キャリアガイダンスVol.434
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進路主事吉柴豪直先生前進路主事石塚政洋先生 学修状況評価に取り組むのは1年次。「まずは3年間を通して総合的な探究の時間でどのような力を育てたいのかを考え、流れをイメージしたうえで、学年ごとにどんな力をつけてほしいか、そのために何をすべきかに落とし込んでいった」と、一昨年度まで進路主事を務めた石塚政洋先生は振り返る。「真岡から世界を見つめ、未来を仲間と共に強く生き抜く力をもった生徒の育成」を3年間を通した大目標に据え、そのために必要な能力として「21世紀型能力(確かな学力、判断力・思考力・表現力、実践力)」を設定。1年次はこうした力を育成するための「推進期」と位置付け、基礎学力(特に英数国)の向上と課題発見・解決への意識の涵養を柱とした。1年次に身に付けた力を活かし、2年次(発展期)は自らの学問的興味・関心に基づきテーマを設定・探究する「テーマ研究」、3年次(充実期)は社会で自分を活かすための進路実現に向けた「論文発表」に取り組み、探究を深めていく。 「探究については、1年次からテーマ研究を行う学校も多いと思いますが、本校では自ら学び、探究するために不可欠な要素を育成することに主眼を置いています。具体的には、課題や目標は自分で設定し解決に向けて動かなければならないという意識や、自分の取組を振り返り、評価し、修正する力(メタ認知力)です。1年次にしっかりとこれらの意識や力を身に付け、2年次以降は自走してほしいというのが私たちの願いです」(吉柴豪直先生) これを実現するために独自に作成したのが、学習におけるPDCAを記録する「学修状況評価 活動記録ノート 至誠」だ(ツール1)。ノートの冒頭にある「はじめ 今年で創立121周年を迎える伝統校。栃木県第三中学校として創立されるにあたり、真岡町(当時)が学校の敷地を買い上げて県に寄贈し、さらに地元有志からも寄附金が贈られるなど、地域から熱望され開校された歴史がある。創立以来、「至誠(人を欺かず、己を欺かず、自己の良心を尊び、善と信じることは必ず実行する)」を教育の基本精神に掲げ、地域を代表する男子校として質実剛健・文武両道の気風を継承している。 進路指導については、大学進学を念頭に置き、大学で専門性の高い学問を学ぶための基礎構築を意識して教科・科目の授業内容を編成。1年次より大学受験を見据えた指導を行ってきた。一方、近年は進学実績の低下、学力・学習意欲の差の拡大が課題となっており、教員へのアンケートからも「将来の展望や大学の志望理由が浅く、進路を安易に変えてしまう」「与えられた課題には取り組むが、自分で気づいて行動する主体性が育っていない」「自らの学修状況を客観的に評価し、修正するメタ認知力が弱い」といった生徒の傾向が明らかになった。そこで、自分はどうなりたいのか、そのためには何をすべきなのかを考え、意志をもって学習や活動に取り組む主体性を育て、メタ認知力を高めることを目的に、進路指導の新たな取組に着手。2017年には課題・探究学習推進委員会を立ち上げ、2018年度より総合的な探究の時間を使った「学修状況評価」がスタートした。真岡高校(栃木・県立)取材・文/笹原風花大学進学177人(国立大54人・公立大12人・私立大111人)、専門学校進学1人、準大学など進学2人、その他17人ほぼ全員が4年制大学への進学を希望しており、2020年度入試の現役生進学率は89.3%。国立大学では地元の宇都宮大学への進学者が最も多い。1900年創立/全日制普通科・定時制普通科/生徒数599人(男子のみ)※全日制普通科(定時制普通科は男女共学)学力向上と課題発見・解決への意識の涵養を1年次の柱に設定学習のPDCAや成績の推移をノートに記録し、年度末に発表402020 OCT. Vol.434

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