カレッジマネジメント209号
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44──私立大学研究ブランディング事業によって支援する対象とは?本事業の前身として「私立大学研究基盤形成支援事業」というものがありました。同事業は、研究基盤を支援することを目的とした、研究プロジェクトに近い形での支援です。しかし、同事業を進めていく過程で、研究者個人の研究費支援を行う科学研究費補助金等との違いが明確でないという意見や大学全体の取り組みを支援する基盤的経費としての性格に立ち戻るべき等の意見もあり、事業の見直しを図っています。つまり、個人やグループの研究そのものを支援するのではなく、学長のリーダーシップのもと、特色ある研究の成果を用い、各大学が自らのブランディングを図る全学的な取り組みを対象に支援を行うという点が、この事業の特色です。──「ブランディング」にフォーカスして支援を行うことの背景、狙いとは?大学内で取り組まれている研究を、特定のアカデミック層だけに訴求するのではなく、大学として何が自らの特色と考え、研究に取り組んでいるのか、それが社会的にどういう意味を持つのかといったことを、自らの大学の価値に位置づけ、再整理し、それを世の中に伝え、理解してもらうということが、今の大学に不足しているのではないかと考えられること。それが背景にあります。そうした自校の価値を改めて大学全体で考えて頂き、自校の特色・強みを発揮してもらうことを促していくための政策として、この事業を立ち上げました。──社会に対してどうコミュニケーションしていくのかという点までが採択を決定する上での評価対象となっている?配点区分表(図2)等を通じて各私立大学・短期大学へ示リクルート カレッジマネジメント209 / Mar. - Apr. 2018図1 私立大学研究ブランディング事業 趣旨と支援対象学長のリーダーシップの下、大学の特色ある研究を基軸として、全学的な独自色を大きく打ち出す取り組みを行う私立大学の機能強化を促進する。2018年度予算額 56億円※2016年度・2017年度選定分及び「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」の継続採択分の支援額を含む。学識経験者等で構成する「私立大学研究ブランディング事業委員会」の審査に基づき選定する。タイプA 【社会展開型】地域の経済・社会、雇用、文化の発展や特定の分野の発展・深化に寄与する取り組み申請は地方大学(3大都市圏以外に所在)または中小規模大学(収容定員8000人未満)に限定趣 旨予算額支援対象・選定方法タイプB 【世界展開型】先端的・学術的な研究拠点の整備により、全国的あるいは国際的な経済・社会の発展、科学技術の進展に寄与する取り組み私立大学研究ブランディング事業が目指すものとは文部科学省高等教育局私学部私学助成課一色潤貴氏2016年度から始められた「私立大学研究ブランディング事業」は、2年目の選定が行われ、60の大学・短期大学が採択されている。改めて本事業の狙いと今後の方向性について、文部科学省私学助成課・一色潤貴氏に聞いた。INTERVIEW

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