カレッジマネジメント209号
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222018年の大学入試センター試験が無事終了し、いよいよ2年後の2020年から新たな入試制度への切り替えが始まる。その真の目的は高大接続教育改革であり、入試改革はその一部にすぎないことは言うまでもない。高大接続教育改革とは「大学での教育改革」と「高校での教育改革」、そしてそれをつなぐ「大学入試改革」という3つを指している。背景にある時代認識は、いわゆる21世紀型能力に代表される「能力の多面性」を重視し、教科学力一辺倒(知識偏重)を脱して、思考力や主体性の育成に力を入れていくべきというものである。そこで注目されるのが、大学入試が従来の試験内容からどのように変わるのかであり、リテラシー(思考力等)やコンピテンシー(主体性等)を評価する選考方法や試験問題に、関係者の関心が集まっている。昨年末「大学入学共通テスト」の試行調査の問題と結果が公表された際に関心が高かったのは、記述式の採点体制、段階別評価を含む成績評価の方法、英語の民間試験の選定等であった。一方で、当事者である受験生(高校生)から見れば、新たな入試制度が自分の合否にどのような影響があるのかが、最も関心が高いところではないか。新たな入試制度に切り替わると合否にどのような影響が出てくるのかの議論や予想は全くされていない。恐らく、2020年以降に難関大学の合格者ランキング(設置主体別、地域別、男女別等)が明らかとなるに伴い、活発に議論が始まると思われる。ここでは、河合塾とリアセックが開発した“学びみらいPASS”の受験生データ(注1)を用い、2020年から始まる大学入試改革で合否判定が「教科学力のみ」からリテラシー(思考力等)、コンピテンシー(主体性等)を加えた「多面的評価」に切り替わった場合、難関大学合格者の顔ぶれがどのように変わるかをシミュレーションした。なお、『カレッジマネジメント』207号の寄稿「主体性を評価する仕組みはどこまで進んでいるか」(16〜19頁)を参考に、3通りの方法を新たな採点方式(合否判定基準)として設定した。入試改革2020のインパクトをシミュレーション─教科学力、思考力等、主体性等の総合評価で分析リクルート カレッジマネジメント209 / Mar. - Apr. 2018リアセックキャリア総合研究所 所長角方正幸(1)学びみらいPASSの「教科学力テスト」、「PROG-H」を受験した全国の高校2年生3445名を対象にシミュレーション(受験時期:2017.4〜2017.9)(2)3つの能力「教科学力」、「リテラシー(思考力等)」、「コンピテンシー(主体性等)」をそれぞれ偏差値化し、それらの合計点数を各人の獲得した得点とした。コンピテンシーはレベル(1〜5)判定する段階で推計される潜在確率変数を基に偏差値化した。(3)採点方式別に上位100名(2.9%)を難関大学合格者とし、高校タイプ別に集計した。※高校タイプは教科偏差値や進路志望状況に応じ以下のように設定している。「進学校」:偏差値が高く、ほとんどの生徒が大学進学を希望する。「中堅校」:偏差値が中程度の、平均的な高校。多くの生徒が大学進学を希望するが、就職、各種学校等の進路も珍しくない。「多様校」:偏差値は低めで、卒業後の進路は多様である。「その他」:偏差値や進路志望状況では適切に分類できない高校。総合科等普通科以外の高校、中高一貫校等が含まれる。(4)採点方式は、①従来型(教科学力のみ)、②総合判定方式(教科+リテラシー+コンピテンシー)、③主体性(コンピテンシー)予備選抜型、④主体性(コンピテンシー)参考型、の4通りを設定。※「③主体性予備選抜型」:コンピテンシーが一定水準以上(レベル3以上)を条件に、これを満たす受験生の(教科+リテラシー)の偏差値得点で上位100名を合格者とする。※「④主体性参考型」:初めに(教科+リテラシー)の偏差値得点で上位120名を1次合格者とし、その120名の中で、著しく主体性(コンピテンシー)が低い(レベル1以下)ものを不合格とする。【シミュレーションの条件】寄稿2020年、入試が多面的評価に切り替わるインパクト主体性評価で入学者はどう変わるか──PROGによる検証

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