
2024/03/21
家で、外出先で、家族や友人が突然倒れた!大きな病気や事故は、いつ、どこで起こるかわかりません。そんな時に重要なのが、速やかに119番通報することと、そばにいるあなたが応急処置を行うこと。今回は、いざという時に役立つ救急救命の知識をご紹介します。

消防庁が発表したデータによると、令和4年の全国の救急車出動件数は722万回余り。通報を受けてから救急車が現場に到着するまでの時間は平均10.3分とされています。それに対して、人間は心臓停止後約3分で死亡率が50%に達し、脳に障害が残る可能性も高くなってしまいます。だからこそ、救急隊が到着する前に行う、そばにいる人(バイスタンダー)の「一次救急処置」が何よりも大切。救命のバトンリレーは、あなたからスタートするのです。

目の前で人が倒れたり、呼び掛けても反応がない時は、まず大声で人を集めましょう。屋外の場合は安全な場所に移動した後、「あなたは119番」「あなたはAED」と具体的に指示を出すとスムーズです。AEDが到着するまでは(もしくはない場合は)、胸骨圧迫を続けます。やり方が分からない場合でも、通報に対応した司令官が電話越しに教えてくれるので安心です。またAEDは、機材に使用方法が書かれているので、周囲に経験者がいない場合は勇気を出して使ってみましょう。

救急車が到着したら、救急隊員に速やかに状況を伝えましょう。あなたから命のバトンを受け取った救急隊員は、現場や救急車内で傷病者に対して適切な応急処置を施す「病院前救護」にあたります。救急隊員は基本的に3人1組で、うち1人は救急救命士でなくてはなりません。救急救命士は、心肺停止の傷病者に対して、静脈路確保の点滴や、器具を用いた気道確保といった特定行為が許されているスペシャリスト。医療への第一歩を踏み出すプロなのです。

いかがでしたか?「バイスタンダーの重要性は分かったけど、やっぱり自信がない」という人は、地域の消防署や赤十字などが行っているAEDの講習や、消防庁がリリースしている一般市民向けの「応急手当WEB講習」などを受講するのもおすすめです。基礎的な知識を学ぶだけでも、いざという時の対応は変わるもの。現に、愛知淑徳大学で救急救命学を専攻する入学直後の女子学生が、学校帰りに心肺停止の傷病者に救命措置を施し、命をつないだこともあるそうです。