データサイエンスとAIで、世界を変える。

人の感性を数値に変える。
「感覚」のデータサイエンス

国際共生学科 渡邉 志 教授

「感性情報学とデータサイエンス」

あいまいなものを見える化する
私が専門としている感性情報学では、痛みや暑い・寒いという感覚、匂いなど、感覚や感情というとても主観的なものを、数値に表して客観化することを研究テーマにしています。例えば、ある強さの刺激をどれぐらい痛いと感じているかをアンケートでデータをとっても、そもそもの基準が人によってバラバラなので、単純に比較はできません。そこで、人間が意思ではコントロールできない脳の血流や心拍数などの生体信号のデータを同時に取得して、身体が痛いと反応している客観的な痛みの強さを一緒に計測して相関関係を解析すると、ある強さの刺激に対して、どれぐらいの人が「痛い」と感じているのかが見えてきます。感性情報学は、人間の気持ちや感性、感覚といった「あいまい」なものを、データによって「見える化」しようというデータサイエンスです。
多様な社会のコミュニケーションに欠かせない「データサイエンス」
データサイエンスはそれ自体が一つの研究分野ですが、あらゆる研究で使用される分析手法でもあります。何かを調べようとするとき、そこには必ずデータが出てきます。得られたデータをどう分析すれば、知りたいことにたどり着けるのか。逆に、自分の興味があることを調べるためには、どんなデータを収集して、どのように分析すればいいのか。データサイエンスは、自分が知りたいことを研究する手法であり、その内容を事実として説明するための手段です。
感性情報学で、感情や感覚などを見える化していくと、人間が感じている内容には「幅」があるということに気づかされます。例えば、ほとんどの人が「この音楽は暗い」と評価している曲でも、「明るい」と感じている人はいます。私たちが暮らしているのは、そんな多様な価値基準を持った人々が集まっている社会です。自分の常識や価値観が、相手が感じているものとは異なっていると気づくことは、多様性が重要視される社会で大切なことです。さまざまな価値基準を持つ多様な人々とコミュニケーションする際には、客観的なデータで説明することが大きな役割を果たします。データサイエンスは、人と人とがわかり合える社会の実現につながっています。

データサイエンスの
研究ができるのは

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