カレッジマネジメント209号
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20リクルート カレッジマネジメント209 / Mar. - Apr. 2018重んじる「アセスメント」の開発に乗り出し、LEAP運動の一環として、「学士課程教育での学修の正・当・な・測定法(Valid Assessment of Learning in Undergraduate Education)」としてELOごとにルーブリック(採点規準表)を開発することとなった(強調は筆者)。ルーブリックの作成には、全米の様々な高等教育機関と多数の教員や関係者が参加し、仕事、市民生活、そして人生で成功するために全ての学生が修得すべき全てのELOsについてルーブリックが作成された。2009年の公表以来、国内外の高等教育機関がこのVALUE Rubricを採用し、それぞれの教育の実情に合わせて修正し、学修成果のアセスメントに活用している(前ページ図表4)。このVALUE Rubricは、州立の高等教育機関の説明責任を可視化するシステムであるVoluntary System of Accountability (VSA)でも、各種の標準テストと共に、学修成果を測定し、可視化する手段の一つとして認定されている。公表されているルーブリックを各機関が修正することは、むしろ奨励されており、また、AAC&Uが公表している標準的なルーブリックも、常に見直しの作業が行われている。ELOsが、21世紀の職業生活や社会生活で成功するために本質的で不可欠の知識や能力であっても、全ての学生が全ての学修成果を修得しているわけではない。卒業証書を授与されたとしても、全員が「学位授与の方針」で示されている学修成果を全て獲得していないことは、大学教員であれば誰でも認識していることである。AAC&Uが提案している自由教育を通じて獲得を目指すELOsは、卒業後の職業生活においても極めて重要であることを産業界も同意していることは先に述べた通りである。しかし、AAC&Uが実施した産業界の意見調査では、最近の大学卒業者について、回答者の63%がグローバル化した社会で活躍するために必要な技能を欠いていると評価している。では、どのように教育し、学修すればELOsを修得できるのであろうか。とりわけ、これまで高等教育の機会に恵まれてこなかった集団出身者や第一世代の学生にとっては、重要な課題である。そこで、LEAP運動の指導者の一人であり、NSSE(National Survey of Student Engagement)の代表であるGeorge D. Kuh教授(注5)に、どのような教育・学習方略が学生のELOsの修得に、単に「有効eective」だけでなく「影響を与えるimpact」のかの分析を委託した。その結果、以下の11の方略が、ELOsの修得に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。これらは、いずれも、いわゆる「アクティブ・ラーニング」の方略であるが、従来はその導入が体系的でなく、かえって学生の学修には有害であった。そこで、Kuh教授は、高等教育機関は、「意図的・計画的」に、少なくとも二つの方略を全ての学生に提供すべきであると提案した。日本の大学でもHIPsを導入しているが、重要なことは、単に表面的に学生が「行動面」でアクティブに活動しているだけではなくて、知識の獲得と理解、獲得した知識の再構成、さらには課題の解決への活用等「知的」にもアクティブであることである。(注6)・初年次セミナーと経験First-Year Seminars and Experiences・共通の知的経験Common Intellectual Experiences・学習共同体Learning Community・論文執筆を重視した科目Writing-Intensive Courses・共通の課題とプロジェクトCollaborative Assignments and Projects・学部学生の研究活動Undergraduate Research・多様性とグローバルな学習Diversity/Global Learning・電子ポートフォリオePortfolios・サービス学習/地域社会での学習Service Learning, Community-based Learning・インターンシップInternship・集大成科目とプロジェクトCapstone Courses and ProjectsHigh-Impact Educational Practices (HIPs)どうすればELOsを修得できるのか:High-Impact Educational Practices

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