科目一覧
九州医療科学大学大学院
保健医療学研究科
2024年4月名称変更(旧校名 九州保健福祉大学)
主な授業科目一覧
保健医療学研究科のカリキュラムは、言語聴覚士、臨床工学技士、臨床検査技師といった保健医療に関わる各分野の最先端の検査・治療援助・リハビリテーション技術に焦点を当て、理論的・体系的に学べる内容となっている。
保健医療学研究科 博士(前期)課程
保健科学特論(医療衛生学)
個人や人間集団の健康を保持する予防医学、健康科学の概念を学習。医療現場における特定の集団の健康管理の意義、対人保健活動を通しての予防対策、医療経済に関する包括的な知識について学ぶ。また、予防医学の体系化に必要な遺伝子(DNA/RNA マイクロアレイ解析)、タンパク異常(プロテオーム解析)に関わる臨床検査の概要も学習する。さらに、物事を科学的な視点で捉える生命科学としての医療衛生学の位置づけも考察する。
保健科学特論(医療科学)
医療専門職取得者のみならず研究者にとって研究倫理を学ぶことは非常に重要である。研究会など学術の場において、倫理委員会への申請は厳しく求められている。研究倫理について現状を調査するとともに、近年急速に技術応用されている最新知見を課題テーマとして与え、このテーマについて持論を展開する技術を習得する。同科目を通じて、自身の研究テーマのみならず、他者の研究を客観的に評価する技術を身につける。
保健科学特論(健康科学)
生活習慣病と医療費の動向を把握した上で、単に疾病の症状や診断基準を知識として覚えるだけでなく、生活習慣病の増加の社会的背景を理解する。次に、運動療法の効果について学習する。臨床分野で用いられる運動療法は機能回復を目的としているが、予防医学分野では健康維持・増進を目的としている。運動の種類、強度、頻度によって生体に与える反応は異なる。
保健科学特論(QOL学)
保健科学領域におけるリハビリテーションの視点から、研究活動の基礎的態度を養成する。リハビリテーションは実践科学であることから、研究における論理性や普遍性をもたせることが難しい領域でもあるため、いかに科学性をもたせるかを考える。人が人らしく生きていくことを究極の目標とするリハビリテーションでは、生きる視点をどのように設定するかが大きな課題のため、QOL(Quality of Life)に視点をおいて理論づけを行う。
保健科学特論(心身障害学)
近年発展しつつあるリハビリテーション連携科学は、サービス利用者の立場に立ち、各分野間、各種専門職種間、関係機関の連携を確立、促進するための理論や実践をまとめる科学である。そのひとつの鍵が、当事者性であり、それを具現化したものが、セルフヘルプグループといえる。同特論ではリハビリテーション連携に果たすセルフヘルプグループの役割について考察し、セルフヘルプグループの研究的課題を把握することを目的とする。
保健科学特論(生命倫理学)
「生命倫理学」は、現在の医学、医療の研究はもちろんのこと、すべての研究分野や社会環境において必要な領域となっている。すなわち、「生命倫理学」は様々な学問研究の基礎であるといえる。この科目では、諸学問においての生命倫理的な問題を抽出し、それを理解し、倫理観(研究倫理)をもってこれからの大学院での研究を行うことができるようになることを目標とする。
保健医療情報解析学特論(生体機能検査情報学)
生体機能検査に関わる領域は広範囲におよび、かつ情報量も膨大である。保健医療の分野でも、これらの情報から必要とする情報を的確に収集し、最も効果的な方法で解析することは必須のスキルである。同特論ではデータベースおよびバイオバンクからの情報収集の方法および得られた情報を解析する基本的な方法を習得する。
保健医療情報解析学特論(医療ネットワーク情報学)
同分野ではおもにカルテの電子化を中心としてシステムの現状、その活用方法、利点と欠点についてレポートをまとめ、各自なりの意見と今後のあるべき姿を明確にする。病院、クリニック勤務者の場合には自施設でのシステムを調査するなど、極力現場に即して役立つ内容のレポート課題とする。
保健医療情報解析学特論(安全情報管理学)
多発する医療事故の要因として、安全管理の立ち後れ、危機管理意識の欠如、対象疾患・対象患者の拡大、仕事、労働内容の変化、医学教育・医学研修の不備、社会・経済体制の変化などが指摘されている。医療事故防止のためにはまず、事故内容の把握や対処方法など情報管理が必要である。同講座では、医療における安全情報の活用について理解を深める。
保健医療情報解析学特論(医療統計学)
母集団がありそこから抽出した対象から得られるデータは正規分布することが望ましいが、臨床医学系のデータは正規分布することはまれである。今日では優れた統計手法パッケージを入手して解析が可能であるが、適合した統計手法を習熟し仮説を証明して説得するためには多くの交絡因子やバイアスがあり、うまく統計学的手法で処理する必要がある。ここでは提示された論文(英語)を精読して研究デザインや統計処理とその限界を学ぶ。
発達保健学特論(遺伝学)
生殖医学や周産期医学の発展にともない、低体重児の出生数や神経学的後遺症をともなう児の数が増加している。新生児の死亡原因のなかでは、先天異常が1位をしめており、個々の先天異常は発生頻度は低いが種類が多いのが特徴である。一方、障がいをもったこどもではなく、健康なこどもを少なく産んで、育てようとする動きもあり、そこには医学的、倫理的問題がふくまれる。この科目では、これらの問題についての課題をまとめる
発達保健学特論(コミュニケーション発達学)
言語・コミュニケーション能力の発達と評価方法について専門的な知識の修得をめざす。言語の性質とその障害について理解した上で、初期の言語発達と評価方法を体系的に学ぶ。言語獲得理論と言語聴覚障害に対するアプローチを整理し、これらの知識を踏まえて初期の言語発達について学習を深め、形式と機能の相互作用と統合について考察する。さらに、言語・コミュニケーション能力の評価方法の目的、方法、結果の解釈を理解する。
成人・老人保健学特論(呼吸・循環機能老化学)
加齢に伴う主要臓器(循環器、呼吸器、代謝内分泌臓器)の障害を取り扱う。加齢に従い臓器機能は低下し、急性、亜急性、そして多くは慢性といった経過をたどり、代償的機転が作用して維持していくこともある。その変化は徐々に認められることも多く次の診断・治療を必要とするのかを考えることが、個人、家族、社会、医療経済を含め重要となる。加齢に伴う個々の臓器障害が個人、家族、社会、医療経済にあたえるインパクトを学ぶ。
精神保健学特論(精神医学)
精神症状の正確な把握は治療・リハビリテーション・介護を行う上で極めて重要である。そこで次の課題を行う。【1】医師同様に各立場の診断ができるようにする。【2】診断と治療は一体という理解を育む。【3】精神科医の診断・治療に対する理解を深める。【4】家族を含む治療に加わるスタッフの協力性、協調性を高める方法を学ぶ。【5】治療者の技術向上のために治療者自身の自己理解を深める。【6】精神予防学についても講義する。
形態学特論(分子細胞生物・微細構造学)
ポストゲノム時代を迎え、人体の構造と機能に関する分子レベルでの知識は急激に増加している。保健科学の分野もこのような最新情報を正確に理解し、それぞれの専門分野の臨床的な問題に応用することが求められている。それぞれの専門分野に関連する細胞・組織を選び、その微細構造と機能を詳しく学習し分子レベルで考える。こうして、それぞれの専門分野に関連する最新情報に含まれる細胞や組織の画像を正しく読み解く力をつける。
形態学特論(器官形態・組織病理学
解剖学は人体の正常な構造を学ぶ学問であるが、構造と機能は極めて密接な関係にある。また、解剖学的基礎知識は病態生理を理解するうえでも重要である。そこで、同分野では人体の構造を肉眼解剖学的・組織学的観点から把握し、人体の構造と機能・病態生理との関連性を学習する。
形態学特論(細胞制御生化学)
免疫は、外部から侵入した病原体や体内で発生したがん細胞を、異物と見なして攻撃し、体から排除する仕組みである。同科目では、 免疫系における細胞間の情報伝達に焦点をあて、そこで機能する各細胞の生物学的特性や細胞間相互作用について網羅的に理解する。
形態学特論(分子病理学)
同科目では人体の特定の部位ががん化した時の形態について理解する。同じ部位にできるがんでもがんの組織型によって形態が異なることを理解する。さらに病理・細胞診検体を用いた個別化医療に役立つ検査についての英文文献を読み、形態学との関連性について理解を深める。
形態学特論(分子遺伝学)
2003年にヒトゲノムが解読され、様々な病気についてその原因遺伝子の特定がされて、それが病気の治療にも生かされる時代になってきた。同講では、遺伝性疾患と原因遺伝子についての英語論文を検索し、内容を理解することを目指す。
生体機能学特論(臨床免疫学)
免疫とは自己と非自己(異物)を識別し、非自己を排除する生体防御機構である。同分野では、加齢と免疫、ストレスと免疫、感染免疫、癌(腫瘍)免疫、アレルギー、免疫不全症、自己免疫疾患、移植免疫など、 臨床免疫学に密接に関わる免疫反応を例にあげ生体の防御機構について学習する。
生体機能学特論(感染症学)
近年、グローバル化に伴い世界ではエボラ出血熱あるいは新型インフルエンザ等様々な感染症の脅威にさらされている。また、我が国においても様々な感染症の流行が確認されている。例えば、結核等過去の病気と考えがちな感染症が蔓延しつつある。一方で、最近まで治療が困難であった C型肝炎等は医学の発達により、ほぼ根治可能となりつつある。同講では、このような感染症の実態と予防、最新の治療法を学習する。
生体機能学特論(感染病態・治療学)
感染症は各種の病原体による疾患である。そのなかで、細菌、真菌、ウイルスを原因とした呼吸器疾患に重点をおいて学修する。呼吸器感染症の各種の病原体を知り、その感染による病態(臨床)並びに病理学的特徴を学修する。さらに、それぞれの感染症の治療薬、それらの作用機序並びに耐性機序についても学修する。 病原微生物を科学的に理解し、それを職場や日常生活の中で科学的な見地から活用できるようになることを目標とする。
生体機能学特論(再生医療学)
近年の幹細胞研究の飛躍的な進歩に伴い、幹細胞を用いた組織及び臓器再生の可能性が期待され、皮膚や骨などでは実用化されつつある。幹細胞を用いて失われた細胞を補う細胞補充は、体外から細胞を移植して持ち込む手法と、もともと臓器内に存在する内在性幹細胞を用いる手法とに区分される。再生能が弱いと考えられている中枢神経系と腎臓における内在性幹細胞の存在やそれらの組織及び臓器再生への関与について学習する。
生体機能学特論(細胞治療学)
細胞を用いた治療は既に造血肝細胞移植等で実際の医療現場に活用されている。また、iPS(人工多能性幹)細胞の発見・樹立により従来では不可能であった疾患の治療に対しても細胞治療の適用範囲は広がるものと予想される。同講義ではこれまで医療現場で行われてきた細胞治療に端を発し、現在臨床応用が検討されている細胞治療や、その応用についても解説を加え、臨床応用への応用を念頭に置いた基礎研究についての理解を深める。
生体機能学特論(iPS細胞・幹細胞応用医学)
iPS細胞は従来の常識を覆した驚異的な細胞である。 iPS細胞は多能性を持ち、様々な種類の細胞の分化が可能である事から再生医療への応用が期待されている。しかしiPS細胞には様々な問題が有りその医療応用は容易ではなく、現在も活発な研究が行われている。iPS細胞発明の背景、細胞の初期化と iPS細胞を誘導する方法の変遷、 iPS細胞をはじめとする幹細胞の医療や薬品開発への応用等を学習し、理解を深めることを目標とする。
生体機能学特論(薬理・病態生理学)
運動系、聴覚系、視覚系の多くの障害においては、神経系、内分泌系や免疫系の異常が関連しており、これらの病態生理・生化学および薬物療法を理解することは、保健科学領域における職能向上に大きく寄与する。薬理学特論では、種々の疾病における薬物の有用性を病態生理・生化学に基づいて解析することにより、障害と薬物療法についての理解を深め、高度な理論構築ができるようになることを目的とする。
保健医療技術学特論I(小児発達学)
精神遅滞児は知的能力の障がいのみではなく、大脳皮質の障がいの広がりによって、さまざまな基本的心理特性のほかにも、身体機能の障がいをともなうことが多い。そのために、精神遅滞児の生活指導や訓練、教育にあたってはこれらの理解なしには効果をあげることは困難である。精神遅滞児の養育や訓練、教育に欠かせない基本的心理特性と日常の健康管理に必要な医学的事項についての理解をすすめることを目的とする。
保健医療技術学特論I(運動学)
身体障害分野のリハビリテーションでも特に骨筋系疾患の運動療法には、運動器の筋や関節に対する詳細で深い理解が必須となる。同講義では、テキストを軸としていくつかの参考文献をあたり、興味のある関節の運動についてまとめることで理解を深めてゆき、運動器理解のための学習の端緒とするものである。
保健医療技術学特論I(運動処方学)
薬治療は運動療法に比べ即効性があるものの、副作用も存在する。運動の制限があっても禁忌でない高血圧、糖尿病、高脂血症の患者に対しては、薬治療と運動療法の併用が効果的であるケースも多い。同講義では、呼吸・循環器系、骨・骨格筋系に対する一過性の反応について学習するとともに、国内外の研究報告から新しい知見を理解できることを課題とする。したがって、英語論文の和訳も課題に含まれる。
保健医療技術学特論I(作業療法学)
適切なリハビリテーション技術の提供は障害に対する正しい知識に基づいて実践されることになる。障害を客観的・科学的に把握し説明することを目的として、 ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)に基づく障害の構造化に取り組む。また、大学院での学習として研究態度の養成が必要となることから、 QOLとの関係から障害の構造化に対する検証方法についても学ぶ。
保健医療学研究科 博士(後期)課程
保健科学総論特殊講義(保健医療学)
保健医療学は、保健と医療の根源的な「問い」に対してアプローチする学問である。さまざまな保健・医療活動を通して人々の疾病予防や健康増進について学習する。一方、保健医療学は生命科学とも密接に関わっている。同講義では、幅広い論文や参考文献を読み、保健医療学と生命科学における最新の情報と課題について考察を加える。
保健科学総論特殊講義(生命科学)
保健科学のすべての領域の基礎となる生命科学領域、特に細胞生物学分野などの論文を批判的に読み、考察する。つまり、それらの論文や引用文献を読んで内容を理解するだけでなく、それらの問題点や不十分な点を批判し、また学生それぞれの専門領域への展開を考察する。
保健科学総論特殊講義(臨床遺伝学)
ヒトゲノム研究が進んで、ヒトゲノム構造が決定され、ポストゲノムの時代といわれる現代。しかし、基礎となる疾患遺伝子の同定の出発点は臨床遺伝学である。先天異常の一般発生頻度は100人に23人と少なく、しかも遺伝性疾患だけでも McKusi ckのカタログによると10,000種類以上と種類が多いのが特徴である。同講義によって、先天異常のとらえかた、診断、治療などについて理解する。
保健科学総論特殊講義(医療機器安全工学)
医療機器を安全に効率的に使用することは医療経済においても重要であるが、最も重要視されなければならないのは患者安全である。安全対策も種々あるが、ここでは安全対策の1つの分野として、ヒューマンファクターエンジニアリング(HFE)の重要性、実現、評価に関する研究力を習得する。
保健科学総論特殊講義(健康マネジメント)
保健科学総論として、まず日本人の健康状態を把握。健康指標には死亡率や有病率などが用いられるが、少子高齢化、医療費の増大、医師不足など社会的問題について考える能力を身に付ける。予防医学のうち運動療法(運動処方)を中心に、英語論文から何が新しいか、問題点、矛盾点を理解できる能力を学ぶ。そのためには日本語での知識も必要となる。英語力、研究論文の質の向上のため、PubMedを利用し学術的に新しい情報を獲得する。
機能障害学特殊講義(言語聴覚障害学)
聴覚補償機器の一つである補聴器と人工内耳のリハビリテーションについて、研究の歴史と近年の動向、今後の展望を学ぶ。まず、補聴器・人工内耳装用候補者の評価と補聴器・人工内耳の調整の最新の知見を学ぶ。次に、装用後の聴覚リハビリテーションにおけるコミュニケーション指導の重要性を検討し、補聴器・人工内耳の装用効果の評価方法として、語音聴取能力の評価法と質問紙法による自己評価を取り上げ意義と課題を考察する。
機能障害学特殊講義(知的発達障害学)
機能障害のなかで精神遅滞をテーマとする。脳科学の発達はめざましいものがあり、脳の構造だけではなく機能面でも新しい知見が次々に明らかにされている。精神遅滞児の臨床においては小児科医や小児精神科医のみではなく、教育、心理、福祉、保育、言語治療、看護、リハビリテーション、行政など多くの職種の方々のかかわりが必要となる。精神遅滞児の診断、成因、養育の方法について最近の新しい脳科学の知見と組み合わせて学ぶ。
機能矯正学特殊講義(疾病制御循環器学/生体制御循環機能学)
ヒトの機能矯正の総論的なことを十分に把握していることを前提に、科学的に事象を分析して、客観的に批評できるような考え方を習得することを目標とする。医療にかかわる一人のプロフェッショナルとして得意な生体機能の矯正機器(ひとつまたは、複数)に関して、立案、データ収集、結果作成、考察までの一連の流れを参考英語論文等を用いて通読、精読して、そのノウハウを学修することを目標とする。
精神医学特殊講義(精神医学)
保健の重要な局面である精神保健について、今日的意義、ライフサイクルにおける精神保護の役割、生活の場における精神保健の役割ならびに精神障がいについて学習し、他の種類の障がい、特にその矯正における場合との関連性についての知識の獲得は、問題の解決に大いに応用されるものである。
機能形態学特殊講義(細胞・組織病態学)
腎臓は多数のネフロンから構成され、尿の生成以外に多様な機能を有し、生命維持に重要な役割を果たしている。ネフロンの前駆細胞は出生前に消失し、ネフロンが出生後に腎疾患による過度な障害を受けると、腎機能は不可逆的に障害され死に至る。末期腎不全患者の生存には、現在は人工透析か腎移植しか方法がなく、再生医療などの新たな治療法の開発が急務とされている。腎臓再生医療の実現として進展している様々な手法を学習する。
臨床薬理学特殊講義(分子病態薬理学)
運動系、聴覚系、視覚系の障害は、いずれも神経系の異常が密接に関係しており、これらの治療に用いる薬物療法の基礎知識の修得は保健科学領域で働く医療人にとって有用なものである。患者から信頼される医療人となるために、各種疾患に対する種々の薬物療法の治療戦略を学習する。特に、同じ疾患であるのに個々の患者に対して異なる薬物が投与されるが、その薬物選択における治療戦略を説明できるようになることが目標である。
臨床薬理学特殊講義(生体制御薬理学)
人の流出入が盛んな現代、遠い地域や国で発生した感染症は数日で私達の生活域に到達し、新たな感染症も短期間で身の回りに出現する。これらの感染予防とその対策の知識は、保健科学領域や医療関連業務に従事する者にとって特に重要である。ワクチンや消毒薬を含めて、感染症対策に利用される抗病原微生物薬を幅広く解説する。特に、めざましい治療成績をあげている新規抗ウイルス薬については、開発経緯まで踏み込んでいく。
感染症学特殊講義(生体制御微生物学)
感染症には「伝染する」という他の疾患にない特徴がある。感染症の成立には、微生物、宿主の感受性、感染経路の三つの要因が必要である。従って、感染症対策はこの三者が対象となる。同講義では、病原微生物の種類と特徴、主な感染症並びに感染症の有効な対策について学修する。病原微生物を科学的に理解し、それを職場や日常生活の中で科学的な見地から感染症対策に活用できるようになることを目標とする。
感染症学特殊講義(感染症学)
古来より感染症は人類にとって大きな脅威だった。それは医学が発展した現代でも同じである。グローバル化に伴い世界ではエボラ出血熱や新型インフルエンザ等様々な感染症の脅威にさらされている。また、我が国においても様々な感染症の流行が確認されている。例えば、結核等過去の病気と考えがちな感染症が蔓延しつつあり、デング熱等新たな流行も確認されている。同講ではこのような感染症の実態と予防、最新の治療法を学習する。
免疫学特殊講義(生体制御免疫学)
免疫システムは、自己が非自己(異物)を認識し排除する生体防御機構である。同講義では、 生体制御免疫学の立場から免疫の異常で発症する 自己免疫疾患について、自己免疫疾患の病態、自己免疫疾患の遺伝的多型性、自己免疫疾患の最新検査法、自己免疫疾患の最新治療法、自己免疫疾患の社会支援体制について学習する。
機能障害学各論特殊講義(生命維持管理装置学)
慢性腎不全患者の原疾患比率は、糖尿病性腎症がトップである。透析導入時には四肢不自由、視覚障害を伴うことが多く、身体機能低下症例がほとんどといえる。また、これら患者は高齢化しており、身体的および精神的負担も多い。そのような状況下で、患者QOLを維持するためにはどのような対策が望ましいのか、医療機器を含めた時代に即した考えをまとめ、自身の臨床業務に反映させることを目的とする。
機能障害学各論特殊講義(リハビリテーション科学)
機能障がいをICF(国際生活機能分類)による生活機能障がいの視点からとらえ、ICF分類の妥当性の検証とともにそこに存在する身体的・精神的機能との関係から、生活障がいの本質と関連要因の分析を試みる機会とする。
機能障害学各論特殊講義(病態細胞生物学)
多くの病気は、細胞の機能が傷害されることによって起こる。病気の細胞生物学的原因を解明し、治療に寄与することを目標とする。
機能矯正学各論特殊講義(医療管理学)
機能障害学各論によって得られた知識を基にICF分類の妥当性を検証する方法を検討し、それによって得られたことを根拠として個々の障がいに対する治療訓練法の効果について考える機会とする。特に、高齢者の増大に伴って発生頻度が高くなる脳血管障害や痴呆などの脳・神経系疾患を中心に講義を進める。
機能矯正学各論特殊講義(疾病制御呼吸・循環機能学/生体制御医用代行機器学)
加齢に伴う主要臓器の障害を取り扱う。加齢に従い臓器機能は低下し、急性、亜急性、そして多くは慢性といった経過をたどり、代償的機転により維持することもある。その変化は徐々に認められることも多く、次の検査・診断・治療の必要性を考えることが重要となる。また、人工臓器、臓器移植治療が、諸外国と比較してどうあるべきかを個人、家族、社会、医療経済にあたえるインパクトや倫理的配慮を判断する課程を学修する。
保健科学特殊研究
研究を行うのに必要な手続きや手法について院生に指導し、院生の研究の成果を論文として纏める。具体的には、博士論文作成のための先行研究について指導を行い、学生の思索能力を高める。文献の講読を行いながら、仮説を立案し、リサーチを行う院生には調査の計画を、文献研究を考えている院生にはその構想を立案させ、その研究の進捗状況に沿って集中的に必要な指導と援助を行う。
問合せ先 | 0982-23-5535 (通信事務課)ホームページはこちら |
---|