地球環境を救うのは、生物の力だ。

地球温暖化をコントロールするキー・サイエンス
森林生態系の研究

森林学科 上村 真由子 准教授

「森林生態学」

排出される二酸化炭素の3割を吸収する森林
温暖化が進む地球環境問題で大切なのは炭素管理です。温暖化を止めることはできませんが、進行をコントロールするために、増え続ける二酸化炭素をどう管理していくかが大きな焦点になっています。森林は、人間活動で排出される二酸化炭素の約3割を吸収している重要な環境であり、最も安全で安価に二酸化炭素を固定してくれる場所です。
森林は自立しています。畑のように、外部からの栄養に頼る必要はなく、微生物などの分解者が、植物が出したものを分解し、再び植物が利用できるようにして戻すという循環が成り立っています。ただ、そのバランスは繊細なものであり、地球温暖化がこの循環にどのような影響をもたらすのかは、まだよくわかっていません。複雑な生態系である森林は一つのわかりやすいルールで制御されるということはほぼありません。知見を知識として積み上げるために、これからも数多くの研究を重ねていく必要があります。
サステナビリティに貢献するグリーンジョブ
森林生態系は、農業や都市、海洋の生態系とは異なる特徴を持っており、根本的に私たち人間が依存している生態系の一つです。森林科学を学ぶことで、森林の生態系の機能についての理解が深まり、環境保全や生物多様性保全のための知識を獲得し、持続可能な資源管理や利用のための知識を獲得することができます。
現在様々な企業が、二酸化炭素の排出量と吸収量をオフセットするカーボンニュートラルに取り組んでいますが、その大きな受け皿になっているのが森林です。これからの社会に求められる人材として、その森林がどれぐらいの二酸化炭素を吸収するかを評価する人材や、目的に適した場所を選定できる人材、どうやって二酸化炭素を吸収させるかを考えられる人材も必要になってきます。国際労働機関(ILO)は、2007年に二酸化炭素排出量の削減を通じて環境の保全や保護、またサステナビリティに貢献する仕事を「グリーンジョブ」として提唱しましたが、その仕事の重要性はますます高まってきています。森林のことを理解し、これを基盤として社会へ貢献できる人材を社会が求めています。

地球環境を救う
研究ができるのは

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