先端マテリアルデバイス研究室

最高峰に挑み続ける。
まだ誰も見たことがない、
半導体の景色を目指して。

原子レベルの世界の差が、
 半導体を生かしもすれば
  スクラップにもするんです。

スマートフォンにAI、テレビにカメラ。
現代生活に不可欠なテクノロジー、それが半導体です。
この半導体、実はウイルスよりも小さな原子レベルの異物があるだけで
あっというまにスクラップになってしまうんです。
それはつまり、半導体の洗浄技術の優劣が、
その性能を大きく左右するということ。
私が勤める会社は、その製造装置のパイオニア。
特に洗浄装置は世界トップシェアということもあって、
日々、名だたる半導体メーカーから依頼が持ち込まれます。
この世界は競争が激しく、ライバルも多い。
ぼーっとしていると、あっというまに時代に取り残されてしまうんです。
常に3年後、5年後を見据えて、
新たな洗浄技術を生み出し続ける。
それが厳しくともおもしろい、今の私の仕事です。

Very Good.その一言をもらうだけで、こんなにもアドレナリンが
出るなんて。

洗浄のプロセスには、無限の可能性が存在します。
どのタイミング、どの角度で、どの機能、どの薬液を使うのか。
一人で解決できない問題については
メカや電気電子、ソフトウェアの専門家とも知恵を出し合います。
難しいのは、すべてのオーダーに前例がないこと。
クライアントは世界トップクラスの製品を目指しているため、
洗浄装置もまた、その最高峰に見合う新たな手法が求められます。
重圧を感じることも少なくありませんが、
クライアントの厳しい要望に応えられたとき、
性能試験で「Very Good」と評価されたときは、
アドレナリンが洪水のように湧き出してくるのを感じるんです。
「ベストの処方ができた!」「新しい手法が生まれた!」って。

あの日、
教授に出会わなければ
今の僕はいなかったかもしれない。

半導体デバイスを作ってみたい。
そう思ったのは高校生のとき。
大学では電気電子を学んで、
卒業後はそのまま半導体開発に携わるつもりでいたのですが、
就職活動のときに「開発をやるなら大学院に行かないと」と言われてしまって。
あぁ、僕はなにも知らなかったんだなと。
偶然にも、このタイミングで大学に着任されたのが、
先端マテリアルデバイス研究室の新設を任された森山悟士教授。
「うちなら半導体デバイスを作れる」
「今なら一期生として研究の立ち上げにも関われるよ」
先生の言葉には単純にワクワクしましたし、
なにか不思議な縁に導かれたような気がして、
そのまま研究室の扉を叩くことを決めました。

大学院時代は、好きなことだけに囲まれた
  夢のような日々を過ごしていました。

大学院で挑戦したのは、
グラフェンという画期的な素材を活用した新たな光デバイスの開発。
森山教授に相談すると「いいね、やろうよ」と乗ってくれて。
先生の後輩でもある、物質・材料研究機構の職員の方も紹介していただき、
最先端の研究設備を使った実験にチャレンジすることになりました。
平日は、日本有数の研究機関で世界初に挑む科学者と席を並べる。
休日は、小学校から続けているフィギュアスケートで汗を流す。
大学院時代は、好きなことだけに囲まれた夢のような日々を過ごしていました。
研究の最終段階では、新たな構造による光センサーの高速応答を確認。
大学院時代に研究開発の一連の流れを実践できたことは大きかったですし、
「やっぱり将来は新しい半導体の開発に携わりたい」という確信は、
そのまま現在の仕事を選ぶ理由になりました。

目指すのは、最高峰。
フィギュアスケートで言うなら、
4回転ジャンプですよね。

洗浄技術の現在地は、フィギュアスケートでたとえるなら2回転ジャンプと言ったところ。
会社は次元の違う4回転ジャンプを目指しているため、
現在はさらなる技術革新を目指して試行錯誤を続けている状況です。
ただ、この目標は一人の力だけで達成できるものではありませんし、
技術力を磨くだけではきっと、その高みには届かない。
普段の仕事でも多種多様な専門家との連携は必要不可欠ですし、
自分がどう立ち回れば仲間が動きやすくなるのかとか、
これを作ったらクライアントはどう感じるのかとか、
そういうのもすべて含んで初めてたどり着ける場所なんだと思います。
最近、よく思い出すのは、
東京電機大学の教育・研究理念である「技術は人なり」という言葉。
人格者というと大げさかもしれませんが、
まずは人としてちゃんと成長することが
案外、4回転ジャンプへの最短距離なのかもしれません。

Profile

先端マテリアルデバイス研究室 卒業生

Sato Yodai佐藤 遥大さん

工学研究科
[修士課程]
電気電子工学専攻

2024年3月修了
SCREENセミコンダクターソリューションズ 勤務

高みを目指して全力を傾ける、
そんなスポーツ少年でした。

フィギュアスケートに出会ったのは、小学生の頃。
当初はその珍しさや新しさに惹かれて始めたのですが、次第にできなかったことができるようになる喜びにハマって、気づけばすべてのエネルギーを傾けるようになっていました。
人がやらないようなことや新しいことをしたい、夢中になると高みを目指したくなる、今思えば、そんな性分だったのかもしれません。
座学よりも身体を動かす方が好きだったので、大学選びでは実践を重視する東京電機大学を志望。
現場で手を動かしながら、半導体製造の新しい手法を生み出す。
そんな今の仕事に夢中になったのも、偶然ではない気がしています。

Corporate

SCREEN
セミコンダクターソリューションズ

創立80年以上の歴史を持つSCREENホールディングスのグループ企業。世界トップシェアを誇る主力の半導体洗浄装置だけでなく、レジスト塗布・現像、熱処理といったウェーハ表面処理装置、高速かつ高精度に品質をチェックする検査・計測装置などの開発を通じて半導体の進化の一翼を担っている。

工学部
電気電子工学科

先端マテリアルデバイス研究室のいま

量子コンピュータの実用化につながる、
-270℃の超低温で動くトランジスタを研究

新原理のコンピュータとして量子コンピュータが注目されています。その理由は、ある種類の計算ではスーパーコンピュータが何年もかかる処理を、わずか数分で終えられる可能性を秘めているからです。しかし、実用化には多くの課題があり、世界中で研究が進められています。量子コンピュータは、計算を担う量子ビットと、それを制御する回路などで構成されています。量子ビットは絶対零度に近い超低温環境でしか安定して動作しません。そのため、制御回路も信号遅延などを抑えるために量子ビットの近くに置く必要がありますが、室温下に設計されたトランジスタは、低温下でスイッチング特性が変化するなどの不具合を起こします。私の研究では、このような超低温環境下でのトランジスタの振る舞いを物理的に解明し、超低温で動くトランジスタ(Cryo-CMOS トランジスタ)の開発につなげることを目指しています。学部時代には、室温トランジスタの製造プロセスと評価技術を学びました。その知見を生かして、低温トランジスタの特性解明に挑み、量子コンピュータ実用化の一助となる成果を目指しています。

先端マテリアルデバイス研究室とは

森山 悟士 教授

原子一層の薄膜という究極の電子材料である「2次元原子層薄膜」や最先端のシリコン技術を使った、新しい電子デバイスの開発に関する研究をしています。

大学院 工学研究科
電気電子工学専攻 1年
神奈川県/山手学院高校 出身 Katori Takumi香取 匠さん

私にとってのDegree(学位)

電大で学位を取得し、社会に羽ばたくことは私の誇り

多くの人にとって学位を取得するのは一度きり。その過程で、特に研究を通してさまざまな方と出会い、成長できたことは、かけがえのない財産であり誇りだと思う。