身につけられると考えています。また、2年次からの専門科目では、自分の将来の進路や興味に基づき、文化や言語、ビジネスなど幅広い分野の科目を受講できます。
私は将来通訳・翻訳分野の仕事に就きたいと思っているので、ぜひ通訳・翻訳の講義を実践的に受講し、基本的な知識をつけるとともに高い語学力や語彙力、対応力を身につけたいです。
先生の解説
ここからは、受験指導のプロ・神﨑史彦先生に、先輩の志望理由書の「良いところ」を解説していただき、「より良くするための視点」をアドバイスしていただこう。
※本解説はスタディサプリ進路の講師が、志望理由書のよい点とその理由を解説したものであり、合否の判断基準を示すものではありません
教えてくれるのは
神﨑史彦先生
株式会社カンザキメソッド代表取締役。スタディサプリ講師。私立学校研究家。
高大接続・教育コンサルタント。21世紀型教育機構リサーチ・フェロー。
大学卒業後、大学受験予備校において小論文講師として活動する一方、通信教育会社や教科書会社にて小論文・志望理由書・自己アピール文の模擬試験作成および評価基準策定を担当。
延べ6万人以上の受験生と向き合うなかで得た経験や知見をもとに、小論文・志望理由・自己アピール・面接の指導法「カンザキメソッド」を開発する。
現在までに刊行した参考書は26冊(改訂版含む)、販売部数は延べ25万冊、指導した学生は10万人以上にのぼる。
GOODポイント
◎大学で学びたいことや将来やりたいことが明確で、大学でどのようなスキルを身につけそれを将来の職業に活かしたいかというストーリーの筋が通っています。
①◎大学・学科(志望校)のカリキュラムや学びの特徴についてよく調べていることが伝わってきます。
②◎「通訳・翻訳分野の仕事に就きたい」という将来像が明確で、そこに向かって大学で意欲的に学ぼうとする姿勢が伝わってきます。
こうしたらBETTERポイント
○身につけたいスキルばかりが強調されているので、大学で研究したいテーマ(問い)を盛り込むとより良くなるでしょう。
○最後まで読まないと「通訳・翻訳分野の仕事に就きたい」ことがわからないので、これを冒頭にもってくるとより伝わりやすくなるでしょう。
合格した先輩の志望理由書②
公立大学 国際系学部 学校推薦型選抜合格者
志望理由書
※下線をタップすると先生の解説に遷移します
私が貴学を志望する理由は2点あります。
1つ目は、医療について学ぶことができるという点です。高校で所属している国際支援部の活動で、NGO団体であるユニセフハウスに見学に行く機会がありました。そこで、発展途上国の医療には薬が大切だと学び、新薬に携わる医療情報担当者という職業があることを知りました。母が看護師として働いているため、幼い頃から医療には興味を持っていましたが、医療を必要とする人だけでなく、看護師のような医療に直接関わる人たちも支えられる医療情報担当者を目指したいと思うようになりました。○○学部では、大学生の時点から授業やゼミで医療に携われる機会があることに魅力を感じました。
2つ目は、語学学習に力を入れることができる点です。将来は外資系企業の医療情報担当者として働きたいと思っているため、海外の人との意思疎通のために必要になる英語力を伸ばしたいと思っています。幼い頃から英語を勉強してきましたが、実際に英語のみで授業を行ったことがないので、英語のみを使ってコミュニケーションの練習ができる授業があることに魅力を感じました。
私の強みは、協調性があるところです。高校では、音響や照明を操作する多目的ホール運営のボランティア団体に所属しており、舞台を統括する役割を担いました。同じ団体のメンバー、出演者、先生方など多方面の人と連携しながら舞台を作り上げることができました。大学の授業の中でも、ディスカッションやグループワークをする場面では、周りと協力して円滑に進めることができると思います。たくさんの人と関わり、率先してコミュニケーションを取っていきたいと考え、貴学を志望します。
こちらは、外資系企業で働きたいという人の志望理由書だ。
神﨑先生はどのような点を評価しているのだろうか。
先生の解説
GOODポイント
①◎「外資系企業の医療情報担当者」という目指す将来像が明確で、そこに向けて大学で学んでいきたいという意欲が伝わってきます。
②◎目指す職業に関心をもったきっかけ(=国際支援部の活動)となるエピソードが盛り込まれています。
③◎大学・学部(志望校)の学びの特徴について調べていることが伝わってきます。
④◎自分自身を振り返り、自分の強みを大学での学びにおいても活かそうという積極的な姿勢が伝わってきます。
こうしたらBETTERポイント
○将来就きたい職業やそのために身につけたいスキルの話に終始してしまい、大学で深めたい「問い」が欠けているので、そこを盛り込めるとより良くなるでしょう。
国際・外国語学部の志望理由書NG例
興味をもったきっかけから大学で学ぼうと決めるまでのストーリーに一貫性がない、経験や実績ばかりが強調され「問い」が立っていない、オリジナリティーが感じられない…といった志望理由書はNG。
具体的にどのようなものがあるのか見てみよう。
具体性に欠けて内容が薄い例
<やりがちNG例>
貴学の国際関係学部で幅広く学ぶことで、国際社会で活躍するための基礎を築き、社会に貢献できる人材になりたいと考えています。
\改善ポイント/
「国際社会で活躍するための基礎」とは具体的にどのようなものか、「社会に貢献できる人材」とは具体的にどのような人材なのかを深掘りし、盛り込みましょう。
この掘り下げが浅いと、誰にでも書けるオリジナリティーのない志望理由書になってしまいます。
「なぜ」が抜けて動機が伝わらない例
<やりがちNG例>
グローバル化が加速する現代において、国家間の分断はますます深まっており、政治、経済、文化など、あらゆる面で国際的な視点が不可欠となっています。私は、このような国際社会における国と国との関係性に関心があり、その複雑な構造や課題について学びたいと考えています。
\改善ポイント/
課題が一般論になっており、「なぜ国際社会における国と国との関係性に関心をもったか」が伝わってきません。
「なぜ」を自問自答して深掘りし、関心の起点や背景を盛り込みましょう。
国際・外国語学部の志望理由書のポイント
国際・外国語学の特徴は、学際的でアプローチも多様なこと。
それゆえ、志望理由書では自分は何に関心がありどのようにアプローチしたいのかをできるだけ具体的に伝える必要がある。
グローバルな視点、異文化理解、語学力…といったメジャーなキーワードを並べて作った「それらしい志望理由書」では印象に残らない。
これまでの経験や大学でやりたいことを深掘りし、「なぜ」や「どのような」を自分の言葉で語ることを意識しよう。
また、目指す職業や身に付けたいスキルの話に終始せず、「大学でどのような研究をしたいのか」を盛り込むことも大切だ。
国際・外国語学の志望理由書の3つのポイントを、神﨑先生に教えてもらった。
自分の関心事とアプローチの仕方を具体的に記す
特に国際系の学部には、政治、経済、社会、環境、コミュニケーションなどさまざまな専門領域をもつ研究者(先生)が在籍し、それがその大学・学部・学科の特色を生み出しています。
「異文化に興味がある」「将来は海外で働きたい」といった漠然とした志望理由では、「なぜこの大学・学部・学科で学びたいか」につながらず説得力が生まれません。
「どういう研究をどういう学問領域と重ねながらやりたいか」を深めて、「だから私はこの大学・学部・学科(志望校)で学びたい」と意思表明をする必要があるのです。
「自分がやりたい研究」と「志望校」をスムーズにつなぐためにも、自分がやりたい研究ができる大学・学部・学科はどこか、研究室や先生についてしっかりとリサーチしておくことが大切です。
大学で追究したい「問い」を盛り込む
大学は学問を追究する場であり、問いの視点が不可欠です。
翻訳・通訳、キャビンアテンダントなどの将来就きたい職業や、語学力、コミュニケーション力、異文化理解力といった身に付けたいスキルの話に終始するのではなく、「大学でどのような研究をしたいのか」を盛り込むようにしましょう。
そのためにも、自分の興味・関心を深め、「なぜ、~なのか?」「~するためには?」といった自分なりの「問い」を探っていくことが大切です。
「なぜ」を深掘りし、具体性と説得力をプラスする
国際・外国語学はさまざまな学問と融合しやすいため、志望理由書では「なぜ(他の学部・学科や他の大学ではなくこのテーマをここで)学びたい・研究したいのか」という理由を明確にすることを意識しましょう。
「何を(やりたいか)」を起点に、これまでの取り組みや大学でやりたいことを深掘りし、「どのような」や「なぜ」を盛り込むことで、具体的で説得力のある志望理由書になります。
国際・外国語学部の志望者におすすめの本
志望理由書を書くにあたっては、関連する本を読んで理解や考察を深めておくことも重要。
そこで、国際・外国語学部に関連する分野のおすすめ本を神﨑先生に紹介してもらった。
関心を広げ、志望動機を言語化する助けになるものなので、ぜひ読んでおこう。
『世界は誰かの正義でできている アフリカで学んだ二元論に囚われない生き方』 原貫太(KADOKAWA)
善悪や正義の二元論では捉えきれない世界の複雑さを、アフリカでの体験を通じて問い直すノンフィクション。
『異文化理解力―相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』 エリン・メイヤー(英治出版)
異文化間の誤解を防ぐための実践的コミュニケーション指南書。
まとめ
国際・外国語学部の志望理由書では、自分が何を学びたいのかを具体的に表現することが不可欠。
その際には、大学で身につけたい知識やスキル、やってみたい活動などから一歩踏み込み、「大学で何を研究したいか」という自分なりの「問い」を盛り込むことで、キラリと光る志望理由書になる。
学際的な領域なので、どのような研究をしている先生がいるか、志望校選びの段階でしっかりとリサーチをしておくことも忘れずに。
取材・文/笹原風花 監修/神﨑史彦 構成/寺崎彩乃(編集部)
学校パンフでイメージを膨らまそう
学際的でアプローチの幅が広い分野だからこそ、「自分は何に関心があり、どうアプローチしたいのか」を具体的に伝えることが重要だ。
合格者は、自分の関心をどう深め、どのように志望理由書にまとめていたのか、実例を見てみよう。
そして忘れてはならないのが、・・・・・・

