カレッジマネジメント209号
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11リクルート カレッジマネジメント209 / Mar. - Apr. 2018に奨学金の延滞率やインバウンド学生の卒業率などからも学内事情が浮かび上がる。これらを大学ポートレート上で一覧できる状態にすることが重要だ。賛否は理解しているつもりだ。ただ、我々大学人はこうした社会の声に対して本当に反論できるだろうか。これまで大学が失ってきた信用はこのくらいやらないと取り返せない。ここまでの学修成果にまつわる議論をまとめると上図のようになる。学修成果の可視化のためには「大学独自指標」×「ベンチマーク指標」の掛け算を、大学がそれぞれ自律的に独自の自治=マネジメントに基づいて定めていく。その際、大学ごとの立ち位置や哲学、アカデミズムや経営方針に基づいて自ら責任を持ってその方向性を決めればいい。「その大学独自目標に決定した背景は?」「大学独自指標はどうやって決めたか?」「ベンチマークの1が悪いのはなぜか?」「ベンチマークの2はなぜ1位なのか?」社会からの疑問には徹底的に答える。社会に向けて自らの考え方を説明し尽くす。徹底的な情報公開と内部質保証の推進が鉄則だ。そうすれば答えは決して一つにならない。ひとつの認証評価制度と一つの大学ポートレートの中に様々な多様性に満ちた大学群が立ち現れる。自らの立ち位置を定めること、社会に示すことが、アカウンタビリティであり、それらを自律的にインプルーブにつなげていくことがマネジメントであり、いわゆる内部質保証となる。個人補助であれ、機関補助であれ、 こうした自らを律した厳しい内部質保証体制を構築することもなく、これ以上の税金投入や補助金事業はあり得ないだろう。自ら高等教育政策の研究者でありながら、ここまであえて中教審の話題に触れてこなかった。かつてこれほどまでに政策側と大学側が近づいたことがあったのだろうか。政策的なうねりの中で大学の教育の成果が問われているが、同時に今一度その距離感を見つめ直すことも必要だろう。情報公開を徹底し自らを説明し尽くし、学修成果の可視化を内部質保証体制に取り込む大胆さと、政策との距離感を丁寧に見極める慎重さ。そうした真摯な活動の積み重ねによって認証評価を実質化し、ひいては大学の信頼、大学の価値を取り戻すことが可能となるだろう。特集 学修成果の可視化に向けて大学の信頼と価値を取り戻すために(1)情報公開の徹底比較可能で標準化された情報を大学ポートレート上に徹底的に公開し、利用促進(2)説明力大学独自指標とベンチマーク指標を駆使して、自大学の教育成果を自ら説明し尽くす(3)内部質保証の確立(1)と(2)による学修成果の可視化を自大学の内部質保証体制に組み込む(4)政策との距離感安易に政策に擦り寄らず、自大学のミッションに照らした距離感を慎重に保つ(5)認証評価の実質化以上(1)〜(4)を通じて、認証評価制度を実質化し大学の信頼を取り戻すまとめ学修成果目標に資する大学独自指標教学マネジメントに基づく教学的目標やDPはもとより、大学のミッションや戦略的な方向性、ひいては大学の歴史・地域性・哲学・価値観等に基づいて、各大学が独自に定める測定指標。他機関との比較には向かないかもしれないが、それらの指標を達成すれば、「各大学固有の成果目標」が達成されるもの。相対評価が可能なベンチマーク指標独自成果だけでは難しい部分について社会的評価の参考とするために使用する標準的指標。これまで教育の世界では標準的な指標を徹底的に排除してきたが、中退率や延滞率など現代のネット社会では隠し続けることは難しい。社会から信頼を得るには基本的な指標は比較・公開が原則だろう。

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