カレッジマネジメント209号
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29リクルート カレッジマネジメント209 / Mar. - Apr. 2018る。変貌した学生を社会に送り出すためには、学生が問題意欲を持って自ら目標を設定し、それに挑戦して、成功であれ失敗であれ、それを省察することによって自信を深めていくこと、それを「成長」と考えてのDSの開発である。図表の中央に位置する「DSシステム」は、学生が自身で学修のPDCAサイクルを回すための装置であり、その装置を駆動させるのが、学修アドバイザー等の人的支援体制である。機械的な意味でのシステムに人的要素を組み合わせることで、的確な装置ができる。それが右上の赤枠の「個別学修支援システム」である。学修成果を可視化するだけが目的ではないことは、人的な支援によって個別学修を促進する仕掛けとなっているところにみることができる。教育を教授・学習過程と分析的に捉えれば、学生の学修の前には、教授過程がある。それが、図の左下の「教育システム」である。この部分は1990年代から2000年代にかけての教育改革の課題であり、多くの大学が多かれ少なかれ取り組んできた事柄である。ただ、3つのポリシーの制定の義務化で再確認が求められているのが現実であろう。都市大でも、学期ごとの成績評価に関してGPAの妥当性が議論の俎上にのぼっているという。GPAとは履修科目の平均値であるが、成績評価の基準化の必要性や、学生個別の学修を支援しようという体制が作られつつあるなか、平均値で一括りにしてしまうことで個々人の特性を見落としてしまうことがないのかという懸念から出発した議論であろう。この3つのポリシーのもとで、大学の提供する教育がどの程度機能しているのかをチェックするのが、右下の「教育IR」という部分である。IRを組み込むことで提供する教育のPDCAサイクルを回すことができ、それが、教育システムの再考に連なるという仕組みである。教育IRを進めていく際には、入学時から卒業後約10年までを視野に入れ、3つのポリシーとの整合性をはかっていく、「EM(エンロールメント・マネジメント)」が不可欠である。このようにして一渡りこの図表を眺めてみると、日本のいくつかの大学では既に、あちこちの部分に取り組んでいることだろう。しかしながらそこでの改革は、得てして大学外部からの要請への対応として行ってきたため断片的であり、それぞれがどのような関連にあるのかまで気づくことができなかったように思う。都市大のこの図表は、日本の大学が総体として何をどのように改革しているのか、その見取図ともいうべきものであり、自身の大学が何をどこまで進めているかを測定するためのチェックリストに使えそうだ。(吉田 文 早稲田大学教授)既卒者支援キャリアガイダンスクラス担任教員学生学修アドバイザー学生の自己理解・成長支援個別学修支援システム研究室担当教員半期ごとの省察日常的な省察教育システムプレ・ディプロマ・サプリメントDSシステム (eポートフォリオ)学内の学修学位プログラム 3つのポリシー   ルーブリックアセスメントポリシー学内の学修GPA育成人材像学外活動・体験基礎能力アセスメント(リテラシー、コンピテンシー)人材ニーズ調査在学生調査可視化された学修成果入学APCPDP卒業進学就職35歳前後まで学部・学科×入学年次5年後、15年後卒業生追跡調査授業評価アンケートCAP制クォーター制ICT活用教育IR学CPEMディプロマ・サプリメント図表2 教育の質保証マネジメント体制完成イメージ特集 学修成果の可視化に向けて※肩書きは2017年12月取材時点のもの

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