キャリアガイダンスVol.434
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本学が今、最も力を入れているのがダイバーシティ&インクルージョンの考え方に基づく国際化です。これまで、それをけん引してきたのは、多国籍教員による英語中心の授業や、国際寮における留学生との共同生活といった特色をもち、2015年の設置ながら海外からの評価も高いiCLA(国際リベラルアーツ学部)でした。これを全学的に展開。「30プロジェクト」として、2030年までに全学の外国人留学生および外国人教職員の比率をそれぞれ30%へ高めるうえ、授業科目の30%を外国語で開講するという目標を掲げています。十分可能な数字であり、キャンパスの雰囲気は大きく変わるでしょう。留学生に関してT教育の拡充といったカリキュラム改革も、そうした考えをベースにしています。ただ、これらを既存のカリキュラムに上乗せするのでは、学生・教職員の負担は増すばかり。そこで、これからの社会で真に必要な力は何かを徹底的に考えながら、従来の科目構成を見直す一方、幅広い学問領域を選択できるよう改善します。それが本学が考えるリベラルアーツの充実です。 同時に、一つひとつの授業についても質の保証をする必要があるため、学部長・副学部長を中心としたチェック体制も整えているところです。学問や教授法の自由を侵すということではなく、例えば、学生が主体的な学習者たるよう授業の目的をきちんと意識させているか、あるいは知識伝授型から知識活用型授業ヘの転換といったアクティブ・ラーニングの視点を取り入れているかなど、山梨学院大学としてあるべき授業の姿を教員一人ひとりに意識してもらいたいのです。 こうしたビジョンを内外に発信しているのは、方向性に共感し、かつ語学も堪能な教職員が増え、その人たちが大学をさらに活性化してくれることを期待しているからです。最初は大きな力が必要でも、回り始めた車輪は次第に勢いを増していくことでしょう。【学長プロフィール】ふるや・こうじ●東京大学法学部卒業。2004年弁護士登録。学校法人山梨学院法人本部総務部秘書室長、山梨学院大学法学部専任講師、准教授、学長補佐、理事長補佐、副学長などを経て、16年法学部教授。18年4月より山梨学院大学学長、学校法人山梨学院理事長。【大学プロフィール】1946年山梨実践女子高等学院として創立。62年山梨学院大学開学。法学部(法学科、政治行政学科)、経営学部(経営学科)、健康栄養学部(管理栄養学科)、国際リベラルアーツ学部(国際リベラルアーツ学科)、スポーツ科学部(スポーツ科学科)および大学院社会科学研究科。外国人教職員・留学生比率30%を目指すのは、多角的に物事を見る思考の癖をつけてほしいからは、山梨学院高校を含めて本学で学び、日本をよく理解した高度人材として日系企業で活躍してもらう計画も進行中。中国を皮切りに対象をASEAN各国に広げることを考えています。 何のためのダイバーシティかといえば、Critical thinking & Creative actionにつなげるため。異なるバックグラウンドや価値観をもつ人々と日常的に接することで、物事を多角的に見るなどの思考の癖をつけ、それを行動につなげてほしいのです。 今、進めている留学生と日本人学生が机を並べて学ぶ国際共修系の科目群や専門家による正課のキャリア教育科目群の充実、プレゼンテーションなどのリテラシーを中心としたIC̶変革に挑む̶まとめ/堀水潤一 撮影/畑山亮太山梨学院大学学長古屋光司512020 OCT. Vol.434

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