カレッジマネジメント209号
26/72

26「入学してくる学生がどこか変わったと感じるようになった。そうですね、1990年代後半からでしょうか」と、湯本雅恵副学長は語り始められた。「具体的に言えば、入学時に十分な学習習慣が身についていない、あるいは、大学生活やその後のキャリアについての目的意識が不明確、そのような学生が以前と比べて増えてきたように感じるようになったのです。以前は4年次の卒業研究で鍛えることでよかったのですが、そこまで待っていては遅い、入学の時点から対応しなければと思うようになったのです」。湯本副学長は、この原因を入学者選抜の多様化にあることを認めつつも、それへの対策が遅れていたと話される。こうした学生の多様化がじわじわと進んでいても、それを課題として把握し対応策を練り始めるにはさらに時間を要した。今後の大学の中長期計画である「アクションプラン2030」を作る過程でこの問題が明確に意識化され、大学戦略室という中長期計画を推進するための組織が設置されたのは、2014年であった。このアクションプランは、2019年に創立90周年、2029年に創立100周年を迎える節目に向けての中長期計画であるが、実はこうした中長期計画の策定そのものが初めてだったそうだ。このアクションプランにおいては、目標年を2020年度、2030年度と定めた4つのプロジェクトが展開される。その第1が「教育の質保証プロジェクト」であり、そのもとに4つの施策・事業案が置かれている。そのうち本稿の議論と直接に関わるのが、「1.都市大教育理念に則った教育プログラム」「2.教育の質を保証するためのマネジメントシステム」である。このプロジェクトを立ち上げたことで東京都市大学(以下、都市大)の教育改革は加速化する。教育改革を迅速に進めるためには、そのための組織が必要である。2014年の大学戦略室の設置から2年を経て、それとは別の学内組織として教育開発機構を立ち上げ、この中に教育支援・改善部門、教育評価部門、研修部門の3つを置いた。これは、学長と各学部及び全学委員会をつなぐ位置づけにあり、具体的な改革プランの企画・立案をするための組織である。「アクションプラン2030」を推進する大学戦略室との密な連携は欠かせない。もちろん、これまでにも学部等の教務委員長を中心に構成される教務委員会において改革プランは議論されてきたが、委員会組織では所管業務も多く、なかなかプランの企画・立案には及ばない。そこで、そのための組織として、この教育開発機構を設置した。構成員は、副学長を機構長とし、副学長のもとに置かれていた補佐教員、教務委員長、3キャンパス代表者等8名の教員、関連部署の職員等、学長によって指名された合計16名である。このメンバーで、1カ月に1・2回の全体会議と、タスクチームによる検討を並行して行うことで、改革のための企画・立案を行ってきた。学長が見込んだ教員を中心に据えるが、全学の意向も汲んだ組織構成とし、さらには会議の頻度を高くすることで、課題は格段に速く処理されるようになったという。大学という組織においては、ボトムアップを含みつつ、しかし、一定のト教育改革を推し進める体制整備リクルート カレッジマネジメント209 / Mar. - Apr. 20184年間継続的なPDCAサイクルで学生の成長を促す湯本雅恵 副学長東京都市大学1C A S E大学経営の契機となった学生の変貌

元のページ  ../index.html#26

このブックを見る