カレッジマネジメント209号
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27ップダウンによる決断がないと改革は進まないのであろう。さて、もっとも主要な改革課題は、学生をいかにして主体性をもたせて社会に送り出すかである。そのためには、従来の卒業研究に1年次から3年次までの学習を接続し、さらには大学入学前から、そして大学卒業後の社会人に至るまでを視野に入れた教育システムを構築することが必要だと判断された。大学に在学する4年間における教育を、その前後を含め長期的な観点から構築しようとしたのは、大学教育の成果とは、社会に通用する人材の育成と考えたからにほかならない。しかしながら、社会に通用する人材とは何か、それをどのような形で社会に示すのか、大学における学修成果をどのように設定するのか、学生がそこに至る過程をどのように評価するのか等々、目標を具体化するにつれ課題は増える。また、「社会に通用する」を謳うのであれば、卒業生に対する調査や企業等に対するニーズ調査も欠かせない。こうした試行錯誤のなかで開発を進めているのが、ディプロマ・サプリメント(以下、DS)である。DSとは、もともとは欧州高等教育圏の構築を推進するボローニャ・プロセスのもと、国家間で異なる学位・資格の認定のために共通「社会に通用する」学修成果の模索:ディプロマ・サプリメント様式で情報を記載し、それでもって公的で透明性のある文書とするものだが、日本では共通性より各大学の学位の特徴を示すものとして用いられる傾向がある。都市大の場合、DSは、図表1の六角形に記された「リテラシー基礎力」「コンピテンシー基礎力」「語学力」「基礎学修力」「専門学修力」「専門実践力」という6つの力であり、それを学修成果として可視化しようとした。そして、この6つの力を涵養するための正課活動と正課外活動の教育プログラムの円が、周縁に位置づく。これらは、社会人5年目と15年目の卒業生3000人対象の卒業生調査と、約5000社の企業対象の人材ニーズ調査を踏まえて設定されたものであり、その点では「社会に通用する」学修成果といってよい。このDSによって、自信を持って学生を社会に送り出せると考えたのである。DSを設定したのは教育開発機構であるが、比較的スムースに決めることができたそうだ。これまでは卒業研究を遂行することで、学生が社会で伍していける力をつけることができたと大学は自認しており、学生を受け入れる社会の側もそれに信頼をおいていたが、それを目で見て確認することは容易ではない。そこにDSを介在させることで、獲得した力を可視化でき、他者への説明が容易になる。DSには、そのような効用が期待された。リクルート カレッジマネジメント209 / Mar. - Apr. 20181年次2年次3年次卒業時リテラシー基礎力基礎学修力語学力専門学修力コンピテンシー基礎力専門実践力1年次リテラシー基礎力基礎学修力語学力専門学修力コンピテンシー基礎力専門実践力1年次2年次リテラシー基礎力基礎学修力語学力専門学修力コンピテンシー基礎力専門実践力1年次2年次3年次リテラシー基礎力基礎学修力専門実践力専門学修力語学力コンピテンシー基礎力1年次2年次3年次卒業時リテラシー基礎力基礎学修力語学力専門学修力コンピテンシー基礎力専門実践力■学生に関する情報  ■履修履歴  ■課外活動履歴  ■取得した資格に関する情報 等 /  ■学位の情報(卒業時)教養・基礎科目外国語科目留学(TAP)専門基礎科目専門科目実験・実習科目卒業研究・事例研究リーダーシップ教育TA・SA・学修支援スタッフ課外活動クラブ・サークルPBL(Problem Based Learning)課題解決型演習就業・職業体験インターンシップ(東急グループ・海外・国内)海外体験プログラム正課活動正課外活動資格取得科学体験教室等特集 学修成果の可視化に向けて図表1ディプロマ・サプリメントの評価プロセス(1~3年次はプレ・ディプロマ・サプリメント)

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