法科大学院入試ガイド2025年度版
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働きながら法曹を目指す社会人のために夜間開講・昼夜開講を実施している法科大学院もある。例えば、筑波大学は法科大学院制度スタート当初から夜間開講を実施しており、琉球大学でも2019年度から既修者コース限定で夜間主コースを開講している。教員の確保など学校側にも大きな負担があるので実施校は少ないが、新たに導入されるケースもあるので、情報はこまめにチェックするようにしたい。また、社会人がもう一つチェックしておきたいのが長期履修制度。未修3年のところを4年、既修2年のところを3年と履修期間を延ばすことで、仕事との両立の負担を軽減することが可能だ。奨学金や授業料・入学金の減免制度は多くの法科大学院で導入されている。ただし、奨学金の金額や条件、対象となる学生の多さなどは法科大学院ごとに大きな違いがある。例えば、中央大学は入試の成績に応じて、20人を上限に入学金を除く学費相当額の年間130万円、150人を上限に学費の半額相当である年間65万円を給付する制度を設けている(このほか入学後に選考する奨学金もある)。経済的に余裕がない場合、「学費が安い国公立へ」と考える受験生も多いが、奨学金や学費減免制度を利用すれば、私立であっても経済的負担を抑えられる。必ずチェックしておきたい項目だ。Dさん今から法曹を目指す最適ルートとは?奨学金制度にも注目してみよう夜間も選択肢だが、奨学金を利用して昼間を選ぶ道もある夜間開校や長期履修制度など社会人学生への配慮があるか奨学金や学費減免制度は充実しているか会社員ですが、仕事を辞めて昼間のコースで学ぶべき?●28歳社会人●一般企業の法務部勤務●仕事を通して弁護士に憧れを抱く●企業法務の分野で活躍したい●経済的に余裕はないDさん 望している社会人です。今から司法試験を目指すってやっぱり無謀でしょうか?原先生 せんよ。法科大学院制度開始当初より減っているとはいえ、社会人から法曹への転身を目指し、成功している人は実際にいます。Dさん 原先生 合は、キャリアの空白期間を作りたくないということで、最短を目指せる予備試験ルートを選択する人が多いですね。Dさん 落ちたら意味ないですよね?原先生 予備試験を目指す社会人は一発勝負という気持ちでしょう。Dさん 法学部出身とはいえ、本格的に勉強してたのは昔の話だし。あんまり自信がないです。原先生 院進学ということになります。Dさん 夜間の法科大学院に働きながら通うか、会社を辞めて昼間の法科大学院で勉強に専念するかなんですよね。原先生 弁護士への転身を希そんなことはありまそうなんですね。ただし、社会人の場でも、2回、3回とそうですね。だからそれは厳しいなあ。であれば、法科大学そこで悩ましいのが、確かに夜間の法科大学院は選択肢の一つです。ただし、そもそも夜間開講の法科大学院が限られますし、司法試験に向けた勉強と仕事との両立は思っている以上にハード。その覚悟は必要です。Dさん やってみないとわかんないですね。でも、経済的には余裕がなくて。その点では夜間が魅力なんですが……。原先生 それなら、会社員のうちにお金をためて、資金ができたら退職して法科大学院へという選択肢もあります。その間に対策を進めれば既修で進学することも可能でしょう。それから、法科大学院は奨学金制度も充実しているので、そちらを調べてみるのもいいのでは?Dさん 奨学金! 優秀者に限るって感じですよね?原先生 法科大学院によってはより幅広い学生を対象にしているところもあります。Dさん それなら今すぐ昼間の未修者コースに進学する手もありますね。原先生 どんな分野の弁護士になりたいのですか?Dさん 法務部での実務経験が生かせる企業法務がやりたいと考えているんですけど。原先生 企業法務が専門の弁護士となると、大手事務所への就職が必須ですね。そうなると、法科大学院も上位校でないと厳しいかもしれません。Dさん 中小企業対象の法務とかでも厳しいですか?原先生 その場合、私がそうなんですが、地域社会を対象に個人からの案件も企業からの案件も幅広く扱う弁護士というイメージですね。Dさん それもいいですね。原先生 そのような将来像にでも成績合致するカリキュラムの法科大学院を探してみるといいでしょう。そのためにも、選択肢はできるだけ増やしたほうがいいですね。      profile現在、28歳社会人。大学は私立大学の法学部を卒業。一般企業の法務部に勤務し、日々の仕事を通して法律の専門家としての弁護士に憧れを抱くように。企業法務のスペシャリストになることが目標。お金に関する計画性がなく、貯金はほぼゼロ。0807

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