
2024/04/04
理学療法やリハビリと聞くと、ケガをした後などに取り組むイメージがありますよね。しかし近年は、健康な人に対する病気やケガの予防や、障がいのある人への生き甲斐づくりにも理学療法の領域が広がっています。今回は、年齢や健康状態を問わず、みんなに役立つ「理学療法の今」をご紹介しましょう。

年齢を重ねるごとに低下すると言われる日本人の運動量。運動不足は糖尿病など生活習慣病を引き起こす要因であり、それが医療費や介護費の増大にもつながりかねません。そんな中、理学療法の分野でも、予防医学的な取り組みが進められています。例えば、「NEAT」(Non-Exercise Activity Thermogenesis:非運動性熱産生)の啓蒙もそのひとつ。家事や通学、ストレッチなど、スポーツ以外の身体活動でも、健康効果が期待できるのだそうです。

受験勉強に取り組む高校生の皆さんには、「NEAT」はもちろんですが、有酸素運動が特におすすめです。勉強する前に、速足での散歩やランニングなど、少し息が弾むくらいの運動を5分でもいいので行うと、集中力や記憶力が格段にアップ。効果的に学習を進めることができます。反対に、してはいけないのが、スマホでSNSなどを長時間閲覧すること。目安として1日60分以上閲覧すると、集中力や記憶力が低下することがわかっています。

心身に障がいのある人にも、身体活動は有益です。例えば、車いすに乗った人と、立って踊る人がペアを組む「車いすダンス」。音楽に合わせて上半身を揺らしたり、動けない人も他動的に手を動かしたりすると、健常者の早歩きレベルの運動量に。また運動の効果で筋肉がリラックスし、痛みが軽減したり、食事を飲み込めるようになったりすることも。さらに踊る楽しさや、大会への挑戦が生き甲斐となり、気持ちまで前向きになる人も多いそうです。

病院や診療所でリハビリ指導を行うだけでなく、高齢者施設ではお年寄りの日常生活の機能維持、行政機関では地域住民の健康増進や介護予防、障がい児通所や特別支援学校では子どもたちの健やかな成長のための支援など、活躍の場が広がる理学療法士。国民総健康社会に向け、そのニーズはますます高まっています。自分が身につけたスキルで、誰かの健康や人生を支えられる仕事を、あなたもめざしてみませんか?