カレッジマネジメント209号
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18リクルート カレッジマネジメント209 / Mar. - Apr. 2018成果(Essential Learning Outcomes: ELOs)」、(3)ELOsの達成度を測定する評価規準(Valid Assessment of Learning in Undergraduate Education: VALUE Rubric)、そして、(4)ELOsの達成に「非常に影響力が大きい教授手法(High-Impact Educational Practices: HIPs)」について、以下で簡単に紹介しよう。その名称が示すように、LEAPは個人にとっても、また米国のグローバル化した経済と民主社会にとっても、自由教育はそれぞれの将来を約束するものであることを全国的に唱導し、各大学での具体的な行動を促すことを目指して2005年から開始され、現在まで継続して実施されているAAC&Uの中核をなす取り組みである。その背景には、21世紀は、より多くの大卒の労働者とより積極的で知識豊富な市民を必要としており、これからの大学卒業者には、彼らが一層複雑な環境のもとで何事にも責任を持ってやり抜くためには、より高度な学習と知識、そしてより一層強力な知的スキルと実践的スキルが不可欠であるという認識がある。そこで、AAC&Uは、単に大学や他の大学団体との連携協力のみならず、産業界と州等の各種政府、そしてLumina Foundation等の財団との連携を強め、文字通り国民的運動として自由教育の普及と推進に邁進している。現在、州としてLEAPに賛同し、州内の州立大学で、ELOs、VALUE Rubric、HIPs等の研究開発と実践を進めている州は、カリフォルニア州等13州に及ぶ。(注3)色の濃い13州がLEAP 賛同州(AAC&Uのウェブより)出所:Hart Research Associates. Falling Short? College Learning and Career Success. (2015)人類文化と物理的・自然世界に関する知識・民主主義やその価値に関する知識と理解・リベラル・アーツと科学の分野の広範な知識・知的スキルと米国以外の社会や文化の理解87%78%78% 知的並びに実践的スキル(以下のものを含む)・口頭によるコミュニケーション力・多様な集団におけるチームワーク力・文書によるコミュニケーション力・批判的思考力と分析的な判断力・複雑な問題解決力85%83%82%81%70%個人的並びに社会的責任(以下のものを含む)・多様な状況における問題解決力・地域社会と民主社会に貢献するために不可欠な市民としての知識とスキル及び判断力・倫理的判断力と意思決定96%86%81%統合的な学修(以下のものを含む)・現実社会での応用力80%図表3 企業が重視する大学教育の学修成果(肯定率70%以上の項目)人類文化と物理的・自然世界に関する知識・科学と数学、社会科学、人文学、歴史、言語及び芸術の学習を通じて その際、現代及び人類永遠の大問題に取り組むことを重視する知的並びに実践的スキル(以下のものを含む)・探求と分析・批判的・創造的思考・文書と口頭によるコミュニケーション力・計量的リテラシー・情報リテラシー・チームワーク並びに問題解決力徐々に難しくなる課題、プロジェクト、そしてより高度な達成を目指し、すべての教育課程を通じて、集中的に実践される個人的並びに社会的責任(以下のものを含む)・市民としての見識と行動(地域及び世界の)・異文化に関する知識と能力・倫理的判断と行動・生涯学習基盤力多様な共同体と現実社会の課題に主体的に関与することを通じて定着する統合的な学修(以下のものを含む)・一般教育と専門教育で学習した内容の総合とより高度な遂行知識とスキルの応用と新しい状況と複雑な課題への責任を通じて示される出所:https://www.aacu.org/leap/essential-learning-outcomes図表2 本質的で不可欠な学修成果(Essential Learning Outcomes)LEAP運動

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