2016/07/14
生まれたばかりの赤ちゃん、可愛いですよね。でも、何も知らず、何もできない存在・・・と思ったら大間違い。実は大人を凌ぐすごい能力を持っているんです。今回は、人間の成長や発達の不思議に迫ってみましょう。
赤ちゃんが外部からの刺激や情報を吸収しながら、知識や運動の能力を養っていくのは、皆さんもご存知の通り。でも逆に失われる力もあることを知っていますか?実は生後6か月くらいまでの赤ちゃんは、一匹一匹のサルの顔を識別できる能力や、日本人でも英語のLとRの発音を聞き分ける力を持っているんです。
でも、大人になってサルの顔を見分けられる人はあまりいませんよね。それは、人間の日常生活ではサルの顔を識別する力は必要ないから。脳の神経細胞は、生後半年たつと出生時の約6分の1に減少し、必要な能力だけがより強固になって残ります。何だかもったいない気もしますが、これは生きる上で必要な力を強くしていくために欠かせないプロセスなんですよ。
今度は子どもとお年寄りの特性の違いから、人間の能力の変化を見ていきましょう。各年代で図形を記憶する実験をおこなった結果、子どもは形→模様→色の順に認知能力が発達し、お年寄りは色→模様→形の順に衰えていくことが分かりました。つまり早く発達した能力ほど長く残るということ。この結果をもとに、子どもが学びやすい教材や、お年寄りが理解しやすい標識を考えることができますよね。
今回ご紹介したように、時間の経過に伴い、人間の知覚や記憶力、コミュニケーション能力がどう変化していくかを学ぶのが「発達心理学」。あらゆる年代の特性を理解することで、人間の生涯を通じたより良い生き方や、世代の異なる人々が豊かに交流できる社会のあり方を探究できる、人に優しい学問です。