カレッジマネジメント209号
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41メージは決して小さくない。これらを適正に管理する必要性は以前からも指摘されていた。日米英の大学スポーツ制度の概要を表1に示す。日本は競技ごとに学生連盟が組織され、縦割りとなっており、統括する組織が存在しない。中学校や高等学校では中体連や高体連のように統括組織があるが、大学には存在しない。そのためにスケールメリットも活かせず、労力が分散されている。学生連盟の収入も限られているので、学生の学業支援や人間教育、安全管理等に十分な取り組みができていない。競技会は学外の競技場で開催されるため、一般学生や地域住民が観戦しにくいという面もある。米国のNCAAは24競技を統括している。アメリカンフットボールやバスケットボールでは多額の収益を得ているが、その収益を他の競技、特に女性スポーツの運営や普及に充てている。10前後の大学でカンファレンスと呼ぶグル2日米英の大学スポーツ制度ープを形成し、そのグループ内で数種目のリーグ戦をホームアンドアウェイ方式で行っている。IVYリーグは日本でも良く知られた私立名門大学のグループであるが、これもカンファレンスの一つであり、カンファレンスとしてブランド力を持っている。アメリカンフットボールの試合には、学生や卒業生だけでなく、地域住民も含めて数万人も観戦する大学もあり、ミシガン大学は11万人収容のスタジアムを持っている。現在建設中の新国立競技場は6万8000人であるので、大学スポーツの人気ぶりがわかる。アメリカンフットボールの場合、大学とプロの試合開催曜日を異ならせていたり、高校卒業後3年間はプロに入団できない等と棲み分けし、共存共栄の体制が整っている。莫大な収益を利用して安全管理や学業支援、人間教育にも取り組み、成果を上げている。NCAAのモットーは「生涯にわたる成功への道を創造する」(Creating a pathway to lifelong success)であり、人材育成をミッションとしている。英国はそれまでの大学スポーツの団体を統合して、BUCS(British Universities and Colleges Sport Limited)リクルート カレッジマネジメント209 / Mar. - Apr. 2018日 本米 国英 国統括組織とその収入NCAAに相当する組織はなく、種目ごとに学生競技団体がある。競技団体は主に会費収入で運営しており、資金獲得に無関心な団体が多い。NCAA(全米大学体育協会)全米の約2300大学のうち約1100大学が加盟している。NCAAとしての歳入は約1000億円(2014年度)。大学スポーツ全体の歳入は約8000億円(2010年度)程度と推測されている。BUCS(British Universities & Colleges Sport)全英の約162大学のうち140校が加盟している。歳入は約6億円(2015年度)。学内組織とその収入体育会や学生課学生の自主的活動としての体育会とそれを支援する学生課などで、大学の関与は低い。Athletic Department(スポーツ局)競技スポーツを統括する組織で、100億円以上の年間予算を持つ大学も複数ある。University Sport(スポーツ局)運動部のほか、一般学生や教職員のスポーツ活動を支援する学内組織。施設観客席のない体育施設教育施設や課外活動の施設であり、観戦者を想定していない。キャンパスの奥まったところに位置することが多い。観客席を備えた競技場数万人を収容する専用の競技場を保有する大学もある。トレーニング施設も整っている。観客席のある運動施設国際基準の運動施設を保有する大学もあるが、多くの大学では簡易な観客席や立ち見用スペースが確保されているにとどまる。ブランド運動部ごとに異なるブランド大学として統一したブランディングは行われてこなかったので、チームカラーもまちまちな大学が多い。大学ブランド種目は異なっても、共通のロゴやチームカラー、ニックネームを使っており、大学アイデンティティの醸成に寄与している。大学ブランド種目は異なっても、共通のロゴやユニフォームを使っており、大学アイデンティティの醸成に寄与している。試合制度セントラル開催国立競技場や明治神宮野球場などの競技場を固定して開催する。運動部関係者以外は観戦しにくい。ホーム&アウェイ開催学生だけでなく地域住民も観戦し、入場料収入やグッズ販売収入も得られている。ホーム&アウェイ開催シーズン中は毎週水曜日に開催するため、水曜日の午後は授業は開かれない。(注)(株)電通およびスポーツ庁作成の資料から抜粋し、一部加筆した。表1 日米英の大学スポーツの特徴

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