杉本 樹梨

有人宇宙システム株式会社
ISS利用運用部/主務 「きぼう」実験運用管制要員
理学部物理学科/2012年3月卒
立教大学大学院 理学研究科物理学専攻 修士課程/2014年3月修了
立教大学大学院 理学研究科物理学専攻 博士課程/2017年3月修了

物理の分野を横断的に学べる立教で 宇宙をとことん追究

高校時代、「宇宙を学べる大学」でインターネット検索をして見つけた立教大学。当時、天文学者をめざしていた私は、宇宙に関する研究が盛んな大学へ行き、大学院にも進もうとすでに決めていました。立教では、とくに大学4年から博士課程修了までの6年間は濃密な研究ができたと思います。X線の量からブラックホールや銀河の動きを調べたり、興味を思いきり追究できる毎日は楽しかったですね。現在の職に就いたのも、院での研究を通して今の会社を知って、宇宙を取り巻くモノやコトを運用する側に関心が広がったからです。私は決して優秀な学生ではありませんでしたが、疑問を解明するために粘り強く試行錯誤する姿勢は立教で身につけた財産です。

「きぼう」で行われる実験を JAXAからサポート

地上400kmを周回する国際宇宙ステーション(ISS)。その一部、日本の実験棟「きぼう」で行われる実験を、JAXA筑波宇宙センターの運用管制室からサポートしています。具体的には、実験の手順書作成、実験を行う宇宙飛行士への指示、実験データの監視や研究者への引き渡しなど。「きぼう」でマウスを長期飼育し、その体の変化を細胞レベルで調べるミッションにも携わりました。微小重力をはじめ、宇宙環境が哺乳類に及ぼす影響やそのメカニズムを解明することは、未来の有人宇宙探査に役立つだけでなく、医療の発展などに貢献することにもつながります。それを支えるチームの一員として大好きな宇宙に関われることは、生きる喜びそのものです。

「なぜ?」を大切に 物事の本質にふれ続けたい

初めて運用管制室に入った日のことは今も忘れません。「きぼう」内の宇宙飛行士とリアルタイムで交信する様子を見て感激し、ISSのライブカメラが映し出す地球の美しさに息をのみ、雲が流れる様子に圧倒され…昔から新しい体験に心躍らせ、小さなことにも「なぜ?」という気持ちをもって向き合い、物事の本質に近づいていく過程に楽しさを感じていました。宇宙に関しても同じで、幼い頃、祖父とよく訪れたプラネタリウムで芽生えた「もっと知りたい」という思いを大切に歩み続けて今があります。これから実験運用管制要員として経験を積んで一人前になり、将来、月や火星での有人宇宙探査が実現するときはそのプロジェクトに関わることが夢です。