法科大学院生の日々の学習を支えるのが、現役の若手弁護士などが務めるチューター(アカデミックアドバイザーなど名称は法科大学院によって異なる)。その法科大学院の修了生が務めていることが多く、弁護士としての実務経験を生かして法文書の書き方の基礎を指導したり、司法試験の受験経験を生かして、司法試験対策の指導をしたりする。法科大学院は正課外での勉強量が非常に多くなるので、チューターの存在が学生にとって大きなものとなる。どの法科大学院でも導入している制度ではあるが、チューターの人数や専門の幅広さに関しては違いがあるので、説明会などの際に細かく確認しておこう。修了後の進路に関して、どのようなサポートやネットワークがあるかも重要なチェックポイント。例えば、その地方のトップの法科大学院であれば、地元弁護士会とのつながりが強い。その地域での就職を希望しているならそのメリットは大きい。そのほか、現役の弁護士・裁判官・検将 察官、企業の法務担当者、官公庁のスペシャリストなどを招いて、進路選択のためのセミナーを開催している法科大学院も多数ある。また、法律事務所や民間企業による就職説明会も多くの法科大学院が実施。夏休み期間には、サマークラークと呼ばれるインターンシップも。これらの中身や頻度も要チェックだ。Eさん法科大学院の学習についていける?修了生の一般企業への就職が増加している無資格でも一般企業への就職チャンスは十分。不安を抱きすぎないようにチューターによる学習支援が充実しているか修了後の就職につながるしくみやネットワークはあるか司法試験に合格できなかったら…と考えると不安●国立大学経済学部3年生●専門性の高い仕事を希望して 検討するなかで弁護士志望に●法科大学院の勉強に ついていけるか不安ありEさん ですが、大学のキャリア教育を通して自分のやりたいことを追求していった結果、弁護士が目標になりました。ただ、法律の勉強はしたことがないから、本当に今から目指せるのか不安はあるんですけど……。乾 であれば十分可能だと思いますよ。Eさん 法科大学院の勉強はすごくハードだと聞いているので、ついていけるかどうかです。乾 んだことがない人が基礎から学べるようカリキュラムが設計されていますから、そこまで心配しなくても大丈夫ですよ。ただし、未修者のフォロー体制や困ったときに頼れるチューターの充実度はしっかりチェックしたほうがいいでしょうね。Eさん す。実はそれ以外にも不安なことがあって、もし司法試験に合格できなかったらどうなっちゃうんだろうって。未修の司法試験合格率はあまり高くないって話は聞いてますし。やっぱり不安は不安です。乾 経済学部の学生なん未修者コースを目指すのもう一つ不安なのが、未修者コースは法律を学なるほど、調べてみまでも、累積の合格率を見ると未修でも3年目までに5割程度は合格しています。Eさん え、思っていたより高いかも。まあ、それでも半分は不合格ということですよね。未修を修了して、2回か3回司法試験を受験してそこであきらめたとしたら、27歳とか28歳。その年齢で職歴ゼロで資格もないとなると就職はかなり厳しくなりそうで……。乾 そのように考えている人も多いですが、実態を見ると、決してそんなことはないんです。今は、企業の法務部での法科大学院修了生の採用は年々増えていますから。Eさん でも、それって弁護士資格を取った人たちですよね。乾 もちろん有資格者へのニーズも増えていますが、無資格の修了生の採用も増えているんです。企業の法務担当者の団体である経営法友会がまとめたレポートにも具体的な数字を示してそのように報告されています。そうなんですね!Eさん このレポートでは、法科大乾 学院修了生は資格の有無を問わず、「知識、リサーチ力、分析・検討の基礎力は鍛えてあるのは利点。裁判実務にも強い」と評価されています。法務人材は多くの企業で不足し、採用にも苦労していますから、仮に司法試験不合格でも十分ニーズはあります。Eさん ちょっと安心しました。そういうことなら思い切ってチャレンジできそうです。司法試験がダメだったら、一般企業への就職に切り替える道でも、十分スペシャリストを目指せるってことですもんね。そうですね。そういうプ乾 ランで臨むなら、企業法務系の科目が充実している大学院、企業とのネットワークがしっかりしている法科大学院を探してみるのもいいでしょう。Eさん わかりました! 来の道筋が見えてきましたよ!profile現在、国立大学経済学部の3年生。将来は専門性の高い仕事に就きたいと考え、いろいろと調べているなかで弁護士が選択肢に。ただ、法学部でもないのに今から司法試験を目指すことに不安もあり、一般企業への就職も視野に入れている。1009
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