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知的財産系ガイド知的財産系大学院の基本情報/めざせる資格/選び方/学費と奨学金/大学院一覧/提出書類/受験までのダンドリ/試験攻略法

イノベーションを支える知的財産マネジメント人材を育成する知的財産系大学院。この分野の専門人材が必要とされている背景、大学院の教育の特色、選び方のポイント、受験までのダンドリ、試験攻略法などをまとめて解説。関連性の深い資格である弁理士と大学院での科目免除についても詳しく紹介します。

知的財産系大学院とは

日本の経済成長を実現するために、今、イノベーションが重要課題になっています。このイノベーションを持続的成長につなげていくうえでカギを握るのが知的財産戦略です。

企業活動のグローバル化は言うまでもなく、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、人工知能などの技術的な進歩、産学連携やベンチャー企業と大手企業の連携によるオープン・イノベーションの拡大などにともない、特許をはじめとする知的財産をめぐる状況は刻々と変化しています。今や、企業には、単に自社の権利を守るというスタンスではなく、変化する状況に柔軟に対応し、攻めの姿勢で知的財産を活用する戦略が必要とされているのです。

そこで求められているのが、知的財産に関する法律面の専門性はもちろん、グローバルビジネスや技術にも精通し、的確な戦略を組み立てられる人材。このような知的財産マネジメントを担うスペシャリストを育成するのが、知的財産に特化した研究科・専攻を有する大学院です。

2000年代に、知的財産専門職大学院のほか、修士課程でも知的財産に特化した研究科・専攻が開設され、この分野のプロフェッショナル育成に取り組んできました。

教育の特色の一つは、知的財産に関係する法律、特許出願などの知的財産実務、ブランド戦略などのビジネス戦略、先端技術などを、それぞれを関連づけて幅広く学ぶこと。また、事例研究や演習を豊富に採り入れ、実務能力の強化に注力しているのも各大学院に共通しています。学生層の中心は、企業の知的財産部門や法務部門、マーケティング部門などの担当者、弁護士、弁理士、コンサルタント、大学や研究機関の知的財産担当者、さらにそれらの職種をめざす人たちです。

めざせる資格は?

弁理士

特許、実用新案、意匠、商標などの知的財産の特許庁への出願手続き代行や、特許権の侵害訴訟などの訴訟代理を担う専門家。知的財産戦略の観点から、企業の技術開発や商品開発に関するコンサルティングも行うなど、知的財産の重要性が増すなかでその役割は拡大しています。

試験は、短答式筆記試験(1次試験)、論文式筆記試験(2次試験)、口述試験で構成され、短答式に合格すると論文式を、論文式に合格すると口述を受験することができます。

試験科目は、短答式が、「工業所有権(特許、実用新案、意匠、商標)に関する法令」「工業所有権に関する条約」「著作権法」「不正競争防止法」の7科目、論文式が、「工業所有権(特許・実用新案、意匠、商標)に関する法令」の必須科目3科目と、「理工I(機械・応用力学)」「理工II(数学・物理)」「理工III(化学)」「理工IV(生物)」「理工V(情報)」「法律(弁理士の業務に関する法律)」の選択科目6科目中の1科目、口述が、「工業所有権(特許・実用新案、意匠、商標)に関する法令」となっています。

なお、大学院で工業所有権に関する所定の単位を修得し大学院を修了すると、修了後2年間、弁理士試験の短答式試験の一部免除が受けられます。また、同じく大学院で、論文式試験の選択科目のいずれかに関する研究の学位論文をまとめ、修了すると、該当する選択科目の免除が受けることが可能です。なお、どちらも、工業所有権審議会の審査を受けてパスする必要があります。

知的財産系大学院ではこれらの科目免除に対応しているケースが多いですが、論文式選択科目に関しては、そのほかの理工系の研究科でも研究内容次第で免除を受けることが可能です。

知的財産管理技能検定

国の技能検定の一つで、著作物や発明、意匠、商標、営業秘密などの知的財産の創造、保護、活用のために必要な専門能力を認定する試験。1級、2級、3級があります。知的財産系大学院で関連する科目を20単位以上修得して修了すると2級の学科試験が免除となります。

知的財産系大学院の選び方

知的財産系大学院には、経営学、法学を基盤とした大学院もあれば、理工系を基盤とした大学院もあります。それぞれ強みが異なるので、カリキュラムや教員陣の専門領域は要チェックです。また、企業や特許事務所などでのキャリアをもつ実務家教員の充実度も確認しておきたいポイントの一つです。

知的財産系大学院の学費と奨学金

知的財産系大学院の学費

国立の大学院は、入学金28万2000円、授業料53万5800円としているケースが多いです。公立は国立に準じる額か、多少安い程度が相場。私立は大学院によって金額が大きく異なります。入学金は20〜30万円が相場ですが、なかには数万円台というところも。授業料は年額50〜150万円あたりが多いです。そのほか、数万円〜10万円台程度の施設費などが別途必要となります。

知的財産系大学院の奨学金

日本学生支援機構の奨学金が利用できるほか、大学が独自に給付型奨学金を設けているケースも多いです。入学試験の成績優秀者を対象に授業料の全額または半額を給付する大学院も。募集人数は数名〜十数名が一般的です。このほか、地方自治体や民間団体が設けている奨学金もあるので、幅広く情報収集することをお勧めします。

知的財産系大学院一覧

国立
一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 経営法務専攻 知財戦略講座プログラム【東京】●
私立
K.I.T.虎ノ門大学院(金沢工業大学大学院) イノベーションマネジメント研究科【東京】●
国士舘大学大学院 総合知的財産法学研究科【東京】●
東京理科大学大学院 イノベーション研究科 知的財産戦略専攻【東京】●※専門職
日本大学大学院 知的財産研究科【東京】●※専門職
大阪工業大学大学院 知的財産研究科【大阪】●※専門職
吉備国際大学大学院 知的財産学研究科 知的財産学専攻【岡山】※通信

●夜間開講あり

▲週末開講あり

知的財産系大学院受験までのダンドリ

余裕をもって受験プランを立てるためにも、志望校に関する情報収集はできるだけ早めにしておくのがベター。入試は早いところでは7月頃にスタートしますが、時期は大学院によってまちまち。秋と年明け1〜2月頃にピークがありますが、複数回入試を実施する大学院では3月にも入試を行うところがあります。

この分野の大学院入試は「書類選考+面接」「書類専攻+小論文+面接」というタイプが一般的で、それほど準備期間を必要とはしません。直前からの対策でも十分合格を狙えます。ただし、研究計画書の提出が必要な場合は、入試の3カ月程度前には対策に取り組むようにしましょう。

入試日の1カ月程度前から出願受付が始まるので、それまでには書類を揃えておき、期間中の早めの段階に出願。いよいよ受験となります。

秋入試で不合格でも、まだチャンスはあります。同じ大学院に再度チャレンジするか、第二志望に切り替えるかを判断し、弱点の補強に取り組むなどして目標とする入試に備えましょう。

知的財産系大学院受験出願の際の主な提出書類

研究計画書

大学院で研究したいテーマ、研究の目的、進め方、スケジュールなどをまとめた書類。研究系の大学院ではほぼ必須ですが、専門職大学院では求められないことが多いです。

志望理由書、エッセイ

それまでの職業経験(社会人の場合)、今後のキャリア、その大学院を志望する理由などをまとめた書類。専門職大学院などで提出を求められます。書式は大学院によって異なり、自由に記述するタイプもあれば、質問に答える形式も。文字数は「1200字程度」「1500字程度」「2000字以内」といったパターンが一般的です。

大学卒業(見込)証明書、成績証明書

いずれも出身大学で発行してもらいます。書類の作成・発行に数日を要する場合もあるので早めに手配しておくことが大切です。

志願票、履歴書、職務経歴書、推薦書、健康診断書など

そのほかの主な提出書類は、志願票、履歴書、職務経歴書(社会人の場合)、健康診断書などです。志願票以外は、大学院によって提出の必要があるものもないものもあるので、事前にチェックしておきましょう。

知的財産系大学院受験の試験攻略法

研究計画書の攻略法

研究計画書は、提出が求められる場合には、合否に大きく影響する書類です。

合格に近づく研究計画書を作成するポイントは、先行研究を踏まえたうえで、実際に研究したいテーマやコンセプトを明確にすること。業務に関連して進学をめざすのであれば、実務経験と関連のある研究テーマを設定するといいでしょう。

まずは、興味のあるテーマに関して先行研究の文献をリサーチするところから対策を始める必要があります。ただし、学術系の論文などを書き慣れていない人の場合、適切な文献探しから苦労することも多いので、早い段階から予備校などで指導を受けたほうがベター。構成のポイントなども指導してもらえます。合格した研究計画書の例などを参考にしつつ、繰り返し添削指導を受けてブラッシュアップしていきましょう。

志望理由書、エッセイの攻略法

志望動機、仕事経験から感じたこと、研究したい課題などを記載するという点では、志望理由書もエッセイも基本的に大きな違いはありません。ともに、学習・研究への意欲、大学院での研究に必要な経験と能力の有無、文章構成力などが問われているので、その点を意識して、抽象的・理念的になりすぎないようまとめることが必要となります。

面接試験の攻略法

研究計画書や志望理由書に基づいて質問されるので、提出書類の内容はしっかり頭に入れておくことが大切。もちろん、書類に書いていないことも聞かれるので、自分の職業経験や今後のキャリアの展望などに関しては考えをまとめておくようにしましょう。