カレッジマネジメント209号
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43リクルート カレッジマネジメント209 / Mar. - Apr. 20189月に東京で、2回目は12月に大阪で開催した。この協議会のもとに3つのワーキンググループ(WG)が設置されて具体的な制度設計や事業内容を検討している。ワーキンググループのテーマは、「学業充実」と「安心安全」「マネジメント」であり、図1に示すように、検討結果を学産官連携協議会に反映させることになっている。そして、2018年3月の連携協議会では日本版NCAAの設立趣旨書を公表し、その後も設立準備を進め、2018年度内に設立させる計画である。しかし、日本版NCAAの具体的な組織像、つまり、いくつくらいの大学や競技が参加し、収益構造をどうするか等については、まだ検討されていない。(1月時点)なお、スポーツ基本計画(2017年度〜2021年度)には、スポーツ局を設置する大学を100校にするという数値目標が盛り込まれている。実際に設置する大学は増えており、着実にスポーツ改革は進展している。前述した政府の動きのほかに大学関係団体もスポーツ振興に取り組んでいる。全国大学体育連合は2011年からスポーツに関する各種調査を実施し、実態把握に努めてきた。例えば、約3割の大学がスポーツ推薦入試や運動部強化指定制度を実施していることのほか、運動部支援における課題等を明らかにした。これらの調査をもとに毎年、カレッジスポーツシンポジウムを開催し、2017年度からは大学スポーツ局長全国協議会も開催している。大学スポーツ推進宣言を公表したが、これに署名した学長は2018年1月現在で176名である。2016年12月には大学スポーツマネジメント研究会が設立され、東京と大阪、福岡で計6回開催している。この研究会開催を機に大学スポーツ振興関東地区検討会と同関西地区検討会、同九州地区検討会が設立し、それぞれ何度か会合を開き、情報交換をしている。関西地区では大学スポーツコンソーシアムin関西の設立に向けて準備を進めている。また、学校経理研究会が大学スポーツ推進フォーラムを東京と仙台で開催し、名古屋でも開催予定である。日本スポーツ産業学会や日本体育・スポーツ政策学会等でもシンポジウムを開催し、学術的な検討を進4大学および関係団体の取り組みと今後の課題めている。雑誌では、『IDE現代の高等教育』が2017年7月号で特集を組んだほか、多くの雑誌や新聞でもたびたび報道されている。しかし、多数の大学では関心が高まっていないように感じる。それは、なぜであろうか。そもそも学生数が1万人を超える大学が多い米国の制度を、学生数が3,000人以下の大学が約7割という日本がどのように参考にできるか、もっと議論を深める必要がある。大学スポーツ振興の目指すところは、文部科学省「大学スポーツ振興に関する検討会」がまとめた「大学スポーツが持つ潜在力(人材輩出、経済活性化、地域貢献等)を生かすため、大学スポーツに係る体制の充実を図る」ことである。同検討会の委員でもあった安西祐一郎・全国大学体育連合会長は、大学スポーツ振興の目的は「広報というより、むしろコミュニティづくりにある」、「構成員の帰属意識を向上させ、コミュニティの凝集性を高め、個性的な文化を創ることは、どんな組織にとっても重要である」、「商業化は大学スポーツ改革の目的ではない」と明言している(「大学スポーツ改革の意義と今後の展望」『大学時報』2017年7月号)。大規模校やスポーツ系大学だけが利益を得るのではなく、地方の中小規模大学と地域こそが活性化する制度設計が重要だと考える。学生競技連盟による縦割りではなく、地域の大学が横につながり、スポーツによる交流を盛んにすることによって、それが成し遂げられる。母校のスクールカラーを身にまとい、大学名を連呼し、大勢の同窓生と感動を一緒にする経験はほかでは得られない。そして、その体験が愛校心をどれだけ強めることか。また、そのような賑わいを大学と地域が持つことが人材流出を抑え、地域活性化にも貢献すると考える。そのためには、各地にある大学コンソーシアムというプラットフォームと地域スポーツコミッションのノウハウを活用することができるのではないかと考えている。大学スポーツの多くのステークホルダーが加わることによって、改革が成し遂げられる。個々の大学においても、スポーツという眠れる資源の有効活用に取り組んでほしい。【参考文献】スポーツ庁・経済産業省「スポーツ未来開拓会議中間報告」2016年スポーツ庁「大学スポーツの振興に関する検討会議最終取りまとめ」2017年スポーツ庁「スポーツ基本計画」2017年

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