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2023/03/01

どうして目は2つあるの?
想像以上に精密な視覚の世界

スマホを見る、勉強する、今日のコーデが決まっているかチェックする。私たちの生活に欠かせない目。人間は、受け取る情報の実に8割以上を視覚から得ているとも言われています。今回は、私たちが毎日お世話になっているのに、その仕組みをよく知らない、視覚の不思議に迫ります。

1

両目で見るから
視界が立体的になる!

なぜ、目は2つあるのでしょうか。片方でも目の前の風景を見ることはできますよね。でも、それは写真と同じ平面の世界。両目で見ることで、初めて立体感が生まれます。その仕組みはこう。左右片方ずつの目でモノを見ると、微妙にずれて見えますよね。私たちがモノを見る時、左右の目からそれぞれの画像が脳に送られ、脳はそのずれをもとに立体的な映像を作り出します。これが立体視。だから片方の目を閉じると、距離感をつかみづらくなってしまうのです。

2

草食動物は
立体感よりも視野の広さを優先

次に、視野をみてみましょう。人間の視野は、左右それぞれ約100度、両目で200度ほど。ちなみに、うさぎの視野は360度と言われていますから、全然違いますよね。草食動物や鳥類、魚類などは、周囲から忍び寄る天敵から素早く逃げるため、顔の側面に配置された2つの目で、広い視野が得られるように進化しました。しかし反面、立体的にモノを見る力は弱いそう。同じ世界に暮らしていても、生き物によって景色の見え方はさまざまなのです。

3

あなたはどっち?
目にも右利きと左利きがある

ところで、手と同じように、目にも右利き・左利きがあるのを知っていますか?調べ方は簡単。まず遠くにある目標物に合わせて人差指を立て、片方ずつ目を閉じて見て下さい。どちらも微妙にずれますよね。この時、ずれの少ない方が利き目です。たとえば野球のバッティングでは、利き目を投手に向ける(利き目が左なら右打ちにする)と、ずれが少なくなりしっかり狙えることもあるそう。筋肉差などもあるので一概には言えませんが、興味のある人は試してみては?

4

見ているのは目だけじゃない
視覚を支えているのは「脳」

目だけでなく、脳も深くかかわっている視覚。目は、光や色を取り入れて、その情報を電気信号に変換し、神経を通じて脳に伝えます。ですから、「モノがぼやけて見える」「視界の中に見えない部分がある」などの不調が起こった時、目ではなく、視神経や脳に病気が隠れていることもあるそう。情報化など社会の変化により、日々酷使され続けている私たちの目。大切な目の健康を守るために、医療機関などでの定期的なチェックが今まで以上に求められています。

稲垣 尚恵先生

専門は視能矯正学。
神戸大学教育学部卒業。国立大阪病院付属視能訓練士学院卒業。兵庫教育大学大学院学校教育研究科学校教育学専攻修了。視能訓練士、教員として活躍後、2014年本学へ。健康医療科学部医療貢献学科教員。視覚科学、視能矯正学などの授業を担当。

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