価値観が多様な未来で建築は、多様なニーズに合わせた提案力が求められます。シニア向け、子育て向けなど明確な目的を持つ住宅はもちろん、内と外がつながったデザイン重視の建築や、もしかしたらドローン技術を応用した可動式の住居なども登場するかもしれません。一方で、CO2削減や環境への配慮から、これまでの古い物を壊し新しく建て替える動きは減少するでしょう。そこで注目すべきは空き家の再生です。資源の再利用のみならず、防災の観点からも重要です。災害に強い地域というのは活力があります。ところが空き家が多いとその活力を損なってしまうのです。劣化した建物は、災害時に倒壊の危険も高まり避難の妨げや二次災害につながる懸念もあります。
空き家の状態はさまざまで、リノベーションの際に考慮することは多岐に渡ります。建築家であれば、再生に必要な具体的な課題、例えば耐震などの安全性や、地域の特性に添ったデザイン、建築基準法の対応、もちろん利用者のニーズも的確に解決できます。もっというと、個々の空き家を解消するだけでなく、災害に強い、活力あるまち全体の設計図を描くことも可能です。現在大学では、IoTを活用した防災対策の研究なども進めています。これを空き家再生と同時に進めれば、取り残されがちな古い建物の安全性も担保できます。エコで安全な地域づくりは、大学と地域そして建築家の連携で実現します。