知覚情報処理研究室

アートとコンピュータビジョン。
幻想体験を支える、
センシングシステム開発。

指の仕草が少し変わると
 アートの動きが変化する。

学会に出席するたびに目にしてたチームラボの仕事。
アートとコンピュータビジョンを組み合わせた作品は、
どこにもない幻想体験をつくりあげます。
高度なテクノロジーを使っているにもかかわらず、
人にそれを意識させずに、心地よい体験に仕上げるのは
とても夢がある仕事です。

私が担当しているのはアートと人をつなぐセンシングシステムの開発。
精度を上げることができれば、大きな塊としてしか認識できなかった
人の姿が、指先の細かな動きやちょっとした仕草までを
アートに反映できるようになります。
感動を生んだり、驚いたり、子どもたちが笑顔になったり。
自分が携わった作品が、人の体験を豊かにしている。
その手応えがダイレクトに伝わってくるのが、
なにより嬉しい瞬間です。

大学の研究室のように考えて、議論して、
アイデアを出し合う。
この熱気が心地良い。

仕事では、私の専攻をダイレクトに活かせています。
大学の研究室の延長のようで、自由な雰囲気も心地良い。
様々な分野のプロフェッショナルが集まって、
一つの作品をつくりあげていくのは、毎日が刺激的です。
ミーティング一つ取っても、色々なアイデアが飛び交い、
予想もしない化学反応が起きます。
新しい技術や表現に常に触れられるこの場所で、
自分のスキルや知識をさらに磨いていく。
それがまた、楽しくて。

AIに「知らない」ということを
どうやって教えるか。
なぞなぞみたいですよね。

学生時代に取り組んでいた研究は、
AIに「自分はこの情報を知らない」と理解させることがテーマ。
AIは学習を重ねることで成長していくわけですが、
「自分はこの情報を知らない」ということを認識させるのは
なかなか深いテーマなんです。
ここが曖昧になると、例えば一時停止の標識と
有名ラーメン店のマークを同じものだと勝手に推測してしまいます。
AIと人間の知性の違いや共通点を探究していく研究。
とても哲学的で、興味深いテーマです。

こんなに面白い研究を
 途中でやめるなんてできない。
  だから、大学院へ。

大学院への進学は早い段階で決めました。
こんなに研究が面白いのに、1年でやめちゃうのはもったいない。
それが進学の決め手です。
大学院の2年間で、学会での研究発表を3本、
より権威がある査読付の論文を1本発表することができました。
それでも、満足度は50点ぐらい。
今思うと、これぐらいでいいか、という甘えが出ていましたね。
もっとやりきることができたはず、と思います。

50点の自分から
120点の自分へ。
 そうじゃないと納得できる
人生にならないんじゃないか。

社会人として私が目指すのは、仕事を通して社会に貢献すること。
堅苦しく聞こえるかもしれませんが、
自分の興味があることをカタチにしていくなかで、
5年先、10年先に、
気づいたら大きな社会貢献につながっているといいな、と思っています。
学生時代は自分に甘く、50点ぐらいだったので、
今は120点を目指してやろうという思いがすごく強いんです。
そうしないと、自分が納得できる人生を送れないんじゃないかと感じています。
ここまではその道を一歩進んできたと思うし、
これからの仕事を通じて、もっと面白い未来をつくっていける。
そう信じています。

Profile

知覚情報処理研究室 卒業生

江藤 謙さん

システムデザイン工学研究科
[修士課程]
情報システム工学専攻

2024年3月修了
チームラボ 勤務

子どもの頃は、ゲームをするよりも
その仕組みを探るのが面白かった

小学生の頃、初めて手にしたパソコンが、私の世界を大きく広げてくれました。
ディスプレイの向こうには別の世界が広がっていて、何でもできるような気がしていました。
ゲームに夢中になっていたのが、いつのまにか「ゲームはどうやって動いているんだろう?」と考えるようになり、その仕組みを探ることがおもしろくなっていった。
高校生になると、パソコンの中をあれこれといじってみたり、電子辞書を改造して無理やりWindowsを動かしてみたり。
ネットで見つけた情報を元に、見よう見まねで色々なことに挑戦しては失敗する毎日に研究に夢中になっている今の自分の原点があったのかもしれませんね。

Corporate

チームラボ

アートコレクティブ。2001年から活動を開始。アート、サイエンス、テクノロジー、そして自然界の交差点を模索している国際的な学際的集団。アーティスト、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、様々な分野のスペシャリストから構成されている。

江藤さんが携わった作品も
多数公開され、好評を博している

システムデザイン工学部
情報システム工学科

知覚情報処理研究室のいま

「群衆の中に小さく写る人物を
認識特定せよ」
機械学習と
コンピュータビジョンで挑む

画像から人物を特定する画像認識技術は、今では顔認証などとして普通に使われています。しかし、顔の特徴などを判別できるある程度大きな画像が必要で、人混みの中に小さく映り込んでいる人などを識別することはまだ実現できていません。私たちが通常使っているカメラではひとつの画像素子の中にRGB(光の3原色)情報を記録して画像を生成していますが、このRGB画像を使った検出方法には限界があります。その限界を超えるために、RGBの3色の波長(バンド)だけでなく150バンドの情報を記録できる「ハイパースペクトルカメラ」で得られた膨大なデータを使って人物認識の精度を上げるというのが、私が取り組んだ研究です。AIに何をどのように機械学習させれば、膨大な情報から人物を特定できるか。最初は気持ちがはやりすぎて、思うように成果を出せずに苦労しましたが、「今できることから始めよう」という小篠先生の言葉が支えとなり、一歩ずつ進むことで課題を乗り越えられました。RGB画像で1000画素分と同じ識別精度を、ハイパースペクトル画像5画素分で実現できたという研究成果は、自分にとって誇れるものになりました。研究の面白さは、自分の手で未来をつくっているという実感を得られることです。将来は国際的なプロジェクトに携わり、さらに新しい未来をつくっていける研究をしていきたいと思います。

知覚情報処理研究室とは

小篠 裕子 准教授

コンピュータをより知的に進化させるために、人のように世界を理解するAIを目指し、コンピュータビジョンやパターン認識、機械学習などに関する研究に取り組んでいる。

システムデザイン工学部
情報システム工学科
岐阜県/県立中津高校 出身 松井 潤さん

私にとってのDesign(デザイン)

なりたい将来の自分をデザインする

つねに自分の理想を思い描くことを心がけています。目標を持ち続けることで、現状に満足することなく、少しでも前に進み続けることができます。なりたい自分をデザインすることが大切だと考えています。

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