北島 真帆さん Maho kitajima
法学部 法律学科|2019年卒|日野自動車株式会社 法務部ビジネス・リーガルグループ 主任
※本ページの情報は、すべて取材時のものです。
日野自動車株式会社で企業法務を担当し、会社のビジネスを法律の面から支える仕事をしています。主な担当業務は、新規事業立ち上げや取引先拡大などの際に、会社にとってリスクや問題点がないか、契約を締結する前に検証を行う契約書レビュー業務。もう一つ、各部署からの法務相談対応も担当し、日々の事業で起きる問題や疑問に対して、法的な観点で提案を行います。企業法務は他にもコンプライアンス、M&A(企業合併・買収)、訴訟対応など、攻めと守りの両面で、企業の発展をサポートする重要な役割を担っています。
扱う法律は、大学で学んだ民法や会社法だけでなく、独占禁止法、製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(通称「取適法」)、業界特有の法律や規制など多岐にわたります。大切なのは、ビジネスの背景を理解しながら、事業部署のやりたいことを叶えつつ、リスクを最小限にするにはどうすべきかを考えること。事業部と一緒にビジネスを前に進めていくことに、大きなやりがいを感じています。最近では経営統合による大きな変化もあり、会社が目指す姿を意識する場面も増えてきました。
高校生の頃、将来の夢から大学や学部を決めるようアドバイスを受け、思い浮かんだ職業が警察官でした。きっかけは箱根駅伝の白バイ隊(交通機動隊)への憧れです。自分が白バイに乗る姿は想像できませんでしたが、警察行政職員(事務)として働く道もあると知り、まずは社会の基盤となる法律を学びたいと考えるようになりました。
國學院大學を志望するきっかけは、オープンキャンパスで出会った法学部の中川孝博教授の存在です。すべての根拠を示しながら理路整然と語られる姿に感銘を受け、「この先生のもとで学びたい」と思うようになりました。また、私が高校3年生だった2014年当時、すでにSNSや動画を活用したオープンな研究や講義内容の発信にも取り組まれており、その姿勢にも魅力を感じたことを覚えています。
大学では希望していたとおり、刑事訴訟法の中川ゼミに所属しました。学内でもハイレベルと言われるゼミで、これ以上ないと思うほど勉強に打ち込んだ学生生活でした。ゼミには6人の同期がいて、それぞれの研究テーマについて意見を交わしながら学び合ったことが印象に残っています。
特に記憶に残っているのは、法学部懸賞論文コンテストです。3年次には少年審判における傍聴制度の論文を書き、佳作を受賞。4年次は少年審判における再審をテーマにしましたが、先行研究がほとんどない分野だったため、周囲からは難易度が高いのではないかと言われました。それでも中川教授から「やるなら納得できるまでやればいい」と背中を押していただき、挑戦することを決意。書き上げるまでの1年間は、辛さと楽しさの両方を味わいながら研究に没頭し、飽くことなく探究する力や、自分の言葉で考えをまとめる力が鍛えられたと感じています。結果は最優秀賞が該当者なしで、私は優秀賞を受賞。正直、とても悔しかったですね。
こうした経験を通して視野が広がり、最終的には民間企業の法務の道に進みました。中川教授から学んだリーガルマインド(法的思考)やクリティカルシンキング(物事を批判的に見る視点)は、今も仕事の土台になっています。企業法務は、企業が安心安全にビジネスをするための要となる役割のため、常に疑問や改善の意識を持ちながら業務に取り組んでいます。
納得のいく就職活動ができたのは、キャリアサポート課の存在が大きかったと思っています。就職活動を始めた頃は正直「どこかには就職できるだろう」と甘く考えていました。そんな私を変えてくれたのは、学生事務部長との出会いです。当時、軽い気持ちで準備をまったくせずに学内での面接に臨んだところ、質問にほとんど答えられず…。面接官役の学生事務部長が「このままでは心配だからサポートするよ」と声をかけてくださり、お願いすることにしたのです。
特に、企業に提出するエントリーシートはアドバイスを受けながら自分の伝えたいことを言葉で表現する訓練を重ねました。結果、企業の人事担当者から「こんなに的確なエントリーシートは見たことがない」と言われるまでになり、日野自動車はじめ複数社から内定を頂くことができました。ちなみに私のエントリーシートは、今でもキャリアサポート課でBefore/Afterの事例として使われているそうです(笑)。
日野自動車への挑戦も、キャリアサポート課からのアドバイスがきっかけでした。当時漠然と金融機関を第1志望にしていた私ですが、「金融だけでなくメーカー(製造業)にも挑戦してみないか?」とアドバイスをもらい製造業のことを調べることに。すると、自分のバックグラウンドや志向にも合っており、入社後にやりたいことが次々と浮かんできました。
学生のうちは認知度の高いBtoC(一般消費者向けビジネス)企業に目が向きがちですが、社会に大きな価値を生み出しているBtoB(企業間ビジネス)企業も数多くあります。
BtoBの製造業では高い世界シェアで日本や世界を支えている企業が非常に多く、一般車ではなく商用車のメーカーである日野自動車にも同様の魅力を感じて選考を受け、入社を決意したのです。先入観にとらわれず、あらゆる企業や業態を研究・模索したことが、自分らしい進路選択につながったと感じています。
実は入社後、ずっと法務部に所属していたわけではなく、入社2年目から人事部へ異動しました。人事の仕事をしていた母の影響もあり、人材の面から会社を支える仕事にも興味があったからです。海外事業体に関する人事や人事制度企画などを5年ほど経験し、その後のキャリアを考える中で「自分にしかできない仕事とは何か」を意識するようになりました。色んな方とのキャリアに関する相談を通して、「大学時代に学んだスキル・知識を活かしながら、全社の事業が見える部署でもっと勉強がしたい」という思いが明確になり、法務部に再挑戦することを決めました。
人事と法務の両方を若手のうちに経験するキャリアは珍しいと思いますが、人事部ではコンプライアンス関連業務など法律知識が役立つ場面も多くありました。一方で法務部に戻ってからは、人事時代に培った経験や社内ネットワークを活かし、現場感覚を踏まえた法的なアドバイスができるようになりました。この強みを最大限活かせるよう、今後も様々な課題に果敢に挑戦し、将来はコーポレート部門でマネジメントやグローバルな役割を担える存在になることが目標です。
「國學院を卒業してよかった」と日々感じています。先生方や職員の皆さん、友人など、学生時代の出会いが今の自分を形づくっているといっても過言ではありません。「自分はどうなりたいのか」「そのために何をすべきか」を考えることで、どんな結果でも納得のいく選択ができると思います。周りの人への感謝を忘れず、ぜひ充実した学生生活を送ってください。応援しています。