キャリアガイダンスVol.434
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学校全体で関連単元配列表を基に「自ら探究する学び」を全教科で展開個々の発案から教科横断で試行錯誤「生徒が自ら楽しく学ぶ」授業を模索 東百舌鳥高校では、2018年度より国立教育政策研究所の指定校事業で「学びに向かう探究学習」を研究してきた。トータルプラン推進室長の北野堅司先生や、学習指導室長の福島洋平先生は、その活動を推進してきたメンバーだ。校内でまず議論したことは、「探究する力は、総合的な探究の時間(以下、総探)だけでなく、全教科の授業で育むものでは?」という点だったそう。これを経て同校では、すべての授業で「生徒が自ら探究すること」を志向していく。 2019年の校内研修では、その一環として「関連単元配列表」を作成し 武生高校では2017年に、2人の教員が軸となり、「授業改善プロジェクトチーム(以下、PT)」を立ち上げた。各教科から若手を中心にメンバーが集まった自主勉強会で、「〝大学入試改革や新学習指導要領に備えて〞また〝生徒が予測不能な社会で生き抜くために〞授業はどうあればいいか」を研究している。 毎月、メンバー発案のテーマでPT会議を開き、職員会議で活動報告。PT会議はメンバー以外の飛び入り参加も歓迎で、たいていは20名前後、多いときは40名近くが集まるという。活動4年目の今までに、「本質的な問い」「ファシた。全教科の単元を、年間の流れの中で見通せるようにした指導計画で、ただ単元を並べただけでなく、先生同士のグループワークで「どの単元で何を学び、どんな力を伸ばしたいか」も書き出し、共有したという。ねらいは〝学習内容〞や〝育みたい資質・能力〞について各教科の関連を強めること。「他教科で学んだ知識も使って授業で思考・表現し」「そこで発揮した思考力などがまた別教科の授業でも活きる」ようにし、教科をまたいで生徒の学びが自然に深まる環境にしようとしているのだ。 「本校の関連単元配列表は、見やすさや使い勝手の面でまだ改善が必要です。ですがこの取組で、各教科の先生の〝授業への思い〞を互いに俯瞰できた、とリテーション」「超難関大学合格」などのテーマで、実践報告や意見交換を重ねてきた。 発足当時からのメンバー、今川大輔先生は「一人の改善では限界があるので、教科の枠を越えていろいろな考えを学びたくて参加した」という。同じく発足時から関わる小原崇裕先生は、PT会議で教科横断の授業にも果敢に挑戦。「生徒のために、と始めたのですが、やってみると自分のためにもなった」と振り返る。 「他教科の先生と準備し、互いの考えや相手の教科を知ることが楽しかったのです。相互理解が深まるとそこからまたアイデアが生まれました」 他校から異動してきて、途中参加し校内研修で、自主勉強会で。先生同士で対話をしながら授業改善益川先生の提唱する「どんな生徒でも自ら学べるような学習環境」を、必ずしも一人の力で実現させる必要はありません。困難な時期だからこそ、重要になるのは、先生同士が学び合って授業改善に取り組むことではないでしょうか。2校の実践事例をご紹介します。左より、 小原崇裕先生、今川大輔先生、川内邦央先生、野村幸史先生左より、北野堅司先生、福島洋平先生事例1事例2各自の強みを活かす授業改善先生自身が発見を楽しむ勉強会東ひがしもず百舌鳥高校(大阪・府立)武たけふ生高校(福井・県立)142020 OCT. Vol.434

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