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2016/06/02

買い物に「偶然の出会い」を演出
新しい時代のマーケティングとは?

みなさんが買い物をする時、明確な目的がなくても、「何かいいモノないかな?」とお店を覗くこと、ありますよね。そう、現代は「偶然の出会い」によってモノを買う人が増えています。今回は、そんな時代に求められる新しいマーケティングについて考えていきましょう。

1

あの店に行けば、何かあるかも!
消費者の期待に応える
店づくりが必要

今までのマーケティングは、消費者のニーズに合った商品開発や宣伝を行い、「この商品が欲しい!」と思わせ、購買につなげることが主流でした。しかしその一方で、モノや情報が多すぎて、自分は何が欲しいのか、わからなくなる人も。つまり、偶然の出会いによる「非計画購買」が増えているのは、「あの店に行けば、自分の求めるモノに出会えるかも」という消費者の期待感が高まっているから。すなわち店側には、宝探しのように商品選択のプロセスを楽しむ「快楽消費」への対応が求められています。

2

店の雰囲気に愛着を持った消費者が
長居しながら本も雑貨も買っていく

その一例となるのが「滞在型書店」。みなさんも利用したことがあるのでは?心地よいソファに座り、併設するカフェのお茶を飲みながら、ゆったりくつろげる空間・・・。さらに本だけでなく、エッジの効いた雑貨や文具なども置かれ、ついつい長居&衝動買いしてしまいますよね。独自の売場構成で、「他人とカブらない洒落たモノは欲しいけど、時間や手間はかけたくない」そんな消費者のワンストップショッピングを実現しています。

3

旅行ガイドの隣に奥の細道!?
独自の陳列で未知の本と出会う

もうひとつ、滞在型書店は本の陳列も独創的です。哲学、歴史、社会科学・・・といった分野で分類する通常の日本十進分類法ではなく、たとえば「データを科学する」というように、消費者が本に求める機能で分類。さらに陳列も、「旅のガイドブック」の隣に「奥の細道」が置かれるなど、まるで連想ゲームのように、思いがけないジャンルとの出会いが楽しめるよう工夫されています。

4

モノを売るためだけじゃない!
新たなライフスタイルの提案も

「目当ての本を買う店」から、「本や雑貨との一期一会を楽しむ場」へ。店頭起点のマーケティングにより、滞在型書店では書籍の売上が大幅に増加。若い世代の読書離れに一石を投じることもできたようです。こんな風に、ただモノを売るだけではなく、社会に新しいライフスタイルや文化を提案するのも、マーケティングが担う重要な役割なのです。

大塚 英揮先生

専門はマーケティング、ブランドマネジメント。
慶応義塾大学院商学研究科博士課程単位取得満了。2004年本学に着任。著書に「地域金融機関のサービスマーケティング」(共著)。ビジネス学部教員。

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