カレッジマネジメント209号
30/72

30「SDGs(エスディージーズ)」という言葉をご存じだろうか。「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、国連加盟193カ国が2016〜2030年の間に達成を目指す目標のことである。日本では、首相を本部長とするSDGs推進本部が取り組みをバックアップしており、その一環として、昨年末、平成29年度ジャパンSDGsアワード(第1回)の表彰が行われた。280もの応募のなかから12の企業・団体等が受賞。金沢工業大学は大学として唯一SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞に選定された。17ある目標のうち、特に「質の高い教育をみんなに」への寄与が評価されての選定だった。「学部・学科を超えた全学体制」を整え、「誰一人取り残さない教育体制」を構築、「社会実装型の研究・教育を実践」し、「周辺の自治体と密接に連携」している。これまでの金沢工業大学の取り組み内容が評価されたということなのだろうが、ただ、おそらく受賞理由はほかにもある。いや、受賞の前提になっていることがある、とでも言い換えるべきだろうか。即ち、金沢工業大学の動きが早く、そして何よりプレゼン力が素晴らしいのだ。取り組みの内容自体が重要であることは言うまでもない。しかしながらどれほど良い取り組みをしていようと、そしていくら実績を上げようと、その意義が分かりやすいかたちで周りに伝わらなければ注目されることはない。取り組んでいることをいかに見せるか。実績をどう表現するか。ここで今回の特集である「学修成果の可視化」に観点を移しても、金沢工業大学はかなり力を入れた試みを行っている。改めて金沢工業大学を紹介すれば、金沢駅から車で30分ほどのところに位置する理工系の大学である。北陸電波学校を母体に1965年に創設された比較的新しい単科大学ながら既に4学部(工学部、情報フロンティア学部、環境・建築学部、バイオ・化学部)を設置、学部学生数も6500人を超えている。建学綱領は、「高邁な人間形成」「深遠な技術革新」「雄大な産学協同」の3つ。ただ、このような説明を述べるまでもなく、大学関係者であれば、誰もが一度は金沢工業大学の名前を聞いたことがあろう。と言うのも、改革の先駆的機関として知られ、新聞社等が行う大学ランキングの教育関連項目上位常連校であるからだ。「教育付加価値日本一を目指す」というキャッチフレーズとともに大学が説明されることも多い。ただ、今でこそ教育改革代表校として知られるが、時間を遡れば、1990年代前半、金沢工業大学が目指していたのは、「研究機能の強化」だった。創設から四半世紀が経ち、大学としての体は整い、志願者も集まるようになった。これからは研究活動の拡充を志したい──このような考えから精力的な米国視察を実施するも、その中で見えてきたのは、「研究」ではなく「教育」の重要性だった。米国の大学は、教育を充実させることで研究成果を上げているところがほとんど。改革の矛先は一気に教育の充実化に向けられた。その結果として導入されたのが、「プロジェクトデザイン教育」である。1995年に方針が決定され、1996年から実際の授業が開リクルート カレッジマネジメント209 / Mar. - Apr. 2018eシラバスとAI活用で、一歩先行く主体的学習と自己成長を支援金沢工業大学2C A S E1990年代半ばにスタートした教育改革ジャパンSDGsアワードSDGs推進副本部長賞に選定

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る