カレッジマネジメント209号
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25リクルート カレッジマネジメント209 / Mar. - Apr. 2018て見たときに学修成果が高いプログラムとそうでないプログラムの差が歴然としたケースもある。 このようにPROGを使った学修成果の可視化は、教育効果の測定や学習方法との関連分析等、教育改善、教育改革に向けて広がりを見せている。しかしながら普及から活用・定着への道のりは、今なお遠いと思われる。まだ多くの大学では実験段階、試行段階の実態把握で、仕組みとして大学教育制度に組み込まれていないからだ。今後の活用を考えると、仕組み化の方向には学生対象と教員/大学対象の2つがある。学生向けには自らの成長を記録し可視化する「学修ポートフォリオ」のデータとして提供できる。一方、教員/大学向けには大学教育の改善・見直しや、卒業生の「質保証(デュプロマ・サプリ)」の可視化データとしての活用が考えられる。ではそれは、具体的にどのような形だろうか。大学改革の要諦は3つのポリシーの一体化にある。3ポリシーとは、AP(アドミッション・ポリシー)の入学者受け入れ学びと成長の可視化と大学教育改革─可視化した学修成果の活用は進んでいるか3ポリシーと学修成果─データに基づいた3ポリシーの検証方針、CP(カリキュラム・ポリシー)の教育課程編成・実施方針、DP(デュプロマ・ポリシー)の卒業認定・学位授与方針を指している。それは学びと成長の可視化を通じて大学教育のPDCAサイクルを確立する作業ともいえる。とりわけ私学においては、建学の精神に基づいた人材像や育成手法の、独自性・多様性が求められる。最近2020年の入試改革に向けて、アドミッション・ポリシーの定義等の相談を受ける機会が増えてきた。その中で注目されるのが、PROGデータを基に自校のカリキュラムで成長する学生のタイプを分析し、その結果からAPの定義や入試方法、入試広報を検討する動きが出てきていることだ。大学改革は文部科学省が重要テーマとして掲げるものだが、もちろん改革とは国からの指示で仕方なく取り組むものではない。個々の大学が自ら取り組まなければならない永遠の課題である。それぞれの大学が自らの意志で改革を進め、多面的な取り組みのうえで大学教育の多様性が担保され、全体として改革が進むことが望ましい。図表4に示す通り、建学の精神、教育の理念は3ポリシー(3つの方針)につながっている。そして、大学改革とは学修成果生成メカニズムを念頭に、入学から卒業まで一貫した教育マネジメントを確立することでもある。こうした取り組みはいくつかの大学で始まっているが、個別大学だけの取り組みでは影響の範囲は限定的である。今後は、高大接続改革という形で先行する高校との連携に続き、大学コンソーシアムや経済団体等、外部組織との連携で仕組み化されることが、発展のポイントであろう。若者の人材育成、人づくりが政府の主要テーマとなっている今日、社会的コンセンサスが不可欠な大学教育改革の絶好の機会といえる。建 学 の 理 念正課正課外APカリキュラム多様な教育サービス多様な学生高校成績入試経路学習時間熱心度関心度キャリア意識学生学修ポートフォリオ大学の質保証(デュプロマ・サプリ)学業成績(GPA)汎用的能力(GS)学修成果大学満足度キャリア自律度高校生/保護者学修成果生成メカニズム卒業生を社会へ出所:著者作成大学の経営資源教員職員教育施設研究費等講義型実験実習型アクティブラーニング型インターンシップ部活/サークルボランティアCPDP(注1)学びみらいPASS:高校生向けテストで、学力の3要素である「教科学力(英語、数学、国語の3教科)」・「リテラシー」・「コンピテンシー」を測定している。リテラシー、コンピテンシーは高校生版PROG「PROG-H」を利用図表4  学修成果生成メカニズムと建学の理念特集 学修成果の可視化に向けて

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