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2023/03/01

ゲームをすると国語の成績が上がる?
人とデジタル情報の意外な関係とは

ちょっとだけと思いつつ、時間を忘れて夢中になってしまうゲーム。家族から「いい加減にしなさい!」と注意されたことのある人も多いのでは?普段は悪役にされがちなゲームですが、近年では私たちに有益な、さまざまな効果があることがわかってきました。今回は、「視覚」と「脳」をキーワードに、人間とデジタル情報の知られざる関係に迫ります。

1

アクションゲームをするだけで
脳や視覚は鍛えられる!
ゲームをしている時、身体には何が起こっている?

「ゲームで脳を鍛える」と聞くと、文字や数字の出てくる、教育的なものを想像しますよね。でも、普段私たちが楽しんでいる対戦アクションやシューティングゲームにも、脳に良い影響があることをご存知ですか?素早い動きを求められるゲームをおこなうと、物体の位置や形状を瞬時に、正確に認識する空間認知能力や、画面情報を記憶する力などが向上し、視野も広がるのだそう。こうした脳や視覚への影響にフォーカスした研究が、さまざまな分野で進められています。

2

見る力が鍛えられると、
読む力も伸びる!

そのひとつが、ゲームによる読む力の向上です。私たちは文章を読む時、一つひとつの文字をとらえ、単語の意味を理解して記憶しながら、一貫した文章として認識する。この作業をスピーディにこなしています。つまり必要なのは、ゲームと同様に視覚力や認知力、記憶力。だからゲームをすることで読む力も上がり、国語の成績UPが期待できるという訳です。ほかにも高齢者の認知症予防や、eスポーツ競技者のトレーニングにも、ゲームが役立てられているそうですよ。

3

目から入った情報を
脳が処理する仕組みとは?

こうしたゲームをはじめとするデジタル映像は、私たちの視覚の仕組みに基づいて作られています。人間は光を目で捉え、脳で処理しながらモノを見ています。そのため、実際の物理情報(光)と見えているもの(心理)が違うことも。たとえばゲームの映像を映し出すテレビは、高速で切り変えながら静止画を表示していますが、私たちの目には動いて見えますよね。これは、視覚の残像効果を利用した技術。パラパラ漫画をイメージするとわかりやすいですね。

4

人に寄り添うモノづくりが
より良い未来を拓く

色についても同様です。テレビは3色の光(赤・青・緑)で色を再現していますから、本来なら3色しか見えないはず。でも、私たちは多彩な色を見ることができます。これは、人間があらゆる色を3色の組み合わせから感じる特性を持っているから。このように、人の知覚や認知の仕組みを理解することで、今までにないさまざまな製品やサービスを生み出すことが可能になります。人に寄り添うモノづくりで、未来をもっと面白くする。そんな学びを始めてみませんか?

瀬谷 安弘先生

専門は視覚心理学、認知心理学、スポーツ科学
中央大学文学部教育学科心理学コース卒業。東京都立大学大学院理学研究科身体運動科学専攻博士課程修了。博士(理学)。甲南大学知的情報通信研究所、東北大学加齢医学研究所、立命館大学情報理工学部を経て、2016年本学へ。人間情報学部教員。視覚心理学などの授業を担当。

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