1230帆刈陽菜(以下、帆刈):大学に通っていた頃はコロナ禍で、就職についても求人自体が少なくて打撃を受けた世代でした。私は将来、教員かデザイナーになりたくて、もっと実力をつけたいと思い、BFGUを受験しました。宮崎克海(以下、宮崎):僕はデザイナーになりたかったので、大学院で基礎より先の応用を学びたいと思い選択しました。大学時代にBFGUのファッションショーを見てすごいと思っていたし、ファッションビジネス研究科長の吉田康成教授の授業を受けたかったのも理由の一つでした。吉田先生の「デザイン・ディベロップメント」の授業で、デザインの発想そのものをクリエイションしていくことを教わり、感銘を受けました。帆刈:私は今、ニットの勉強に集中しています。大学ではハンドニットの授業しかなくて、まったく知識がない状態でしたが、コンピュータニットについて深く学び、今は100%ニットで作品を制作していて、自分にとって大きな転機になりました。確かな技術力を修得し、夢に突き進む現在制作中の2年次「修了研究・創作」の作品。西暦400年に書かれた叙事詩「psychomachia」(魂の戦い)からインスピレーションを得て、古くから言い伝えられる、欲や感情の姿をニットドレスで表現。コンピュータ横編機(写真1)やニットデザインシステム(写真2)を使用し、研究を重ねている宮崎克海さん宮崎:僕が一番驚いたのは素材研究ができることです。レーザーカッター、デジタルプリント、捺染もコンピュータニットのシステムも3DCADも使用できる!外部に委託しなくても、素材を自分で作ってデザインしていくことができるし、先生もキャリアがすごい方ばかりなので、外部とのつながりを紹介してくださるところも強みだと思います。ただ制作はやはり大変で、1年次は10〜15体、2年次はファッションショーに向けて13〜18体作るという必修の課題があります。1年次の最初の2、3か月は本当に大変でした。僕は基本的には手作業で服を作っていますが、仮縫いは時間を省きたいので3DCADを使用して制作しています。帆刈:先生方との距離が近く、コンセプトや縫製、デザインなど、いろいろなサポートを得られるのもありがたいです。留学生の割合が多いのも特徴で、異なる文化の人々と交流できるのはすごく楽しいですね。宮崎:僕はもともと個人制作が好きなんですが、自分に足りないところに対しアドバイスを受けられる授業が多いのでとても勉強になります。将来、人を幸せにできるデザイナーになりたくて、時代や環境に応じてファッションも進化させたいと思っています。実験的な素材や遊び心を表現したデザイン画を見せると皆が面白がったり笑ってくれる……そんな自分らしさをBFGUで見つけられました。帆刈:確かに、かっちゃん(宮崎)は面白!(笑)。私もファッションは希望的なものだと思っていて、着る人にとってプラスになるものにしたい。「誰に対して作るのか」という根本的な部分は、BFGUの学びの中で意識した大事なことです。宮崎:制作には常に時間をかけていて、今もちょうどYKKファスニングアワードの選考を通過しているので、昨夜は寝ないでハトメを4000個つける作業をしていました。帆刈:私は続けてニットの可能性を探求し、フォーマルな場に着ていくニットウエアや、フィラメント糸という量産が難しい素材の研究を重ねています。今、CFCLでインターンを経験させていただいているのですが、この機会を得られたのも、BFGUの教育環境や先生方のおかげだと思います。集大成となるBFGU FWショーに向けて、技術的にも人間的にももっと成長していきたいです。帆刈陽菜さん
元のページ ../index.html#31