キャリアガイダンスVol.434
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休校による学習の遅れや感染防止対策が気になる今、探究学習や行事などの特別活動は縮小傾向にあるとも聞きます。ですが、むしろ今こそ体験活動による学びが必要なのではないでしょうか。当事者である高校生に、その体験の価値を聞いてみました。体験活動 3年生の課題研究の授業で、6人で「新型コロナ対策装置」の開発を進めています。空気中のウイルスを除く空気清浄機や、マスクの殺菌装置を、二人組の3ペアに分かれて情報交換しながら作っているんです。 元々僕らは課題研究でロボットを作り、ロボットコンテスト会津に出場するはずでした。でも大会が中止になり、そのうえ、僕はレスリング部で、メンバーに陸上部もいるのですが、部活動のインターハイも中止になり、みんながすごく悔しい思いをして。最初は落ち込みましたが、話し合うなかで「電気・電子科の授業で学んだ知識や技術を使って、このコロナウイルスに立ち向かうことはできないか」となったんです。 まずは敵を知るためにウイルスのことを調べ、次にそのウイルスに何が効くかを調べました。UVCという紫外線が効果的だとわかったので、その原理をどう活かすかを考え、UVCを出す殺菌灯を使った装置を開発することにしました。UVCは人体にも害があるので、人が直接浴びないよう構造も工夫しました。本当に1から始めたので、自分たちのやりたいことを形にするのに時間がかかりましたね。一人だと考えが凝り固まるけれど、6人でいろいろな案を出せたのが良かったと思います。 こうしたことに踏み出せたのは、電気工事士に憧れてこの学校に入り、電気のことを学ぶのが好きだったからかな、と思います。勉強してきた配線や回路のことが装置の開発に活きましたし、電子部品等を扱うなかで知ったこ 隣町の熊本県人吉市が今年の夏に豪雨被害に遭ったので、市の小学校にランドセルや文房具を寄贈する活動をしてきました。地域探究活動の授業や、放課後の時間を使ってです。 探究活動で前から進めていたのは、3人のチームで地元の子の「遊び場」兼「学びの場」となるイベントを開くことでした。でもコロナで中止になり、何ができるか考えていたときに、探究活動で関わってきたOBの先輩が、人吉市の支援を一緒にやらないかと声をかけてくれたのです。 人吉市に問い合わせると、水害でランドセルが失われたことがわかりました。そこで使っていないランドセルを集めて贈ることにし、私は「文房具も同じでは」と思い、文房具の寄贈も提案しました。集めた中古のランドセルには傷があったので、みんなで話し合ってランドセルカバーを手作りし、私たちの気持ちも届けようとメッセージカードを添えました。 ランドセル集めや全校生徒への協力の呼びかけには、SNSやスタディサプリ、自作ポスターを活用しました。そうしたら、想定の3倍もの生徒が手伝ってくれて。「力になりたい」という同じ思いの人がたくさんいたことと、みんなの活動で小学校に喜んでもらえたことが、嬉しかったです。「こうしたい」と思いを口にすれば、まわりのサポートや自分では考えつかないアドバイスをもらうことができて、「一人ではできないこともできるんだ」と実感しました。 前まで私は、人前で話すのがすごく苦手でした。自分を変えられたのは、1、2年生のときに、マイプロ南九州会議という、各地の高校生が集まる場に参加したのがきっかけのように思います。他校の生徒や、大学生や大人と一緒に自分のやりたいことを考えてみたら、「いろ探究活動の授業では、子育て支援への思いを級友の前でも説明。その仲間の協力もあり、多数のカバー付きランドセルや文房具を届けることができた。取材・文/松井大助撮影/平山 論(18~19P)学んだことと悔しさを糧に喜多方桐桜高校(福島・県立) 牧石 翔さん思いを口にし、協力を仰ぐ飯野高校(宮崎・県立) 川野愛あみ海さん新型コロナ対策装置を開発小学校にランドセル寄贈162020 OCT. Vol.434

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