国士舘未来予測2050

変化に合わせて柔軟に。法で救う未来

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所有者不明の土地問題を法律で解決

人々の暮らしが近づく未来のまちで、解決すべき課題の一つに所有者不明の土地があります。もともと土地は民法上、必ず誰かの財産となっていますが、近年、土地の所有者が簡単には分からない事態が発生しています。サスティナブルなまちに向け再開発に取り組む際、このような土地は計画の妨げになるだけでなく、災害対策にも支障をきたします。例えば水害への備えが必要なまちなどは、防災上高台移転が有効ですが、長年放置された土地の場合、相続人が多数存在するケースも多く、一部の所有者の連絡先が分からなかったり、すでに亡くなっていたりすると移転計画がなかなか進みません。現在このような土地は日本全国で、九州ほどの面積があると推測されています。

人に寄り添いトラブルに対処

問題解決には、民法や行政法など、所有権を保護しつつ土地の有効活用をスムーズにする法律の制定が不可欠です。2021年4月制定の相続土地国庫帰属法は、相続した土地の所有権を放棄し、国に帰属させる制度です。所有者不明の土地を有効活用する行政法も新たに設定されています。例えば老人ホームや保育園などの地域福利を目的とした事業なら、土地の所有者が全員判明しなくても活用できるというものです。法は、時代の変化や社会課題に合わせて柔軟に変化していくもの。土地だけでなく暮らしにまつわるさまざまなトラブルを解決できる法を学ぶことは、より良い未来をつくる手段になります。

Sustainable Town